■ここから始まる、ぼくらの青春&恋。
親の離婚で、母の地元・銀鼠町にやってきた高校1年生の瑛茉。そこにいたのは、個性的すぎるご近所さんたち。目つきの悪ーい男の子、人懐っこい中学生男子、クールで堂々とした女の子、寝てばかりいるふわふわ男子……。クセものだらけのこの町で、瑛茉の新生活、始まります。





 「ReReハロ」や「360°マテリアル」の南塔子先生の新連載になります。今回は個性派揃いの青春群像を描きます。物語の主人公は、奥西瑛茉・高1。親の離婚で名字が変わり、新しい町へ引っ越してきたばかり。新生活に不安がいっぱいの瑛茉でしたが、そんな彼女の不安を一層掻き立てるのが、同じマンションの住人と思しき同年代の男子たち。異様に目つきが悪い子や、間違えて勝手に人の家に上がり込んでくる男の子、さらには何を思ったのか自分を出待ちする中学生っぽい男の子などなど……。さらに見た目はいいけれど、その対人能力の低さから、学校では思わぬ誤解を受けて孤立。家でも学校でも自分の居場所が無く、どうしたって落ち込む瑛茉でしたが、ある女の子と、とあるお店との出会いが、彼女の日々を少しずつ変えていき……というお話。





主人公の瑛茉は、人と話すのが苦手。その見た目から男子の人気をすぐに集めるのですが、その振る舞いに加えて、意外と負けん気が強く、誤解と軋轢を生みがち。いたってクールに振る舞っていますが、内面では色々と悩みを抱えていたりするのです。




 テリトリーMとは、彼女の引越し先のマンション「ミルフィーユ」にかかっていたり、彼女が見つけた特別なお店「Ma Maison」にかかっていたり。母子家庭となり、温かいご飯恋しい瑛茉が見つけたそのお店は、父親が作ってくれた料理に似た雰囲気の品を出すカフェなのですが、偶然にもそこが、同じマンションに住む男女たちがよく来る場所にもなっているという展開。ひとくせもふたくせもあるキャラクター達なのですが、その架け橋となるのが、同じマンションの住人であり、同じクラスの女の子・駒井ちゃん。とにかく可愛らしい見た目なのですが、群れることのない、クラスからは一目置かれた存在で、男女双方の人気が高いのです。孤立しながらも決して屈すること無く気丈に過ごす瑛茉を見て、気が合うと思ったのか仲良くなるという展開。化粧美人でサバサバした性格と、実に心強い絵に描いたようなモテモテ脇役で、個人的には大好きなキャラですね。


 そんな駒井ちゃんの幼なじみの男子3人を交えた5人を中心に物語が進んでいきます。それでは男子たちを一人ずつご紹介しましょう。まず最初に出会ったのは、同じ高校で同学年の郁磨。目つきが極めて悪い男の子なのですが、実は物静かで心優しい紳士というオチ。初めて瑛茉と会った時は、睨まれたとの誤解から印象最悪だったのですが、すぐにその誤解は解けることに。3人の中では一番精神年齢が高く常識人という印象です。





駒井ちゃんと郁磨。郁磨のこの目つきの悪さはもう悪意感じまくりですよ。



 そんな郁磨といつも一緒にいるのが、これまた同じ高校の同級生である怜久。いつもどこかしらで寝ている、ふわふわ系の可愛いイケメン。その見た目と、人懐っこい風貌から、女の子からの支持は絶大。来るもの拒まずな姿勢も相まって、いつも彼女を切らしたことがありません。けれどのその内面は、わがままなオレ様タイプで、そのギャップから簡単にフラレてしまうこともしばしば。瑛茉については先入観そのままに敵視をしており、1巻時点ではグループに入りつつも、どこかギクシャクした感が残っているという状況。


 そして最後の一人が、一人だけ中学生の宏紀。出会って早々に、瑛茉につきまとうようになるのですが、実は幼いころに会っており、以来ずっと瑛茉のことを探していたという背景があります。瑛茉にじゃれつき積極アタックしてくる様子はまるで飼い犬のようで、ちょっとアホっぽいところも含め、可愛い年下男子のテンプレートという感じ。


 少女マンガですから、この3人のいずれかと恋愛関係になっていく事が想定されますが、現時点では誰一人としてそれらしい雰囲気はありません。なんとなくですが、最初から「この子」と決めずに、物語を進めていく中で、読者達の反応も見つつ決めていこうとしているのでは無いかと思います。性格で言えば一番相容れない怜久でしょうし、一番最初に会った子ならば郁磨ですし、運命の再会という観点で言えば宏紀ですし、実に意図的に可能性を絞らせないようにしています。このあたりは何作も長期連載をしてきた漫画家さんならではの運び方で、安心して身を委ねつつ楽しめば良いのではないかなと思います。噛ませ犬ソムリエ(自称)の私からすると、郁磨はいかにも良い噛ませ犬になりそうなので応援したいところなのですが、はてさて。


 それと、単行本の裏表紙を見てみると、仲良くなる4人の他に1人女の子が描かれているんですよね。「誰だお前」って感じなのですが、これから登場してくる子ということでしょうか。制服が異なることから、恐らく宏紀と同じ中学生なんじゃないかと勝手に想像しているのですが、黒髪地味め少女で、そういう子が場を色々と動かす展開、好きですよ。



【感想まとめ】
1巻はようやく物語を動かす準備が整ったという段階。大きな盛り上がりやドキドキがあるわけではありませんが、これからの展開を考えて色々と丁寧に場を整えているという印象があり、これからの展開に期待感高まります。



作品DATA
■著者:南塔子
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻



ためし読み