■小学4年生の絃は同級生の弥太郎に泣かされてばかり。そんな時守ってくれるのは、7歳歳上の千遥くん。だけど治療で人工冬眠することに。
……待ち続けて7年後、千遥は目を覚ます!”憧れの兄”から”同級生”に変化した距離感に、絃はドキドキで!?





 「魔女くんと私」の縞あさと先生の新連載です。「魔女くんと私」がめちゃめちゃ良い作品だったので、続編を期待していたのですが、新作で勝負。で、読んでみたらこれが良いではないですか。


 物語の主人公は表紙にも描かれている女の子・絃(いと)。小学生の彼女は、同級生でいじめっ子の弥太郎にちょっかいを出されては泣かされてばかり。そんな時に絃を守ってくれるのは、幼なじみで高校生の千遥くん。千遥くんがいれば安心……そう思っていた絃でしたが、彼は難病の治療のために人工冬眠することに。無事病気は治ったものの、人工冬眠から彼が目を覚ましたのは7年後。そう、かつて憧れだった歳上のお兄ちゃんは、同級生として絃の前に再び現れたのでした……というお話。


 もう設定勝ちですよね、こんなの。設定だけでご飯3杯は行けそうな感じでございます。ヒロインの絃は元々気弱な女の子でしたが、千遥との別れにより、言うべきことは言う、しっかり者の女の子へと成長しました。千遥が人工冬眠している間、ひと時も彼の事を忘れたことはなく、誰よりも彼の目覚めを喜んでいます。幼いころは”憧れ”という言葉で形容できたその気持ちは、同い年となって”好き”へと変わり、ドギマギしてしまいます。



年下の頃の距離感で発せられる言葉も、年頃になれば違う形で心に響き、心臓がドキッと震える。その言葉の奥にある相手の気持ちを、どうしても考えてしまうのです。


 一方の千遥は、あくまで”お兄さん”のスタンスを崩しません。手を握る、抱きしめる、頭をナデナデする、優しく甘い言葉をかける……幼い女の子にかける分には普通な行動も、年頃の女の子からしたらその一つ一つが意味深に感じられてドキドキしてしまいます。元々余裕たっぷりの大人な振る舞いをする子だったのですが、それがまた心が読めずに、絃からすると困っちゃうという。なかなか食えないキャラクターです。


 物語はこの2人の他、もう1人の男の子を交えた3人を中心に進んでいきます。その3人目が、冒頭のあらまし紹介で登場したいじめっ子・弥太郎。典型的な好きな子をいじめちゃうやつで、高校生になった今でも変わることなく絃へ恋心を抱き続けています。気がつけば絃にとって、一番気兼ねなく話せる相手になっているのですが、それ以上に距離を縮めることが出来ずにおり、さらに最大のライバルである千遥が目覚めたということで、非常に焦っている状況。生意気で不器用で純情な感じが非常に可愛らしく、千遥よりは弥太郎の方が個人的には好きですかねぇ。



かつてのいじめっ子、いじめられっ子も、時は流れて対等に。時にはこんな風に、絃に叱られる場面すら。


 見た目こそ同い年ですが、過去の経緯があるがためにその関係性はいびつで、それぞれに距離感を図りつつ近づいたり離れたりする様子がとても歯がゆく切ないです。絃の想いもさることながら、弥太郎の分の悪さが素敵すぎて、彼の形勢が悪くなるたびにニヤニヤしちゃう自分がいるという。しかしながら完全に噛ませ犬という匂いがするわけではなく、千遥の心の読めない不気味さから、意外と弥太郎エンドもあって良いのではないかと期待しております。物語は始まったばかりで、このいびつな三角関係がどのように形を変え、そして着地するのか、先行きがとても楽しみですね。



【感想まとめ】
絵柄といい設定といい雰囲気といいヘマするいじめっ子といい、そのどれもがツボで、申し分ないです。全力でオススメ!



作品DATA
■著者:縞あさと
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:LaLa
■既刊1巻



ためし読み