■鉄道を舞台に展開した物語、終着駅に到着。
『鉄道少女漫画』収録の「木曜日のサバラン」からスピンアウトしたアコちゃんと小平くんの初々しい恋物語、感動のフィナーレ。




完結しました

 「木曜日のサバラン」の掲載が2010年らしいので、約7年かけて、ついに「君曜日」が完結しました。実にゆっくりとした刊行ペースだったので時間がこれだけかかりましたが、物語の中では半年ぐらいしか経過していないんですね。夏期講習で出会い、夏から秋にかけて気持ちを育て、冬にようやく答えが出ました。奥手なアコちゃんらしく、なかなか煮えきりませんでしたが、最後はしっかりと決めてくれました。

女性たちに支えられた恋

 なんとなくこれまでの流れからしても、小平くんがアコちゃんの心をこじ開けるぐらいにリードする形で着地するのかと思いきや、意外にも思いを伝えてからは待つ男へと変身。最終巻、彼はほとんど動くことがありませんでした。このままではなかなか話が進まないぞ……と思いきや、アコちゃんの気持ちはしっかりと、周りの女性たちによって後押しされていました。


 まずは他でもないお友達のみさっちん。中学生らしからぬ恋愛力でこれまでもその存在感を示してきた彼女ですが、最終巻でもしっかりとその仕事をしてくれました。迷うアコちゃんに対して、



恋は比べるものじゃないわ


 こんな言葉、恋の酸いも甘いも経験してきた50代のフランス人マダムとかが発するような言葉じゃないですか。あなた本当に中学生ですか……。元々ネタ的なキャラではありますが、それぐらいの豪腕を持ってして方向修正してあげないと、優柔不断で引っ込み思案なアコちゃんは前に進めないというのもあるんじゃないかな、と思います。とはいえ彼女に最後のひと押しまでさせてしまったら、面白くありません。ということで次のバトンを渡されたのが、君曜日1巻・2巻で、余りある青春っぷりを発揮していた、持田さんでした。



倉木さんがいらないならとっちゃうよ

 またしても切ないなぁ。どんだけ切なくさせてくるんだ、この子は。本人はとっくに諦めていて、ただただ小平のため(アコちゃんのためかはわからない)に発されたこの言葉、本当に良い子です。結局1巻から3巻全てで涙を流すことになった彼女に、遠からず幸せが訪れて欲しいものです。しかしひょっとしたらアコちゃんより泣いてるんじゃないかこの子は。もうこの子ヒロインでいいじゃない。この子をヒロインにした長編のスピンオフが見たいです(リクエスト)。


 そしてさらにもう一人背中を押してくれたのが、アコちゃんのお母さんでした。最終電車に乗って強羅まで行こうとしてる中学生の娘を、強引に止めること無く送り出して、しかもタクシー使って帰ってきなさいと咄嗟に言える心の広さが凄いなぁと。自分が親だったら絶対止めてますね。しかも「最終で行くとか、帰りどうするつもり?」とか理詰めで。


 さて、こうして振り返ってみても、実に偉大な女性達によってその進むべき道を照らしてもらっていたアコちゃん。ネガティブな言葉で言えば至れり尽くせりなわけですが、それでも最後、きちんと繋いでもらったバトンを受け取り、自分の想いを伝えることが出来たのですから良しとしましょう。むしろこういった後ろ盾があったからこそ、彼女としても想いを伝えねばというところもあったのかもしれません。


 しかしこういう時、男ってのは役に立たないものですねぇ。やったのは通報とパトカー送迎ぐらいですかね?

最後の恋の舞台は箱根登山鉄道

 さて、最後も鉄道が使われたわけですが、舞台となったのは箱根登山鉄道でした。これまでの流れから、おじいちゃんが好きだったこだまか、小田急(ロマンスカー)あたりかと思っていたのですが、選ばれたのは箱根登山鉄道でした。全然関係ないですが、駅メモという位置ゲーをしてまして、その絡みで箱根登山鉄道を利用したことがあるのですが、山間を進む景色が素敵な鉄道で、恋の舞台にも良さそうでした。ちなみに今回二人が出会えた塔ノ沢からスイッチバックが始まるんですけど、ジグザグ進んで面白かったですよ。(本当に中身に何の関係もない話)。


 さて、これにて「君曜日」および「鉄道少女漫画」は完結ということで、新連載が始まるみたいです。楽園の作品は当ブログではあまり取り上げていないのですが、機会があればご紹介できればと思います(本作は「少女漫画」と付いていたので取り上げたという経緯が)。