■7巻が発売しました。
樹と一緒に建築の仕事を始めたつぐみ。仕事は順調に進むが、上棟式と迎えた朝、大きな地震が起こり、樹と連絡が取れなくなる。樹の安否を確認するために、つぐみは余震の続くなか友人・圭吾の力を借りて樹の家までたどり着く。そこでつぐみが見たものは……?




災害時の困難

 『パーフェクトワールド』ももう7巻です。ここ数巻は重苦しい展開が続いており、なかなか明るい雰囲気は訪れず。このようなテーマを描く以上、中途半端に描くことはできないという有賀先生の決意みたいなものをずっと感じ続けていたワケですが、そろそろ、そろそろ明るい兆しが見えても良いんじゃないでしょうか……?で、そんな中に先生、ぶちこんできましたよ、渾身の一手を。


地震です。ん、地震?





 そう、描くのは震災時における障害者の困難。あとがきにも書かれている通り、これは避けては通れないテーマだったそうなのですが、読み手としては「もう許してやってくれないか」と感じるぐらいには大きな壁なわけで。だって、震災時って車椅子生活じゃなくたって、普通の人だってちゃんとしていられないじゃないですか。もちろん震災時に大きな問題になるのはわかるのですけれども、これを敢えて恋愛作品でもある本作で描く必要性は果たしてあったのかという。別に不要だとは言っていないです。ただこれを描くと、さらに深い部分にまで掘り下げる必要がありそうで、物語としてのバランスを取るのがとても大変になりそうだな、と。


 しかし震度5強というのも絶妙なんですよね。これが東日本大震災クラスだと、普通の人ですら生き抜けないようなレベルになってしまうところ、絶妙に車椅子生活者の不便さが浮き彫りになるラインなのだな、と後から気付かされるわけです。

しっかりとラブストーリーも

 さて、なんやかんや震災について描いていますが、さすがにこれをただの社会派シーンとして描くわけはありません。きちんとラブストーリーへとつながるイベントとしても活用します。例えば『娚の一生』でも災害を発生させて、それをきっかけに2人が結ばれることになるわけですが、あちらがやや無理筋だったのに対して、こちらは元々車椅子と震災という描くべきベースがあるので、物語としての無理矢理感もなく、極めて自然。こう言ってしまうとなんとも味気なく、ちゃんと伝わるか不安ではあるのですが、いくつかある災害がターニングポイントとなる系統の作品の中では、見せ方、展開のさせ方がこれまで見てきた中で最も不自然でなかったように感じました。





震災で車中寄り添い、あの頃を想い出す




 なんかもう、気づいたらラブストーリーになってましたもんね。震災に巻き込まれても責任感たっぷりに仕事をして、避難所での大変さを味わって、なんという社会派ストーリーなんだと思っていたら、ちゃんとラブストーリーのレールに乗ってるっていう。

映画化します

 映画化が決定という話はだいぶ前から聞いていた気もするのですが、公開は今年の秋。主演が杉咲花と岩田剛典さんということで。正直なところ、キャスティング知った時の印象は「え、全然原作イメージと違くない?」という感じでした。


 杉咲花さんといえば、なんと言っても『湯を沸かすほどの熱い愛』の演技が印象的で、映画であんまり泣くことって無いんですが、あればっかりは観て号泣したのを覚えています。あとドラマの『夜行観覧車』で、鈴木京香さんに唐揚げ口に突っ込まれてるイメージ(偏ったイメージ)。最近だと花のち晴れとか。コミカルからシリアスまで演じ分けるのは、本当にスゴいなぁといつも感心させられます。なので、つぐみを演じることについても、キャラクターや年齢でのギャップは感じつつも、なんだかんだ形になるんだろうなという謎の安心感が。


 岩ちゃんはもう定番という感じのイケメンヒーローポジション。どちらかというと優男に寄りがちなところを、どう樹の硬派な感じに寄せていくのかが注目というところでしょうか。車椅子生活者というところで、なかなかチャレンジングな役でもあるので、そこらへんも注目といったところでしょうか。


 女性向けマンガのシネマライズは見に行くのが恥ずかしいので、動画配信されるか、DVD出るかを待つパターンが多いのですが、本作は原作が好きだったり、地元だったりと、見に行っちゃうかもしれないです。つい先日、予告動画もアップされたようです。





 うーん、やっぱり原作イメージとは違うかなぁ(笑)トレイラー観れば意外と印象変わるかとも思っていたのですが、そこは変わらず。というか、見ている感じ、「先輩」と言っているので年の差設定なんですね。であればこのキャスティングも納得。杉咲花さんですし、きちんと 映画・パーフェクトワールド として楽しめるんじゃないかな、と。


しかし同級生ですらてこずっているこの障壁を、後輩というポジションになって、さらに約2時間という短い尺の中で、どう超えさせていくのか。これ相当大変なんじゃないかと思うんですよね。腕の見せ所でもありますが、個人的には不安の方が大きかったりも。そんな不安を、ぜひスクリーン上でふっ飛ばしてもらいたいところです。ではでは。