■もういいよ 隠さなくていい ふつうじゃなくていい。
「付き合ってください」って恋子の突然の告白は、「どこに?」という剣の天然な答えによって撃沈。でも、今まで剣と過ごしてきた恋子は、かたくなだった昔とひと味ちがってた。2人きりになれないまま、修学旅行の最終日。班行動中、皆がいるのに恋子は剣にある言葉を……恋子、覚悟できた?




告白したのに……!

 これまで「お互い好き合ってるけど付き合ってない」をひたすらに繰り返し、完全に沸点オーバーしてるのにまだ粘るという素晴らしい展開を見せていた本作ですが、ついについに恋子が告白!けれども冒頭のあらまし説明にある通り、まさかの空振り。ここまで来ても、まだ粘るかと驚いたのですが、その後ニヤニヤ甘々な展開があるかというと案外そうではなく、二人とも想いを伝えられずにやきもき。もうこれ以上は、恋人未満で楽しめるような、甘みを増す余地は無かったということなのでしょう。そして仕切り直しの告白で、ようやく二人は付き合うことに。





修学旅行という、気持ちが高ぶってその勢いで告白してしまいがちなイベントですが、この二人の場合は、どこかお互いの気持を確認し合うかのような、極めて丁寧なやりとりで、とても好感が持てました。ドキドキ感というよりも、この上ない安堵感みたいなものに満たされた一幕でした。

アイデンティティからコンプレックスに

 さて、かくしてハイスペックボーイの剣くんとの交際が始まった恋子。付き合っていない段階から、ドキドキニヤニヤがてんこ盛りな展開だったわけですから、付き合ったらそりゃあもうとんでもなく幸せな時間が流れるはずです。しかしいざ蓋を開けてみると、想像以上の逆風が恋子に降りかかることになります。そして嫌でも突きつけられる、剣くんとの格差。もちろんそれに立ち向かう覚悟をもって付き合ったわけですが、その環境下では、少なからず恋子のメンタルにも影響を及ぼしているようです。そして恋子は……



上層部女子へのステップアップを決意

 これまで彼女にとって”ふつう”であることがアイデンティティであったわけですが、これが剣くんと付き合うことで、コンプレックスに置き換わったのです。この文脈の転換が面白い。プラスがゼロになるのではなく、一気にマイナスに転ぶっていう。で、色々と奮闘するわけですが、なかなか上手くいきません。変化するというのは怖いものです。特に見た目を大きく変化させるって、中学とか高校の頃なんて人生を左右するイベントぐらいに思えたもので、そりゃあもうドキドキですよ。剣くんはもちろん何しても良いって受け入れてくれるわけですが、変化に対するストレスからか、その言葉に対しても疑心暗鬼になる様子が面白いです。自分だったらこんなこと言いまくる女子嫌ですけど、剣くんの包容力はさすがですね。

 さて、こうしてふつうからの脱却という方向に進みだした恋子。これまでの”ふつう”というアイデンティティを失うことになるわけで、彼女を形成する核が無くなるようにも思えますが、今のところは「剣くんのために頑張る」というところに見いだせそうな気配。そもそも彼女が普通でいられたのも、「ふつうでいるための並大抵でない努力」があったからこそなわけで、進むべき方向は違えど、何かに向かって一貫して行動するという彼女の根底にあるものは変わっていないんじゃないかなと思います。その努力の仕方は時に極端で、不格好で滑稽なわけですけど、そんなところに剣くんは可愛らしさを見出したのでしょうね。

こんなにラブラブなのにチューすらしてないんですよ!

 さてさて、こうしてようやくカップルとなった二人ですが、まだチューすらしてないです。意外と真面目な雰囲気漂うカップルだけに、チューに行くまでも紆余曲折あって、色々とドタバタニヤニヤさせてくれそうです。佐藤くんとのチューとは比べ物にならないほどドキドキするんでしょうね。てか佐藤くんは登場するたびにクソ化していますが、今回で完全にやべー奴になりましたね。最低すぎて最高でした。ずっとは見たくないですが、箸休め的に2巻に1回ぐらいのペースでちょこっと登場して欲しい気もします。