■清く美しい犬鷲百桃は、ふた子の兄・千尋と千秋が大好き!相思相愛の「私たちの王国」は、永遠に続くはずだった……。が、そこに現れたのは侵略者・環!実は百桃がヘンタイブラコンだというヒミツを握ると、「オレのモノになれ」と執拗に迫り……!?キュートでPOPなハイテンションラブコメ!!





 小嶋ララ子先生のARIAでの新連載です。天文部を舞台に切なく可愛い青春群像を描き出した「星くずドロップ」が完結し、新たに連載したのがこちら。前作とは打って変わって、なにやらハイテンションなコメディとなっております。


 主人公は表紙にも描かれている美少女・犬鷲百桃(これで”もも”と読みます)。幼いころに両親を亡くし、ふた子の兄と共に支え合いながら暮らしてきました。ふた子の兄の千尋と千秋は、優しくてかっこ良くて優秀でなんでも出来るスーパーブラザー。そしてそんな兄が大好きな百桃は、これまた儚げな美少女と、実に絵になる完璧な兄妹。念願かなって兄と同じ高校に入学することになった百桃でしたが、兄にすら隠してきたヘンタイブラコンっぷりを、同じ学校の幽玄寺環に見つかってしまい、何故か「オレのものになれ」と脅されてしまいます。完璧な兄妹生活を守るため、必死に抗う百桃でしたが…というお話。


 これストーリー紹介しようとしても出来ねえな…(苦悩)。というのも、色々と明かされていないことが多く、コメディであるにも関わらず物語の全体像が全然見てないっていう。ただ乱暴に言い表してしまうと、愛が強すぎる4人による壮絶なラブバトルというところでしょうか。





穏やかで優雅な雰囲気を醸し出す犬鷲兄妹ですが、百桃はぶっ飛んだヘンタイブラコン。兄に見合う妹になるためキレイでいられるような努力は怠らず、さらには病弱であると偽って儚げな演出をし、加えて兄に近づいてくる女どもは片っ端から潰しにかかるという、ちょっとやべーやつです。兄にGPSを付けるなんて当たり前。病弱どころか、気がつけば一国のスパイ並の戦闘能力・身体能力を身に付けているという。偵察用の鳩がいたり、銃が出てきたりと、もうなんでもアリ。




 一方の兄たちもどシスコンで、同じく百桃ちゃんにGPSを仕込んでいるという、互いに監視しあっているという関係。ふた子であることから協力体制を敷いてはいるものの、互いに相手を出し抜いて最後は百桃ちゃんを頂いてしまおうという腹積もり。ゆえに度々ピリピリすることがあるのでした。百桃のヘンタイっぷりばかり際立つ感じがありますが、こちらもかなりヤバい兄でございます。





兄もこんな感じ。互いにめちゃめちゃ愛が強いのですが、それを表に出さずに猫かぶりあうという状況。




 これだけ見ればきれいに完結している犬鷲兄妹で「もう勝手にやっておいて」という感じなのですが、なぜかそこに積極的に介入してくるのが、ヒーローポジションであると思われる幽玄寺環。これがまた謎なキャラクターで、明らかに百桃を(恋愛的な意味で)狙っているのですがその真意がよくわからないという。心が読みにくく、何考えているか謎なんですよね。とりあえず百桃と兄二人、双方からの妨害を受けているにも関わらず簡単にかわして突っ込んできてしまうあたり、彼もかなりの戦闘力の持ち主であることが窺えます。


 一応ラブコメを標榜しているのですが、ラブな要素は全然なく、1巻時点で際立つのはその好き放題やらかしてるバトルっぷり。GPSをつけてるとかは可愛いもので、コナンくんばりに麻酔で兄に近づく女子を眠らせたり、宇宙から兵器で攻撃させたりと、もうリアリティなんてものはゴミ箱へ捨てておけというような感じです。とにかくテンポ良く、テンション高く、その2点だけで突破するようなコメディであり、そのスタイルは読んでいていっそ清々しい。考えたら負けで、とにかくその勢いに乗って楽しんじゃえば勝ちというタイプの作品と言えるでしょう。キャラクターは小嶋ララ子作品らしく個性的で可愛らしく、それだけでもう全然オッケーだったりするんですよね。カテゴライズ的にはコメディというか、もはやギャグの方が適切なのかもしれません。



【感想まとめ】
好き放題やりすぎていっそ清々しいコメディ。ドタバタ感を堪能しつつも、しっかりキャラクターの可愛らしさは健在で、読み応えバッチリ。



作品DATA
■著者:小嶋ララ子
■出版社:講談社
■レーベル:KC ARIA
■掲載誌:ARIA
■既刊1巻



ためし読み