■こじれてしまった気持ちの中にある言葉をさがそう。
“男の子がトラウマ”で、同年代の男子が苦手な高校2年生・つかさ。けれど、彼女の家が営む民宿に、2人の男子高校生が下宿することになる。松岡蓮、女子全般が嫌いな高校3年生。三輪稜平、男女関係なく、誰にでも「好き」ち言ってしまう高校3年生。「こじらせ」×「恋」を田倉トヲルが繊細な筆致で描く、青春群像物語。





 シルフ連載の、恋をこじらせた3人の高校生の姿描く、青春群像劇です。物語の主人公は、同年代の男子が苦手な高2のつかさ。美人なのですが、とにかく男子とコミュニケーションが取れず、自ら男子と距離を遠ざけて生活をしています。そんな彼女の日常が、ある日突然激変することに。家は民宿を営んでいるものの、かきいれ時ですらお客さんがなかなか来ない状況。なんとか打開を…と思案の末に出た結論は、下宿をはじめるというもの。やってきたのは、同じ高校の歳上男子2人。ただでさえ苦手な男子と、ひとつ屋根の下暮らすことになり……というお話。



主人公のつかさは、先にもある通り男子が苦手な美人。その見た目ゆえに男子からも人気があったのですが、そのせいで同性からのやっかみを受けたり、男子から心無い言葉を浴びせられることがあり、それがトラウマになってしまったのでした。以来苦手意識は拭えず、極力男子と関わらないように生活をしているという状況。そんな中、いきなり男子2人と暮らすことになるのですから、つかさはおおいに焦ることになります。


 下宿人としてやってきたのは、つかさと同じ高校に通う3年生。一人は女子全般が嫌いな、松岡蓮。良く言えばクールなのですが、つかさに対して発せられる言葉はどこか刺々しく、彼女を一切寄せ付けません。見た目は良いものの、女子嫌いであることは周知の事実で、一部の熱狂的な女子から人気を集めているという感じ。つかさとは、同じ「男子嫌い」「女子嫌い」というところから、互いを理解しあい、徐々に打ち解けつつあるという感じ。不器用で無口なタイプです。


 一方の三輪稜平は、松岡蓮とは対照的な明るく人付き合いが上手なお調子者タイプ。つかさとは中学時代に部活が一緒で、その時から「つかさが好き」と軽い感じで公言していました。とにかく人との距離が近く、蓮とは相容れない感じ。つかさからしても、彼女にトラウマを受け付ける要因の一つとなっており、どこか苦手意識があるようです。しかしそんなつかさの様子などお構いなしに、積極的に彼女に近づこうとするという、わかりやすい三角関係が描かれます。


 海辺の民宿で、なんとも繊細な3人が思いを紡いでいく……シルフでこんな雰囲気の作品珍しいなと思ったのですが、シルフってそこまでファンタジーでなく、結構現実でラブでコメしてるんですよね。本作は中でも淡い雰囲気漂う青春ものという感じで、それこそ男性でも楽しめそうなぐらいなんですが、ぐいぐい系の三輪くんの存在によってしっかり女子向けの味付けになっています。



ひとつ屋根の下とか、先輩男子とか、海辺に砂浜の通学路とか、自転車登校とか、これでもかと青春の匂いを一層香しくしてくれる舞台装置がたくさん。淡い絵柄も手伝って、実に良い雰囲気になっています。


 それぞれに男性・女性というものに対して傷つき、こじらせながら今に至る3人。作中に描かれる「きっかけ」は私からすればどれも大したことないように思えるのですが、それは思春期ゆえのセンシティブさゆえなのでしょう。ある意味面倒くさそうな3人で、ちょっとしたことで救われもすれば、ちょっとしたボタンの掛け違いからものすごく傷つきもしそうで、見ていてなんだかとても危なっかしく感じてしまいます(そして、それが魅力であるとも)。



【感想まとめ】
三角関係なんですけれども、三輪くんの噛ませ犬感がすごすぎて、今のところはつかさ&蓮が既定路線なのかなぁと。もうちょっとドキドキ感が出るには三輪くんに頑張ってもらわないといけないのですが、1巻時点ではそこまで魅力を補強する材料が無かった。その辺りがこれから描かれる前提ですが、2巻も気になるので読みたいですね。雰囲気はとても好きです。



作品DATA
■著者:田倉トヲル/射村輪
■出版社:KADOKAWA
■レーベル:シルフコミックス
■掲載誌:シルフ
■既刊1巻



ためし読み