■祖父の影響でカメラが大好きな望月麻子。幼なじみの赤星蛍に誘われ、地元を離れ、写真部が有名な高校に入学することに。さんかく屋根が目印の蓮住荘(通称レンズ荘)で、新しい生活に心躍らせる麻子ですが、そこで出会ったのは写真嫌いを公言する雨村光流で……!?





 野切耀子先生のARIA新連載になります。それではさっそくあらすじをご紹介しましょう。物語の主人公は、写真が大好きでいつもカメラを持ち歩いている望月麻子。大好きだった祖父が亡くなりふさぎ込んでいたところを、幼なじみの蛍に誘われ、写真部に力を入れている離れた高校へと入学することにします。写真部の部員も多く住む、レンズ荘での下宿生活を始めた麻子は、写真が嫌いだという雨村光流がどうにも気になって……という、青春ストーリー。


 タイトルや表紙に描かれている構図からも分かる通り、主人公の麻子を中心とした三角関係を描いた、ひとつ屋根の下、下宿ラブコメとなっております。主人公の麻子はカメラ大好き少女。いわゆるファッション的にカメラを首からぶら下げてしまうようなサブカル女子とはちょっと違っており、本当に写真が生きがいであり、唯一の自己表現の手段となっている女の子です。とりたてて特徴のない性格とも言えますが、割りと誰とも打ち解けやすく、素直な女の子と言えるでしょう。


 そんな麻子を気にかけるのが、幼なじみで先輩にあたる蛍。王子様のような佇まいで、女子ウケは抜群。学校でも絶大な人気を誇っています。とにかく麻子を気にかけており、過保護とも取れるような行動もしばしば。いつも余裕たっぷり、微笑みを絶やさないで、優しく麻子のことを導いてくれます。その優しさは、割りと分かりやすい好意の表現なのですが、当の麻子は、昔からそんな調子で接されていたために、今ひとつ気づいていない様子。明らかにスタンスは「お兄ちゃん」の距離感です。





ほんわか王子っぽい蛍。こんな距離感も意図的なもの。気づかれないのが可哀想で、今から噛ませ犬の匂いがぷんぷん。




 そしてそんな二人の関係に踏み込んでくる……いや、正確には麻子によって引きずり込まれたのが、表紙の右に描かれている雨村くん。麻子と同じ新一年生なのですが、どこか壁を作っているような雰囲気で、積極的に仲良くなろうとはしません。触れなければ別に何も反応しないので、単純に色々と干渉されるのが苦手というタイプ。そんなバリアを張っている雨村くんですが、麻子はそんな彼にどうしても興味を惹かれ、あれやこれやと理由をつけては写真を取らせてもらったり、一緒にお出かけをしたりするのでした。最初こそ嫌々な雨村くんですが、やがて彼女のペースに押し込まれるという関係。


 1巻はそんな新生活の中で、それぞれの恋の矢印がぼんやりと浮かび上がってきたという段階。蛍は明確な好意を持っていますが、麻子はその感情が恋愛のソレであるのかは全く気づけていないですし、雨村くんに関して言えば恋愛感情のれの字も出てきていないという状況。やれ、これは結構時間がかかるかもしれませんね。とはいえひとつ屋根の下ですから、何も起きないはずもなく、イベントは幾らでも投入可能で、2巻以降一気にブーストかけるかも。





自分の感覚に素直な麻子。恋愛感情に無自覚だからこそ、ここまで素直に行けるのかも。




 これは野切先生の絵柄によるところも大きいと思うのですが、下宿生たちは皆々リア充感バリバリで、しかもなんか恋愛禁止だとか女子ゾーンに男子は侵入禁止だとかいったルールも無く、さながら学生版テラスハウス(言い過ぎ)。同じ階に、男子と女子の部屋がバラバラと混在しているというのはなかなか危険な匂いがしますが、これといったトラブルが起きないのは、色々と神の意志が働いているに違いない。こんなあたりも含め、学生時代に想像した理想的な下宿……みたいな魅力がぎゅっと詰まった舞台設定となっており、下宿生活の模様が描かれるだけでなかなか心躍るものがあります。



【感想まとめ】
こういう舞台設定、キャラクター造形は大好物。楽しくほんわかと読むことが出来ました。オススメです。



作品DATA
■著者:野切耀子
■出版社:講談社
■レーベル:KC ARIA
■掲載誌:ARIA
■既刊1巻



ためし読み