■9巻発売、完結しました。
小学四年生のある日、互いの心と身体が入れ替わってしまった木村佑太と大塚結依。元の姿に戻れないまま8年……高校2年生、夏。「オレと、ずっと一緒にいてよ」。家族よりも友達よりも近いふたりの最後の思春期がはじまる……!






ドチャクソネタバレ状態なので読んでない人は注意です

 ついに完結しました。てかコミックポラリスは『SSB』といい『俺とヒーローと魔法少女』といい、創刊時を支えた人気連載達が次々と完結を迎えており、寂しい限りですね。いずれも個人サイトでの発表を経て、コミックポラリスへと舞台を変え、世へと羽ばたきました。いやー、前身の運営会社・アプリックスの株買って大損したこととかあったなぁ……(遠い目)。

 さて、関係ない話はさておいて、入れ替わったのが小学校四年の時で、最終回を迎えたときには2人は高校2年生。まさにタイトルの通り、思春期まるまる入れ替わって過ごし、実に8年。社会人になってしまえば、8年なんて本当にあっという間で驚くんですが、小中高の10代なんてめちゃめちゃ濃厚な時期ですからね。当人たちからしたら、恐ろしく長い時間に感じられたんじゃないかと。


 さて、ここからドチャクソネタバレ状態になるので要注意です。完全に読んだ人視点での独りよがりな内容が続くかと思いますので、未読の人はここからは読まない方が良いかと。むしろこのブログの文章読むぐらいなら、1話から試し読み読んだほうがよほど良いので。





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自分たちで選び取った道筋

 結末については意外というのが率直な感想です。というか、入れ替わりものであれば、大方の予想は戻る方で考えるじゃないですか。いや、そうしなかったんだ、と。


 ただ、その道筋は偶然によってもたらされたものではなくて、きちんと自分たちで選び取ったものなのだということが伝わってくるエピソードになっていて、個人的にはかなり納得感がありました。なので、読み始める前は正直感動とかしないと思っていたんですけれど、思わずグッと来ちゃっている自分がいました。


 「戻らなくても良い」と最初に決意をしたのは佑太の方でした。結依のことが好きであると自覚し、ついに想いを告げる決心をするわけですが、その時にそのような心境に至ったのでしょう。あの公園で告白をするのですが、ズバッと好きだと伝えるのではなく、「元に戻ることを考えるのやめない?」という、ややネガティブな印象を持たれそうな導入をしちゃうところが、素直というか、不器用というか……。勢いのままにもっとズバッと行くかと思ったんですが、思いのほかヌルっと行ったなという(笑)ただしその後はさすが佑太らしかったです。迷いの無い、自信(というよりも決意)に溢れた言葉たち。彼の真剣さが伝わってきましたよね。で、これです。




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選べよ
手をとるのかとらないのか




 結局ここでは答えを保留してしまう結依ですが、その後決心。ピンクの帽子を持っていった時点でその答えは明白ではあったのですが、これでめでたしめでたしにはならなかったわけで。いや正直、『思春期ビターチェンジ』であれば、そこで普通に横断歩道渡って、想い伝えてめでたしめでたしってマイルドな完結があっても全然納得できるぐらいなんですが、でもやっぱり、一度戻すってことが大事なんですよね、たぶん。





8年越しに戻れたのに、それでも入れ替わっていた状態に戻りたいと願う結依。




自分たちの意思で入れ替わったりできるわけではないものの、ある種「どちらも望むことができる状態」において、結依が「真に入れ替わったままを選択した感じ」が出るから良いんですよね。またもう一つ、結依は全くそんな意図は無いと思うのですが、先に出した「手をとるのかとらないのか」の答えにもなっているところがまた素敵です。しっかりと佑太の気持ちに、心でも態度でも応えているんですよね。


 その後のエピソードは比較的さらっと描かれていますが、そんな中でもしっかりと結依が思い描いていた夢を実現しているところがまた……。個人的には、佑太が出産を経験して乗り越えているところに引っかかったんですけれども。耐えられたんだろうか……と。いや、本当にどうでもいい感想で、そもそもそんなところに引っかかるだけ野暮だってのは分かっているんですけれども。


 

表紙が結末を匂わしている感もある

 てかよくよく表紙を見返してみると、これ完全に入れ替わってないですよね。桜舞い散ってる時点で卒業をイメージしていますが、結局入れ替わっていないので。しかしちょっとした描き分けだと思うんですが、ちゃんと中身が入れ替わってることがわかるからすごいです。一瞬戻っているときも、結依がちゃんと足開かないで座っていたりして、色々と細やかに描いてるんだなぁと感心しました。


 

ありがとうございました!

 というわけで、1巻発売から5年半ぐらいですかね?本当にお疲れ様でした。


 最終的には入れ替わったまま、ヒミツを共有する二人の閉じた関係に落ち着くという、個人的にはあまり好みでない方向へと進んだのですが(戻った上で相手を選ぶのなら、恋愛対象として多数の中から選んだ感が出るので、開いた印象がある)、どうしてでしょうこのお話に関しては、先述の通りものすごく納得できてるんです。「開いた関係の方が良い」という絶対的価値観を持っていたのですが、本作はそんな自分の頑なな考えに、風穴を開けてくれるようなインパクトがありました。将良先生の次回作、果たしてどんなお話になるのでしょうか。今から楽しみで仕方ありません。