■ゴーストライターとして暗躍中の売れない小説家・佐倉洋介に、消えたアイドル「真咲遥」の手記の代筆依頼が舞い込んだ。真咲本人の指名と聞き、「なぜ俺なんかに」と腰が引ける佐倉だが、奔放な彼女に振り回されるうちに、ふたりの距離は縮まっていく。しかし、取材が始まり、真咲の口から語られる「消えた理由」は芸能界の闇そのもので……!?





 染谷みのる先生のフィールヤング連載作です。主人公は売れない小説家の佐倉洋介。デビュー作こそ当たったものの、以来それを超える作品を生み出せず、今はゴーストライティングで生計を立てています。そんな中舞い込んだのは、過去に一世を風靡し、突如一線からその姿を消したアイドル・真咲遥の手記の依頼。その見た目こそ歳を重ねたものの、相変わらず可愛らしく魅力的で、明るい振る舞いをする真咲だったが、取材を進めるうちに彼女の身に降り掛かった出来事が明らかになり……という、サスペンス的側面の強いお話。



普段の真咲は、明るくあっけらかんとした気持ちの良い性格。理由あって突如として姿を消したようにはとても見えません。


 主人公の佐倉は、そもそもなんで自分に依頼が来るのかもわからない状態で、完璧な振る舞いの中で時折”本性”のようなものを見せる真咲と、なんとも無愛想なマネージャーという曲者相手なものだから、もう彼の頭の中は戸惑いでぐるぐる……。なかなか先が読めない中で、物語は進んでいきます。


 そして取材を重ねるうちに徐々に明らかになっていくのは、大人気アイドル・真咲遥が一線から退いた、とある出来事のこと。芸能界の闇的なやつですね。具体的な内容はネタバレになるので伏せますが、主人公に依頼された手記は暴露本(告発本)の類いであり、真咲を傷つけた相手に対する数年越しの復讐になるというもの。その片棒を、佐倉は突然に担がされることになるわけです。(もちろん佐倉も無関係ではなく、ちょっとした因縁があったりするのですが。)



時折見せる表情が、あまりに冷たく恐ろしい。その裏には、驚くべき事実があるわけですが、それは本編を読んで確認してみてください。


 しかしながら1巻時点ではただただ真咲による告白を聞くばかりで、具体的に本を書く状況にすら至っていません。ようやく登場人物と背景が揃ったところで1巻終了となっており、これからどのような展開を見せるのかが気になる所。だって告白を聞くよりも、実際に告発本を出してから相手と戦うところの方が絶対ドロドロで面白いじゃないですか。相手はもちろん業界で活躍しており、見るからに手強そうな、一癖もふた癖もありそうなキャラというところも、ぞくぞく感を掻き立てます。


 サスペンス的要素が強く、恋愛要素はほぼゼロ。もちろん真咲遥に佐倉はドキドキするわけですが、どうにも憧れ的な感情が強く、そこから発展するような感じはありません。小説家と元アイドルと肩書だけであれば釣り合いも取れそうなものの、見るからに住む世界・ランクが異なるって感じなんですよね。そちら方面はそこまで期待せず見守りましょう。



【感想まとめ】
フィールでは珍しい雰囲気の作品でよく練られているなぁと感心するものの、現時点で面白かったというと「別に普通」という感じ。とはいえ「どう落とし前をつけるのか」という一点がただただ気になり、続きを読もうかどうか実に迷う作品であります。



作品DATA
■著者:染谷みのる
■出版社:祥伝社
■レーベル:FC Swing
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻



ためし読み