■マロニエ王国の女将軍・バリバラには、七人の息子がいた。彼らの大義は「いつかかっこよく我が国のお姫様を助けること!!」。そんな彼らに与えられた任務とは…!?中世騎士ものがたり、開幕!!





 「町でうわさの天狗の子」の岩本ナオ先生の新連載になります。今度も欧風ファンタジーということで、このマンガがすごい!オンナ編で1位になった「金の国 水の国」の同じエッセンスを感じ取れる作品となっています。


 物語の主人公は、タイトルにもある通り、表紙に描かれている7人の騎士。彼らは兄弟で、マロニエ王国で女将軍をしているバリバラの子供です。その兄弟たちはそれぞれに個性があり、その個性に応じた名前がつけられています。長男から順番に、「眠くない」「博愛」「暑がりや」「寒がりや」「獣使い」「剣自慢」「ハラペコ」。8つの国からなる大陸の中で、マロニエ王国はその他7つの国全てと面する、ど真ん中に国があります。近隣諸国とは緊張関係が続くものの、建国2000年を機に、外交に力を入れることになり、兄弟たちは騎士長を名乗り、各国へ大使として向かうことになるのですが……というお話。



7人もいればめちゃくちゃ賑やか……というか、うるさいぐらい。それぞれに特徴があり、2人として似た兄弟はいません。


 「金の国 水の国」でもA国、B国というなんとも適当というか特徴のある名付けだったのですが、今回も実にわかりやすく特徴的な名前になっていることが分かるかと思います。確かに7人もいきなり登場したら、分かるものもわからないのか。ましてやカタカナ横文字だったら辛いもので、こうして特徴=名前になっていると実に物語が理解しやすい。7人はいずれも騎士として母の教えの元育ってきていますが、その見た目や性格はバラバラ。真面目そうな者からいかにもチャラそうな者、暑苦しい性格のやつから気弱な者、フェミニンな見た目のものと、表紙を見ても分かる通り重複感は一切ありません。


 それぞれが各国へ赴くことになるのですが、一斉に向かうわけではなくバラバラ。国もそれぞれに特徴があり、例えば「夜の長い国」には「眠くない」が向かうなど、その国の特徴に合わせた騎士が送られるという感じ。そこには母であり将軍であるバリバラや、王家の思惑などもあるわけですが、そのあたりは徐々に明かされていくことになるでしょう。


 正直1巻を読み終わった時点では、これがどんなお話で、どんな展開を見せて、どんな結末を迎えていくのか、一切想像がつきません。明らかになっていない部分が多すぎて、ストーリーに関しては何も語ることが出来ないと言っても差し支えないぐらい。しかしそんな状況ながら、これだけは断言できます。この物語は絶対面白くなる。


 そもそも岩本ナオ作品って時点で一定の期待感と安心感があるわけですが、これまでの作品には見られなかったような密度で、至る所に様々な伏線が張られているんですよ。会話の一つ一つ、回想の一つ一つ、そのどれもが意味ありげでいちいち気になってしまう。そしてこれらが、話が進むにつれ徐々につながっていくことを想像すると、今からワクワクが止まりません。



一番最初に派遣された、長男「眠くない」と剣術が達者な幼なじみの婚約者「エレオノーラ」。このコマから伝わるかはわかりませんが、含みを持った間や回想など、岩本ナオ作品ならではのドキドキする空気感をしっかり感じることができます。


 物語的には、大義である「我が国のお姫様を助ける」ということと、マロニエ王国のあり方みたいな部分を主軸に大きな物語として進んでいくのだと思いますが、舞台は近隣諸国であり、また構成される人間関係も国ごとという単位になるため、その中で恋や友情を含んだ小さな物語達が様々展開されるのでしょう。7人はキャラクター的にも優先度など無くイーブンな印象で、少なくとも7つのそういった物語を見ることが出来るのではないでしょうか。というか、「金の国 水の国」を7回楽しめるかもしれないポテンシャルを持ってると言えば良いのかな(乱暴なまとめ)。


 物語は早速「寒がりや」と「眠くない」の2人について動き出しており、どちらも岩本ナオ作品ならではのトキメキや切なさみたいなものがしっかりと感じ取れる、物語となっております。特に「眠くない」はお兄ちゃんゆえの真面目さみたいなものが感じられて、好きなキャラだなぁと読んでいてつくづく思いました。物語そのものを楽しむと共に、どの騎士が好きかみたいな話をするのも面白いかもしれませんね。いずれにせよ、オススメの作品でございます。



【感想まとめ】
1巻は全くの土台作り。でもその土台の作り方がすごいので、これは絶対面白くなるぞという思いしか生まれてこないという。これはしっかりチェックしておいた方が良い作品かと思います。



作品DATA
■著者:岩本ナオ
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:flowers
■既刊1巻



ためし読み