■白城音楽高校でプロのピアニストを目指す彩坂二葉には、”あがり症”という弱点が……。「人前で演奏できない……!」と悩む彼女の前に現れたのは、音楽エリート・一ノ宮王輝先輩!顔良し、ピアノ良し、性格ドSな彼が指導することになり、二葉の緊張はMAXに……!?果たして”あがり症”を克服できるのか……!?ついに鳴り響く、大人気青春メロディー!





 筒井美雪先生の単行本2作目になります。タイトルからも分かる通り、ピアノを題材とした音楽ものです。ではでは早速内容のご紹介をしましょう。物語の舞台となるのは白城音楽高校。幾多のアーティストを輩出する名門校で、そのクラス分けは厳密な成績順と非常にシビア。1年のCクラス最下位にあえぐ彩坂二葉は、とても恵まれた才能を持ちながら、極度のあがり症によってその力を全く発揮できないでいました。そんなある日、一人練習でのびのびと演奏しているところを、学園のエリート・一ノ宮先輩に聞かれ、その才能を見出されます。顔も良ければピアノの腕前も抜群な彼の導きによって、落第寸前の二葉の学校生活は大きく変わり始め……というお話。



王子に見出されて、二葉は羽ばたく……までには、まだまだ時間がかかりそう。


 主人公の二葉は正確というよりは実に情緒に溢れるのびのびとした人を惹きつける演奏をするのですが、誰かに見られていると途端に演奏できなくなるという弱点を抱えています。そのダメっぷりは尋常でなく、本人もそれを自覚しているがゆえに、悪循環にハマっているという状況。なんでこんな子が入学できたんだという話ですが、受験の日に大雪となったため、演奏時の動画データを送って合格していたという裏話あり。あがり症であると共に、極めて気弱であり、グイグイと来る一ノ宮先輩には全く抗うことが出来ないという。


 そんな彼女に目をつけたのが、学園でも圧倒的トップの成績をおさめるエリート・一ノ宮先輩。音楽一家に生まれ、その圧倒的な技量でメディアの露出も多く、そしてそんな自分の実力をしっかりと認識しており、ちょいと鼻につく王子様的振る舞いをするような男の子です。才能に恵まれながらも、ピアノを楽しいと思ったことがなかった彼は、実に楽しそうにピアノを演奏する二葉に興味を持ち、こんなにも素敵な演奏が埋もれるのは勿体無いと、あがり症克服のためと半ば強制的に勝手の指導を買って出て、以来つきっきりで過ごすようになります。なのでそのクールそうなルックスとは裏腹に、結構グイグイ巻き込み系のヒーローです。



結構コメディタッチなんですよね。両方共キャラが立っているので、ネタも投入しやすくなっています。


 日常ではダメダメなヒロインと、マイペースに引っ張るヒーローとの掛け合いを楽しむというコメディタッチの強い展開になっているのですが、定期的に訪れる真剣に演奏をするシーンではスポ根作品ばりにシリアスで熱い雰囲気となり、メリハリしっかり。絵的にもそこまで上手いとは言えないものの、その緩急自在な構成でしっかりと読み手を惹きつけます。


 また脇役として二葉と同学年で、機械的で完璧な演奏をするスラッと黒髪美人・園田さんという子が登場。これがライバルになるのかと思いきや、むしろ二葉とツンツンしつつも仲良くなるという展開で、いわゆる倒すべき相手を努力で超えていくみたいな感じにはなりません。元々二葉の実力は発揮さえすれば抜きん出ており、常に自分との戦いであるという感じだからでしょうか。それ故に、努力の方向もスキルというよりはメンタル面が中心。その流れで、恋愛にも発展させやすいという、なかなか上手い設定ですよね。



【感想まとめ】
音楽と友情と恋愛とを上手く絡めながら進める、花とゆめ系の匂いをしっかりと感じることの出来る良作だと思います



作品DATA
■著者:筒井美雪
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:Lala
■既刊1巻



ためし読み