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節度ある危うい距離感にドキドキ -蒼井まもる「さくらと先生」4巻


■4巻発売しました。
さくらは2年制に進級し、担任が藤春先生になった。嬉しい反面、うまくやっていけるかちょっぴり不安……。そんな中、修学旅行の時期になりさくらは飛行機の席が先生と隣に。周りに生徒がいる中、こっそり手をつなぐ2人。さらに、旅行先で……!?




軽率と慎重入り交じる距離感が好き

 4巻です。2巻までは互いにしっかりと距離感を保ち、非常にゆっくりでプラトニックな節度ある関係が描かれるのではないかと思っていたのですが、3巻にしてまさかの急接近。花火を2人だけで観るってのはわかるんです。うん、それぐらいはちょっと盛り上がっちゃっても、わからんでもないかなあって。文化祭って、ハレとケでいったらハレですから、お祭りですから。勢いから思わず手をつないでドキドキして、でもそれが限界って感じで我慢してて、そんな甘くも切ない距離感がこの上なくもどかしくて。


 「あ、これ3巻でのマックスだな。」なんて思っていたら、最後にまさかのキス。いやいやいやいや、これは想像してなかった。これまでの慎重さを全部無かったことにするかのような、急展開。巻数それなりに重ねてるとはいえ、言うてまだ高校1年の冬。出会って1年足らず。そして高校生活はまだまだ長いのですよ。もっと我慢して我慢して我慢して、ムズムズする展開が待っているものだと思っていたのですが、どうするのこれ。


 このまま甘い感じに秘密の逢瀬を重ねるのか、一旦仕切り直して再び節度ある距離感を保つのか。非常に気になるところでしたが、4巻を見る限りは軸足を後者に置きつつも、結構軽率(ごほうび)なシーンあるなっていう中道路線。なんていうかバランス感覚が壊れているというか、コツコツ積み上げてから一気に崩す感じ。基本的に敬語で話して、努めて親しい感じは出さずにいて、「お、頑張っとるな。」からの、飛行機で手つなぎドーン!街中で抱っこドーン!みたいな。この慎重と軽率入り交じる危うい距離感がなんというか、クセになります。

あくまで「先生」

 このカップルの好きなところは、あくまで生徒と先生を貫いているところ。普通キスまでしたら、自分は特別な存在だからと、特別な呼び名で呼んでみたくなったりするもんじゃないですか。ただでさえ、生徒と先生って、年齢の壁を感じるものなわけで、でもさくらはあくまで「先生」呼びをし続けるんですよね。周りが「藤くん」呼びをしていても。



いつだって「先生」と「湊さん」


 2巻で「藤くん」呼びになりそうな感じだったんですけどね。むしろこういう感じの方が、真面目な感じがして好きです。あとデートも無条件に与えるのではなく、ちゃんとテストで100点取ったらという、努力を報う感じが健全で良いな、と。

強力なライバルなどいないのだ

 さて、今回教育実習生のかわいい先生が赴任してきました。可愛くて良い匂いのする先生だそうです。



うん、これは男子からは人気出るでしょう。付き合いたい。そのビジュアルからも、いかにも主要キャラになっていきます感があり「お、これはライバルの登場か?なんなら元カノか?」と、一波乱あるかと期待したのですが、結果何も起きずにスカしっていう。もはやライバルなど登場できる時期じゃないんですよね。ライバルはおろか、ヒロインの不安を煽るような隙さえもないような感じ。暴走しない限り、もはや盤石の関係と言えるでしょう。

瀬戸さんのハイライト

 それは密かに(というかあからさまに)さくらに想いを寄せる瀬戸くんも同様。まああんなに好きなオーラ出されてたら、突っ込もうとすら思わないですよね。思い切ってぶつかっていくことすらも出来ずに、サラッと想いを、というか諦めます宣言をさせられるという、なかなか可哀想な仕打ち。噛ませ犬ってのはこう、ダメだとわかってても想いぶつけて華々しく散るっていう美学があるわけですが、彼に関してはそれすらも許されないという。まあでもこういう噛ませ犬は、最後の方で適当なキャラと付き合って幸せになってます的なご褒美が貰えたりしますからね。なんならスピンオフ読み切りとか描かれたりしますから、そこに期待。なんて思っていたら、おもいのほか早く彼のハイライトが訪れました。



作者巻末コメント


 いやこれはむしろ可哀想だろ…。作中で触れられることもなく、さらっと巻末コメントでフォローされるという。「不憫な描かれ方をしていますが」って、この扱いが一番不憫っていう。しかも取ってつけたような、「料理上手で面倒見のいい背の高い年上美人」というあからさまに描く気なさそうな適当なハイスペックっぷりに、心寂しくなります。5巻が最終巻のようですが、果たして彼は登場するのか。ただひたすらに報われない彼の幸せを、陰ながら願っております。



1 Comment

  1. レビュー思わずふふっと笑いました
    5巻のレビューも楽しみにしています
    瀬戸くんのスピンオフあるといいですね

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