■6巻発売しました。
「どうしたら、天は俺を見てくれる?」
千秋から突然キスをされ、戸惑う天。理久を想う気持ちを知りつつも想いを告げた千秋。天の答えは……?




キスの先にあるものは

もう6巻ですか、早いですね。巻数的にはそろそろ動きが出てきて欲しいところ。ということで、5巻にあの男が動きました。はい、千秋です。初っ端は明らかにメインヒーロー然としていたにも関わらず、気づけばあの時どちらかというと噛ませ犬っぽかった理久に出し抜かれているという状況。それを打開すべく、強行策に打って出るわけですが、その結果は……





返り討ち




 いや、そりゃそうだろ……。流れからしてこうなることは明白で、恐らく本人もそれはわかっての行動。そもそも千秋の気持ちに天はこれっぽっちも気づいていなかったことを考えれば、自分の気持ちに気づいてもらえたということは、告白した意味があったとも言えるのかもしれません。が、それ以上に、これによって何かが変わるような手応えもなかったというのもまた事実。どうにも恋愛に器用なタイプにも見えませんし、どんどん理久に気持ちが向いていっているのを目の当たりにしている中、この手しか無かったのかもしれませんが、さてこの後どうするのやら。そして千秋さん一言……




 
めちゃめちゃ久々に聞いた気がする名言シリーズ




 久々に名言シリーズ出たんですけど、1巻の文学少年のイメージはどこへやら。なんかその後も本じゃなくて理久と一緒にテレビだかDVDだか観てるし。この組合せ・掛け合いはそれはそれで好きなんですけど(みんな好きでしょう?)。これ、彼が人間を向き合おうとしている変化を如実に表しているわけですが、一方で当初あった彼の崇高さみたいなものが無くなり、今はただ不思議な甘えん坊という謎のキャラクターへと変貌しているような……。このまま引き下がっても物語的にどうにもならんので、もう一・二発かましてくると思うのですが、さて次はどのようなアプローチで来るのでしょうか。

天があざとい感じに……

 千秋との一件があって以降は、理久と天の「付き合う直前のくすぐったい感じ」が全開。とはいっても、一度振り振られをしているため、お互い相手の気持に確信を持っているわけではないところがポイント。相手と過ごす時間に幸せは感じつつも、ぐいっと引き寄せるだけの自信は無いので、恐恐と相手に触れるような臆病な探り合いが続きます。で、ここにきて天が狙ってか狙わずか、めちゃめちゃあざとい感じになるという。例えば理久が友達のことを「かわいい」と言いそうになる一幕……





かわいいって
言っちゃだめだよ
皆に




 なんだこの可愛い生き物は。これは男的にめちゃめちゃグッと来るセリフですが、それを天が言うあたり、あざとさを感じさせないところが実にあざとい(矛盾)。この後も天の気持ちダダ漏れで、理久は理久で好意をそれとなく匂わせるわけですが、それでも決定打は出ずに実に歯がゆい。それでも千載一遇のチャンスをみすみす逃すような男ではないわけですよ、理久は。

このまま理久ルートか……?

 続刊レビューは完全に読んでる人向けに書いてるんですけど、大丈夫ですかね?


 臆病な駆け引きを繰り返した最後、ついに理久は意を決して核心に迫るわけですが、これがまた良かったです。一度振られているという前置きがあるとはいえ、ここまで慎重な言葉で来るとは。置かれた状況の違いはあれど、千秋が強引にキスをしたのに対して、理久は天よりも下から彼女と同じ目線に立ち「違ったら殴っていいから」とまで言うあたり。慎重さと捉えるか、優しさと捉えるか、それは読み手次第ではありますが、ちゃんと言うべきところで勝負に出て、けれども決して独りよがりになっていないで、相手に託すこの姿勢が実に理久らしいですよね。


 ここまでの立ち居振る舞いは100点と言ってよいほど。もう文句のつけようが無いぐらい完璧。だからこそ、千秋が付け入る隙が無いんですよね。それが辛い。これが逆の立場(理久が噛ませ犬)でいたら、まだちょっと逆転の目もありそう……という期待感と、これで仮に振られたとしてもこれだけ素敵な人なら次いい人見つかるし……みたいな謎の安心感みたいなものがあって、それはそれで楽しめたような気がしているんですよね。千秋だと少なくとも今の段階では立ち居振る舞いで勝てないですし、こんな変わった子を世の中に放り出したらどうなっちゃうのやら…という不安みたいな気持ちもあり。理久好きとしてはこの上なく幸せな展開なはずなのに、千秋の噛ませ犬力(謎のステータス)の低さによってなんだか手放しで喜べないみたいな状況に置かれている今日このごろです。今も100点の振る舞いをしている理久ですが、これが噛ませ犬ポジションになったとしたら、切なさ混じりでたぶん120点の魅力を振りまくはずなんですよ。理久が大好きなだけに、こんなことを思ってしまうのは罪悪感というか、歯がゆいというか。ともあれ7巻以降での、千秋の挽回に期待です。