■2巻発売。
自分には弾けない難曲を易々と弾きこなす郁未に衝撃を受けた鉄雄は、ある決意をする。一方郁未は……。二人の運命が大きく動きはじめる……!




結構一気に進みます

 あっという間に鉄雄を抜き去り、その才能をまざまざと見せつけられることになった前回。そのどうしようもない才能の壁に、鉄雄は打ちひしがれることになります。同じ家に暮らすという環境において、どう耐え抜き、それでも食い下がるのかはたまた諦めるのか、いずれにせよ気の毒な環境で、どのような葛藤が描かれるのか見ものだったのですが、意外にもその生活はすぐに終わりをむかえることになるのでした。


 ひとしきり郁未に対してぶつかった後、懇願をして百合子に弟子入り。門前払いをされるかと思いきや、魔女の気まぐれによって受け入れられ、小学校卒業を前にイタリアへと留学することになるのでした。結局諦めることなんて全くせず、必死になってチェロを続ける道を選ぶという。


 一方の郁未も、これを機にチェロを辞めるかと思いきや、「郁未の特別であり続ける」ためにチェロを弾き続けることを決意。短い間ながら、二人の出会いは彼らのその後の人生を大きく変えることになりました。

留学した鉄雄の変貌ぶり

 で、留学してからの話が色々と描かれるのかと思いきや、時間は一気に飛んでいき5年後にまで話は進みます。すっかり大きくなった鉄雄と郁未。鉄雄は5年ぶりに日本に帰ってきて、見た目はともかくその性格はすっかり変わっていました…



この豪快感。百合子の元で生活をしていたということもあるのでしょうか。小学生時代は見た目に反して、どこか育ちが良いというか、枠に収まった感がありましたが、イタリア生活を経てこんな状態に。


 一方の郁未はチェロで着実に実績を積み、その見た目も相まって大人気のチェリストになっていました。日本では彼の影響で、ちょっとしたチェロブームとなっていたり。


 さて、これでようやく第2章が始まったわけですが、鉄雄のチェロの腕前は、日本を離れる前とは打って変わって実に個性的な演奏となっていました。それまではテクニックに裏打ちされた静謐な演奏がウソのように、変調を繰り返す実に自由でクセのある演奏。イタリア留学によってその才能を開花させたのかと思いきや……



全て緻密な計算と卓越したテクニックによって生み出されているもの

 そう来るか、とニヤニヤしてしまいました。才能が無いことを認めた上で、どうすれば勝負出来るのか。彼自信が導き出したのか、はたまた百合子がそうさせたのかはわかりませんが、自分の弱さを武器に変えて戦うというのは嫌いではないです。ただこういうキャラって、得てして圧倒的な才能の前では結局叶わなかったりするわけですけれども、彼の場合はどうなるのか。


 この努力っぷりを見せつけられると、この奔放な性格も、その作り出された”個性的な演奏”の説得力を補強するためにわざと演じているのではないかと勘ぐってしまいそうになります。というか、そうであって欲しい。演奏だけでなく、その言動も全てが計算という。さて、かくしてニュースタイルで日本に帰ってきて、さらに相当な腕前を披露した鉄雄ですが、これで郁未と勝負出来るのかはまだ不明。2巻では、大きくなってからの彼の演奏する姿は描かれていないんですよね。当然郁未の方が上なんだと思うのですが、その差がどの程度なのかが気になる所。また百合子と話している鉄雄との様子を見ていると、彼にもまだまだ隠している手がありそうで、一層楽しみになりました。


 最初始まった時は、鉄雄の葛藤を描く暗い物語が続くのかと思っていたのですが、思わぬ前向きスポ根系の流れになっており、これはこれで面白いです。流れも想像以上に早いですが、意外と終わりまで短いのかもしれませんね。いずれにせよ、3巻の発売が待ち遠しいです。