■古川奏・28歳は、大事故に巻き込まれかけた時に「自分は人生で一度もセックスをしたことがない」ことに気づいてしまった。生きてるうちに、一度だけでも経験してみたいと、「あたしと一回だけセックスしてもらえませんか?」と同僚の本田に頼むと、「いいよ。オレをソノ気にさせられたらね」と煽られて…!?





 実にキャッチーなタイトルですよね、はい、私も釣られました。きっとこの記事を読んでいる人も、タイトルに釣られてやってきたことでしょう。


 物語の主人公は、白衣を来てお仕事をする、いわゆる研究職の理系女子。28歳にして、彼氏居ない歴イコール年齢という奥手女子です。そのことを気にしたことも無かったのですが、ある日コンビニで自分の所に車が突っ込んでくるという事故に巻き込まれた際、咄嗟に頭をよぎったのは「セックスをしたことがない」ということでした。運良く無傷で済んだものの、思いもよらぬ自分の深層心理を知った奏は、明日死ぬとも分からない人生で、なんとか一度で良いからセックスをしたいと決意。しかしどうアプローチして良いものかもわからない。そんな中、最近仕事で一緒になったマーケティング部のイケメン・本田に「一回だけセックスをしてもらえませんか?」と突撃。結果、「自分をその気にさせたらOK」という返事を貰い、依頼あの手この手でアプローチしてみるのですが……というコメディ。



セックスできるよう、知り合いの女性たちに話をするも、全滅。男性からしてもこんな虫の良い話、地雷にしか見えないという。


 結構無茶苦茶な展開なのですが、至極真面目な仕事ぶりを知っている人から、必死になってそんなことを言われたら、男としても受け入れざるを得ないというところなのでしょうか。またヒロインの奏は、オシャレや恋愛に無頓着というだけで、地はそこそこキレイな女性という感じというところもポイントかと思われます。この流れであれば一発ヤッちゃって終わりなわけですが、それでは物語になりませんので、「その気にさせたらOK」とちょっとおあずけをするところがミソ。真面目な奏はこれを真に受けて、「その気」にどうやってさせたら良いのか、理系女子的アプローチであれやこれやと迷走してしまうというのが定型的な流れになります。


 最初こそこんなきっかけでしたが、本田はトライアンドエラーで必死になってぶつかってくるその真面目さと一生懸命さに愛らしさを覚えるようになり、一方の奏も、的外れで時に失礼なことまでしてしまう自分を受け入れてくれる、彼の優しさと懐の広さに、はじめての恋心を抱くようになっていきます。程なくしてその気持は互いに明らかになるのですが(思いのほか展開早かった)、もちろんこんなタイトルですからセックスまでは至れずと、いわゆる「寸前芸」を楽しむ形になります。これをいかに引っ張るかが大事なのですが、そこは連載がどれだけ続くかにも因るので、如何ともいい難いところ。個人的には延々と引っ張り、数巻重ねた最後の最後で結ばれて欲しいところです。これで結ばれた後に、もっと良くなるには……とかやりだしたら、それこそ「ふたりエッチ」の世界になってしまうので…。



理系ならではの分析力・論理力を駆使して、少ないヒントから彼が幼児プレイ好きであるという結論を導き出す(大間違い)。


 相手役の本田は、絵に描いたような仕事もできるイケメン。このレーベルはエリートが基本相手役になるので、俺様・オラオラ系が結構いるのですが、彼の場合は比較的ソフトな口当たりで、イタズラ心から奏を焦らせるような行動は取るものの、根は極めて優しく普通の男の人という印象。最初こそ不敵な感じなのですが、奏への気持ちが明らかになって以降はあっという間に内面が漏れ出てくるようになり、どこか親近感を覚えます。


 理系女子が、理系ゆえの不器用さで空回りしつつも、はじめて恋を知り、もがきながらも徐々に女性としてステップアップしていく……という設定「人は見た目が100パーセント」のドラマ版を思い出させますね。マンガ原作は単なるコメディだったものの、連ドラというフォーマットに合わせるため、桐谷美玲さんをヒロインに据え、恋愛要素を強めに落とし込んでいました。そのせいもあってか、私の脳内では奏は桐谷美玲さんで再生されてます。こんなキャッチーなタイトルといい、一度実績のあるフォーマットでもあるので、意外とドラマとの親和性高そうだなぁとか思ったのですが、逆にこのタイトルによってハードルが上がっちゃうのか。



【感想まとめ】
プチコミらしい明るく、ちょっとエッチなラブコメ。何も考えずに気楽に読むことが出来る楽しい作品でした。



作品DATA
■著者:深海魚
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:プチコミ
■既刊1巻



ためし読み