■ベルガット家との争乱に一区切りがつき、休暇を楽しむゼンは、リリアスに戻る白雪達と共に北の地へ。一方、ミツヒデは実家に滞在中の木々を訪ねる。それは、心に秘めた想いを木々に伝える為だった!一人の騎士が人生を懸けた矜持を示す第19巻!




惰性で読んでた作品でしたが

 みなさん、最初は面白かったけど、巻数重ねてきてからはなんとなく惰性で読んでいる作品ってないですか?別に面白くなければ切っちゃえば良いんですけれど、そうするほどでもないし、結末とかすごい面白そうだから読む……みたいなやつ。『赤髪の白雪姫』は最近自分にとってまさにそんな感じの作品だったんですけれども、この19巻で大きな動きがあった……というか、主要人物の関係性に一区切りがついたので、久々に身体前のめりになって読んだ感じでした。その勢いのままに、「このマンガがすごい!2019」でも票入れちゃいましたよ、思わず。


 なお『赤髪の白雪姫』が惰性で読む作品でなくなった今、惰性で読む作品筆頭は『学園ベビーシッターズ』です。というか牛丸さんと猪又さん見たさで読んでいるのに、まじでラブ要素少なすぎるだろ。『逆転ハニー』といい、時計野はり先生は恋愛を描く気がないのだろうか……。


あ、ここから先はドチャクソネタバレ状態になってるのでご注意ください。

段取りの悪いミツヒデとかっこいい木々

 さて、今回関係性に一区切りがついたのは、ミツヒデと木々でした。なんていうか、もはや説明不要の関係性ではあるのですが、今回お互いの想いを確認するにあたってのやりとりがとても良かった。まず導入からですよ。ミツヒデがのっけからこう聞くわけですよね。



こうやって聞いちゃうあたり、彼の不器用さと誠実さと、童貞っぽさがふんだんに出ていてよかった。ある程度確信は持っているんだろうけれど、一応こうやって確認するっていう律儀さね。




 こういう下手な問いかけされたら不機嫌になる人だっていそうなものなんですが、木々の場合はそうじゃなかった。その返しがめちゃ男らしくてかっこよかったですよね。



(答えを)聞きたいところだけど
自分からはっきり告げる前に答えろという気は無いよ

 というかその後も、ミツヒデの段取りの悪さが際立つわけですけれども、そのどれもがミツヒデらしくて良い。まずお祭りの席で、改めて木々に想いを伝えに(というと聞こえは良いですが、振りに)行くわけですけれども、それも元々予定していたものじゃなくて、ヒサメに「誰を相手に格好つけているわけ?」「腰抜け」と煽られてからのものだし、ヒサメに渡されたとはいえお酒をクイッと煽ってから(その前から飲んでたけど)行くっていうところとか、ちょっとした情けなさが感じられて良かった。てか冷静にここまでを振り返ると、自分の想いを面と向かって告げる前に振られそうになって、さらに1回振られただけでは飽き足らず、改めて2回振られるって、もうなんていうか無茶苦茶やってますよね。木々はキレたっていいレベル。


 それに対して堂々と正面を見据えて、かっこよく立ち回る彼女の姿に圧倒されました。だって改めて2回も振られるとか意味わかんないじゃないですか。「うるせー」って感じですけれども、彼の言葉を最後まで聞いて、これですよ。



いいよ
振られよう


 むしろこの振る舞い見て自分が求婚したいぐらいだったんですが。なんていうか、こういう不器用な誠実さ含めて彼らしい言葉をもらえて、納得できたんだろうなとは思うんですけれども、置かれた身分や状況を差し引いて、1人のうら若き女性として考えると、やっぱりちょっとかわいそうだなというか、長年温めてきた想いが報われてくれても良かったんじゃないかなと思ったりもするんですよね。なので個人的には、この結論にはなんとなく納得が行っていない部分はあり、そしてゼンあたりの一言で状況がひっくり返ったりしないものかと考えているんですが、いかにも2人の結論を尊重しそうな男ですし、きっとこの結論が揺らぐことはないんでしょうね。


 しかしポジション的には脇役にありがちな安定したカップルという印象だっただけに、この展開は意外でした。側近という距離の近さも災いしたのかもしれませんが、どうにかこうにかして白雪とくっついた、いわば愛に生きる王子に対して、想いはありつつも、王子に仕えることを優先する側近という構図は、少しばかりの不均衡を感じます。これも一つの愛の形なのかもしれませんが、うん、少女漫画勢からしたら恋愛においても即物主義なので、もっとこうあってほしかったなぁ、と(しつこい)。


 さて、というわけでそろそろ物語も大詰めという感じなのでしょうか。ゼンと白雪の関係性はもう揺るぎようもないわけで、あとはゼンと白雪が置かれる外的要因に対して対応し、然るべき形にしていくという展開になります。どういう落としどころになるのかはよくわかりませんが、少女漫画らしい結末を見せてほしいなと思うばかりです。