■8巻発売です。
朱里から借りたままになっていた物を返しに来た元カレ・亮介。でも、会いに来た理由はそれだけじゃないみたい!?クリスマスが近づいて、デートの計画を立てる由奈と理央。朱里と和臣にも進展が……。





 

順調な2人と足踏みな2人

 8巻に入りました。『ストロボ・エッジ』が全10巻でしたから、あと2巻ですね。『アオハライド』のほうがどちらかというと思い入れなかったのですが、あちらは13巻と巻数多め。本作はわからないですが、普通に15巻ぐらいは余裕で行きそうな感じがあります。だって2組分ですから、8巻ですけど、2で割ればまだ4巻分ぐらいしか進んでいないわけで(謎の計算)。


 さて、当の4人ですが、8巻では対象的な様子が描かれました。前巻でめでたくカップル成立となった由奈と理央は、付き合いたてのカップルらしい浮かれた姿がたくさん。うんうん、こういう幸せたっぷりなお話、私大好きですよ。初々しさと幸福感に溢れる、はじめてのおつきあいの様子をニヤニヤしながら眺めることができました。


 一方の朱里と和臣。こちらも付き合うまでは行かないまでも、未練ありげな元カレというある種の「劇薬」投入により、一気のその関係が進展するかと思われたのですが、変わらず決定打は出ない状況。確実にその距離は近づいているように見えるのですが、後ひと押しが足りないですねぇ。ともあれ2組ともすんなり行ってしまったら面白くないので、一方は順調かつ軽やかに、もう一方は慎重にじっくりと、全く違った幸せの形を見せてもらいたいものです。

理央が死ぬんじゃないかと思った話

 さて、由奈と理央なんですけど、特に言及するところがないぐらいに順調で幸せという(笑) もちろん付き合いたてということで、緊張したり、失敗してしまったりと、色々出来事は起こるのですが、何が起きても最終的に相手をあげることになるという無敵のフェーズにあるので、ドキドキ感はあんまりないんですよね。そんな中、唯一ドキッとさせられたのがこのシーン。クリスマスを一緒に過ごすことを約束するシーンなのですが…



由奈ちゃんが望むことは全部
俺が叶えたい


 
 幸せいっぱいなシーンですよね。よくあるといったらよくある光景なんですけれども、引っかかったのはこれがエピソードの幕切れに出てきているというところ。咲坂伊緒先生なんでまず絶対無いんですけれど、これ泣かせる系のアンソロだったら確実に、病気か事故で死ぬやつだな、と。その手の作品の引きとして使われる手法なんですが、小畑友紀先生あたりなら確実にやってくるはず(断言)。読んでいて「あれ、理央死ぬんじゃないか…?」とふと不安になったという一幕でした。いや、まず絶対無いんですけれど。



そこからのさらにコレなんで、壮大な伏線なんじゃないかと勘ぐってしまうという(濁った心で読んでしまうからいけないんですね)。

確信が持てないギリギリのラインを攻める朱里と和臣

 さて、理央が幸せすぎて死ぬ疑惑の横では、朱里と和臣が思い思われしていました。元カレが登場したと思いきや、めちゃめちゃ朱里を狙っている感があり、勢いに任せて朱里に想いを伝えるにはまさにうってつけの状況。さらに両親のケンカによって気持ちも弱っているので、これ以上ないチャンスなワケですが、男和臣、行くなら正々堂々行きたいということでしょうか、この千載一遇のチャンスをみすみす逃し、長期戦の構えを見せます。


 告白もしてるしキスまでしていて、「行かないで欲しい」のくだりとか、もう半ば告白みたいな感じすらあるのですが、一度ギクシャクしてしまったために、未だに「付き合う直前の幸せな感じ」にも至っていない感のある2人。見ていると、置かれた境遇もさることながら、どこか理屈で考えてしまいがちで、必要以上に責任を背負ってしまうところが何より似ているなぁ、と。



なんというか、和臣は初登場時、その全てが自然体で目の前にあるチャンスもひょいひょい掴んでいくタイプかと思っていたのですが、むしろ真逆で、色々と我慢させられてきているのだな、と。家では兄をめぐる両親の不和に心痛め、朱里をめぐっては理央の思いを慮って彼女の告白を断った経緯があり、色々と考えてしまって素直にチャンスに飛びつけない感じがします。一方でその思慮深さが彼の良いところでもあり、朱里はそこに惹かれているとも言えなくもないわけで、もう少しだけ時間をかけて、是非幸せを掴んで欲しいものです。


 とはいえ、クリスマスの一件は付き合ってからよりも、付き合う前に話す内容だからこそ、そのトキメキポイントは高いわけで、ここは咲坂先生グッジョブ!という感じでニヤニヤ楽しんでいました。「好きだ」と伝えるのと同じくらい、話すのに勇気が要る話ってあるわけですが、それを話したこの一幕っていうのは告白シーンと同じぐらいドラマティックで、キャラクター描写に一層奥深さを与える名シーンだったと思います。ますます目が離せない、ふりふら9巻の発売が、今から待ち遠しくてたまりません。