■森村のばらは小6のとき、事故で耳にケガを負ったことで人間の声が聞こえにくくなったかわりに、動物の声が聞こえるように。クラスメイトとの仲は疎遠になったものの、自分の能力に慣れてきたのばら。そんな矢先、「自分は事故に巻き込まれ人間になった狼だ」という謎の男子が現れて……?





 「ステラとミルフイユ」「ハンキー・ドリー」の渡辺カナ先生の新連載です。あらすじからも分かる通り、なんか別マらしからぬとんでもない設定の作品をぶっこんできましたよ、渡辺先生。ストーリーは冒頭のあらましの通りで、ある事故をきっかけに動物の声が聞こえるようになってしまった女の子が主人公です。この時点でなかなかの設定なのですが、さらに事故に巻き込まれて人間になってしまった狼(実はただのワンコ)の男の子が登場します。自在に犬と人間の姿を変えることの出来る彼に泣きつかれ、家で彼を飼うようになるのですが……というお話。


 たとえばこれが花とゆめとかであればすんなり受け入れられるストーリーなんですが、これが別マともなると「お、どうした?」と反応してしまうという。二人が入れ替わった原因は、事故によって瀕死の状態になった二人(一人と一匹)を、狐の神様が救う際に、互いが少し混ざってしまったというのが原因。この狐の神様を交え、ヒロイン・のばらと、人間の姿になれる犬・ローとの日々が描かれていきます。



犬の時の姿はこんな感じ。


 この設定でどうやって展開するのかと思いきや、ローは人間の姿になれることを利用して、学校に通うようになり(家では犬の姿)、主に家と学校を舞台にお話が描かれることになります。それまでのばらは、人間の声が聞こえづらいというハンデを背負っていたことから、学校の友達とも距離をおいて過ごしていたのですが、ローがクラスにやってきたことで、少しずつ学校に馴染めるようになっていきます。ローの存在も、だんだんと彼女にとって大事になっていくのですが、それが恋なのか友情なのか、はたまた飼い主心なのかはこれからわかっていくところ。


 のばらもローも、互いにこの状態になっていることは不便だと感じており、元に戻りたいと願っています。もとに戻るには、互いが互いを受け入れること。これが恋なのか友情なのか(以下略)。内気で人付き合いが下手なのばらに対して、浮かれワンコなローはとっても明るく元気で、犬と人間の常識の差などなんのその、あっという間にクラスに馴染む魅力があります。同じ状況に置かれつつも、対照的な性格の二人が、互いに補い合いながらそれぞれを認めあっていく過程を、温かく見守りましょう。



元々恋愛色の強くない漫画家さんですが、これは一体どういう落とし所になるのか。


 正直王道とはかけ離れており、よほどのことが無い限り長期連載は望めないのではないでしょうか。そんな中、どう物語を広げ、どう畳むのか注目です。



【感想まとめ】
本文中にも書いたとおり、長期連載しそうな感じはなさそうです。恋愛色が薄く、仮に出てきても異種間ということになるので、それはそれで戸惑いそうな。そういう部分も含め、どう展開していくのか注目したい一作です。



作品DATA
■著者:渡辺カナ
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻



ためし読み