■推しに人生を捧げるドルオタ女子高生・松田慧。ある日、最推しのアイドルグループ「LOVE LETTER」のコンサート会場で、自推しにそっくりなイケメンのガチオタと出会う。そのイケメン、実は慧のクラスメイトで……!?





 吉田ばな先生のARIApixivコミックでの連載作になります。ドルオタ高校生による日常マンガとのことですが、こんなのが日常だとしたらドルオタ相当大変なんじゃ……。


 物語の主人公は根っからのドルオタ・松田慧。その見た目は美少女そのもので、憧れを抱く男子も少なくありません。それもこれも、ドルオタであることをひた隠しにしているからこそ。その生活は、大好きな「LOVE LETTER」中心の生活と言って過言ではなく、時間・お金・愛情の全てを推しに注いでいるのでした。そんなある日、コンサートで席に座っていると、隣に座る推しメンにそっくりな男の子から声をかけられます。なぜ私の名前を…?と困惑していると、彼はクラスメイトの男子・矢野くんで…というコメディ。



これだけで分かる相手の方が上だというアレ。

 矢野くんも筋金入りの「LOVE LETTER」オタクで、この一件以来情報交換などで頻繁にやりとりをするように。実は彼の方が本格的なオタクというオチなのですが、そういう先輩との関わりだとか、同じグループが好きだけど推しが違うとどうなるか…みたいな、ドルオタ仲間あるあるみたいなネタが展開されます。正直私はこういう界隈に居たことがないのでリアルなのかどうかわからないのですが、いわゆるオタクならではのくどい説明・ノリで畳み掛ける感じ、私は単純に好きです。


 またもう一つの軸として描かれるのが、矢野くんとの恋。推しにめちゃめちゃ似ている上に、同じクラスで距離が近く、また同じものが好き同士ということもあって、そりゃあ意識しないわけにはいきません。しかしながら異様なまでにストイックなファンでいる彼を前に、慧は(勝手に)振り回されっぱなしで、その想いは成就する気配なし。アイドルとクラスメイト、両方にトキメキながらドタバタと空回りする慧を見て楽しむという作品です。



不人気だった推しが突如売れはじめて戸惑うの図。


 握手会だったり、グッズの購入だったり、推しがだんだん売れていく嬉しさと悲しさとの狭間の感情であったり、推しが変わっていくその変遷を語ったり、男女問わずどのアイドルにも当てはまりそうなあるあるネタが投入されていくので、ある意味勉強になります(その知識をどこで活かすのか、皆目見当がつかないのですが)。


 何かが好きであるあまりに、どんどん変な方向へ行ってしまうってのは見ていて面白く、ヒロインの慧しかり、相手役の矢野くんしかり、どちらも美女・イケメンでありながら、揃って残念な人達ってところに愛らしさを感じます。当人たちはとても幸せなのだと思うのですが、端から見ると茨の道を突き進んでいるようにしか思えないのが不思議なところ。



【感想まとめ】
 物語的に、グループ解散か、慧の矢野くんへの思いになんらかの決着がつくかして決着なのでしょうが、はてさてどんな結末を迎えるのやら。とりあえず情報量が多く読み応えがあり、キャラも可愛らしく気楽に読めて、また最後まで失速することもなく、普通にオススメ……いや、”推し”たい作品です。



作品DATA
■著者:吉田ばな
■出版社:講談社
■レーベル:ARIA
■掲載誌:ARIApixiv
■既刊1巻



ためし読み