■空に浮かぶ大きな星、ペテルテナト。地球へと堕ちてくるこの星をアリサは密かに綺麗だと思っていた。「将来2人で宇宙に行ってペテルテナトを近くで見よう」。友人のセナと約束をしたアリサだが、彼女の元へとある文書が届き……。表題作「終末の惑星」を筆頭にTwitterで人気の作品、さらに2本の描き下ろし作品を収録です。





 Twitterで人気の大家先生(アカウントはこちら)の作品をまとめた1冊。黒基調の表紙に青が映える、印象的なデザインで、書店でも結構目立っていました。私は失礼ながらTwitterでは存じ上げていなかったのですが(そもそもここ数年あんまりTL追うことがなくなってしまっている)、手にとってみたら面白かったので今回ご紹介したいと思います。


 単行本には表題作を含め、全6篇が収録されています。いずれもSF的要素を含んだ物語となっているのですが、ちんまりとした可愛らしい絵柄とは裏腹に、思わぬバッドエンド的結末を迎える作品が多いのが印象的。というか収録作のタイトル見ていくと、「終末」って入ってるお話が2篇もある時点で、「あ、そういう嗜好なんだな」ってのがうかがい知れますよね。終末率.333ってなかなかの高打率だと思いませんか。


 1つ目に収録されている「終末の後」は、人間が脱出しロボットだけが残った地球に、人間の女の子が不時着し、そこで出会ったロボットと心通わせるという物語。こういう設定・展開はある種SFでこすられまくっているベタな内容ではあるのですが、その結末が秀逸。上げて落とすその落差が秀逸といいますか、30ページそこそこという短い中で、感情の振り幅が大きくなるよう設計されていて、それにまんまと引っかかってしまった感じ。着地の仕方もおしゃれといいますか、余韻を残す幕引きなので、額面のページ数以上の広がりを味わうことができるんですよね。個人的にはこれが一番好きだったかな。わかりやすいってのもありますが。



『終末の後』より。廃墟、ロボット、流星……そんなSF好きならワクワクするようなモチーフがたくさん散りばめられています。


 その後に続く「昔々あるところに」は、日本昔ばなしの「かぐや姫」がモチーフのSF。これもある意味定番のSFモチーフではあるのですが、これまた結末が面白い。同じようなモチーフで沙村広明先生とかも書いてたような気がするのですが、あっちほどダークじゃないのと、なんやかんやどのお話にもちょっとの「救い」があるので、ある種安心して物語に身を委ねられる感じがあります。


 「僕らの夏と灰」と「思い出機構」は、どちらも現代モチーフの作品となっているのですが、「思い出機構」なんかは「世にも奇妙な物語」のシナリオになっていても全く違和感ない内容で、これも上げて落としてのダークな結末が面白い。一転、「ソフィー」ではそれまであったダークさは消えて、ロボットと少女との関係をしっとり感動的に描き、上げて落とすだけじゃないんだなと、引き出しの多さを感じさせてくれました。



「ソフィー」より。こちらは一転、ガッツリ切なく感動的なお話でした。余白をうまく使った印象的なコマ使いでした。


 表題作の「終末の惑星」は、星が落ちてきて滅亡を目前にしている世界を生きる少女の物語なのですが、これもバッドエンドなのかな。いや、よくわからん。というか、どの作品も明確な「グッド」「バッド」にはしていなくて、どちらかに寄った結末にはなりつつも、しっかりとそこに「救い」や「切なさ・悲しみ」が落とし込まれていて、解釈次第では「グッド」にも「バッド」にもなり得るんですよね。で、帯にある「この結末を、あなたは不幸だと思いますか」って言葉は、それをうまく表しているな、と。



【感想まとめ】
どの作品にも最後に仕掛けが用意されていて、伏線好きの方はそれだけでご飯おかわりできる感じ。面白かったです。オススメ。



作品DATA
■著者:大家
■出版社:一迅社
■レーベル:-
■掲載誌:同人誌、Note等
■全1巻



ためし読み