■デブでブスのいじめられっ子のミヤは、中2の冬に1度死んだ……。自殺しようとした学校の屋上で、生まれ変わることを決意!高校デビューしたミヤは、ヒエラルキー最上位の港区JKになったけど……。美は手間と努力で手に入る、人生は楽しんだもの勝ちでしょ♪そんな彼女が、本当の恋に落ちるまで!!





 『港区JK』ってタイトル見て、もう「嫌な感じ」しかしなかったんですよね。あからさまに記号的なタイトルで、港区JKの生態……的な、電通ライクな内容で来るのかなぁとか、テラスハウスよろしくとことん上から来たり、逆にキラキラしつつも裏では酷いみたいな、貶める方向でのコメディ作品なのかなとか、一瞬で想像したわけですよ。ヒロインも恋愛体質で頭悪そうとか。帯も結構煽ってる感じだし。でもしばの結花先生だし読むか……なんてページめくったら全然違いました。アホキャラなんて一人もいなかったです。なんなら恐ろしいほどに真剣でストイックな人たちばかりで、逆に引いちゃうぐらいの勢いでした。


 物語の主人公は、高校でヒエラルキーの最上位に君臨するJK・ミヤ。しかし彼女、中学まではデブだのブスだのさんざんいじめられ、自殺まで考えたほどの元最底辺。同じくいじめられて自殺しようとしていた男子・マッキーと出会い、一緒に生まれ変わろうと決意。それからボクシングジムに通い、カロリー計算によるダイエットをしたり、ファンション誌を読み漁り、おしゃれな美容室へと通い、さらにはコミュ障対策にボランティアにも参加したりと、数々の努力の末に、今の姿を手に入れたのでした。望んでいた未来だったけれど、なったらなったで色々と悩みはつきないわけで……といったお話。



港区女子から着想を得た港区JK。結局のところ、港区JKがなんなのかはよくわからないっていう。なんなんでしょう。


 現実の世界でどれほど実例があるのか知らんのですが、いじめられっ子が一念発起してモデル並みのかわいい子に生まれ変わるってのが好きでして(『好きっていいなよ。』の北川めぐみとか)。今回のヒロイン・ミヤは、まさに努力でここまでのし上がったストイックオブストイックなキャラクター
で、自身の努力に裏打ちされた自信を持っているところ含めて好きなキャラクターでした。なんなら見た目やコミュ力だけじゃなくて、勉強ですら学年トップだったりするあたりに、その頑張りが垣間見えます。


 ただ、一旦目標を達成すると、今度はそのスペックやポジションを持て余すようになるんですよね。その見た目ゆえに、言い寄ってくる男は数知れず、外に出歩けば変なトラブルに巻き込まれがちだし。それを楽しめるぐらいのメンタリティがあれば良いのですが、元々最底辺だったので、ナチュラルボーンリア充にはちょっと気が引けちゃって、パリピ的なノリで楽しく生きることもできないっていう。そんな中、唯一自分を分かってくれると感じるのが、一緒に努力して生まれ変わったマッキー。ミヤはもちろん彼に対して好意を抱いているものの、マッキーも元いじめられっ子で奥手な性格ということもあり、二人の関係は平行線という歯がゆさがあります。


 このまま歯がゆい2人を描くのかと思いきや、この2人の関係に割り込んでくるキャラクターが2人登場。一人が、高校でいじめられている女の子・ゴリエ。マッキーはいじめられていた経験から、彼女に優しく接するのですが、ミヤはというと、置かれた状況を打開しようとせずにくよくよしている彼女の姿を見て、苛立ちを募らせます。この感じ、わかるわかる。で、紆余曲折あってゴリエも生まれ変わるわけですが、その結果マッキーに好意の矢印が立つわけですよ。この子、いじめられっ子なんですが擦れておらず、メチャメチャ良い子って感じなんですよね。スペック的になかなか強力なライバルという感じでありながら、同じ境遇に置かれていたという同士的なバックボーンも持っており、良い関係図が描かれます。


 もう1人が、校内のアイドル的男子・輝先輩。あからさまに「モテてます」感溢れ出る、根っからのプレイボーイなのですが、ミヤから相手にされなかったことをきっかけに逆に火が点き、ミヤに対して積極アタックを重ねてくるようになります。正直最初はただのアホなチャラ男って感じなのですが、一度狙った相手に対して本気でチャージかけに行く熱量はなかなかのもので、「あ、この人も根っからの努力人だわ」と感じさせるキャラクターなのです。



輝先輩の一挙手一投足に、その気はなくともついついドキドキしてしまうミヤ。免疫無いので、どう交わしてよいのかよくわからないっていう。そして先輩はそれを好機と、そこに漬け込む漬け込む。


 要するに、本作通じて中途半端なキャラがおらず、それぞれにハイスペックな4人がガッツリ四角関係を築いているという状況。メイン4人の他にもちょこちょことキャラクターが登場していて、物語的にも一本線が通っている感じが無く、正直落としどころがどうなるのかよくわからんのですが、今のところキャラクターの魅力だけで読み進めていけるような一作となっています。展開は割と早めなので、多分そんなに巻数出ないと思うのですが、しばの結花先生の作品では久しぶりにヒットという感じで、続き買うと思います。



【感想まとめ】
タイトルで読まず嫌いしててすみませんでした。普通に読んだら面白いお話でした。



作品DATA
■著者:しばの結花
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ
■既刊1巻



ためし読み