■独身のまま40歳を迎えた小松薫。東京でライフスタイル提案型カフェの店長を務めているが、突然、故郷の店舗への転勤が決まる。だが、その店には大きな問題があった!地元の同級生たちとの交流も再開し、薫の人生に大きな転機が訪れる……!?





 先日3巻が発売されました。1巻発売時にご紹介出来ていなかったので、今更ですがエントリーを書いてみます。1巻までは西炯子標準運行って感じだったのですが、3巻に来て俄然面白さが増してきたので、個人的にかなり盛り上がっている作品の一つです。


 物語の主人公は、独身アラフォーの薫。東京の意識高い系カフェで店長をしている、一般的に見たらキャリアウーマンという彼女でしたが、ある日突然、地元の店舗への異動を命ぜられます。独身・彼氏もペットもいない現状、断る理由もなく思わぬ形で故郷へと舞い戻った薫でしたが、状況が芳しくないと聞いていたお店の状態は想像以上にひどいものでした。おしゃれな雰囲気はどこへやら、BGMは歌謡曲で店内は喫煙可、安物のコーヒーにメニューに無いはずのランチ……。どうやらその元凶は、バイトの男・小鳥遊のようで…というお話。



本社の経営理念で押し通したい薫と、その地に合ったやり方で実利を取りたいバイト・小鳥遊との対立構造。


 主人公の薫は、西炯子作品ではもはや定番とも言える、独身アラフォー。もちろん一定以上のルックスがあり、サバサバスラっと系で、だけれどなぜだか結婚には縁がなくこの年齢になってしまったというキャラです。転職を重ね今のポジションに落ち着いた彼女は、いかにも仕事が出来る女性という感じ。経営状況の良くない地元店舗を立て直すために戻ってくるわけですが、本部の目が届かないのを良いことに、完全に地域のおじさんになじまれるような、”カフェ”ならぬ”喫茶店”へと成り変わっていることに驚愕します。


 その背景にあったのは、気弱な店長と、飄々とした性格のイケメンバイトのパワーバランスによるもの。元々勝ち目の高くない出店だったのですが、案の定売上は伸び悩み。そんな中やって来たバイトの小鳥遊は、その料理の腕前と、地元にフィットするように店を変える提案力を活かして、実権を握っていき、それが積み重なった結果こうなったという状況。この小鳥遊という男が相手役のポジションになるわけですが、彼が実に飄々としていて掴みどころが無い。時に薫に興味があるような素振りをみせながら、ある時は全く気のない雰囲気を出す。会社の理念を押し通したい薫と、自分のやり方で結果を出している小鳥遊の、カフェに対する姿勢は真逆で、日々ぶつかりあうという状況。


 それならば小鳥遊を店長権限で切っちゃえば良いって話なのですが、色々と思案した結果キープすることになるという。このカフェ経営と、素性の知れぬイケメンとのかかわり合いというのが、一つの話の軸になります。



そしてもう一つ大きなウェイトを占めるのが、彼女の地元の友達たち。高校時代に一緒に過ごした仲良し4人組がいるのですが、それぞれの人生を歩み、その状況は様々。歯医者と結婚して家庭を持っている者もいれば、バツイチで仕事をしながら暮らしている者、教師をしながら不倫をしている者……。3巻ではこの友達たちの背景がつまびらかになり、それがめちゃめちゃ読ませるんですよ。それぞれに、何か欠けた想いを抱いていて、とある側面から友達を見れば、自分にない幸せを持っているように見えて羨ましい。3巻では、互いに真逆の立場となるペアが2組という構図なのですが、双方の気持ちがわかり易すぎて辛い。決してリア充でなかった人たちが、40年も歳を重ねれば、心の傷や後悔の二つや三つあるわけで、大人ゆえの寂しさややるせなさみたいなものが、しっとりと感じられてとても良いです。


 また3巻にして恋愛っぽさは未だに無し。正直恋愛として成就する展開になるのかもわからないのですが、それぐらいに小鳥遊が攻略の難しい男であるということなのでしょう。久しぶりに続きの楽しみな西炯子作品でございます。



【感想まとめ】
1巻は小鳥遊が奔放すぎて「ダメかも」と思っていたのですが、巻を重ねるごとに面白さが増してきて、今ではかなり楽しみな作品となっております。



作品DATA
■著者:西炯子
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:flowers
■既刊1巻



ためし読み