■こんなあたしにも価値があるんじゃないかって思える…
「似てない双子」と有名な2人の星上くん。兄・望はぼっちで、弟・求は学校の人気者。三毛野いさりは望と友達になってからトラブルだらけの学校生活だけど、一途に頑張る望に少しずつ惹かれていく。でも兄命(ブラコン)の求が黙ってるハズがない……!?



 

一気に恋愛の要素が

2巻発売しています。友達作りというところから出発した1巻。そこには恋の予感がほんの少しあるだけでした。これからゆっくりゆっくり恋心を育んでいくのかな……なんて思っていたら、2巻はまさかのラブモード全開。正直ここまでとは予想していなかったので、びっくりでした。


動きをまず作るのは、ヒロインのいさり。2巻がはじまった時点では自覚すらしきれていなかったのに、夏になり1話経たら完全に恋する乙女になっておりました。色々と距離を縮めたいと思っているようなのですが、望はド天然な超鈍感で、「みんなと仲良くなりたい」というスタンスを崩すことはありません。彼の中には友達という一つのランクがあるのみで、人によって優先度つけるみたいなものさしは持っていません。そんなところがいさりは好きなわけですが、一方でそれに傷つきもする。2巻はいわば完全に一方通行の状態なんですけれども、その姿が逆に切なくて愛おしいんですよね。


星上くんはどうかしている20002
せっかくの2人で来た夏祭り。友達を見つけた望を見てのこの表情とか…!この夏祭りに二人でっていうシチュエーションも、回りくどく根回ししてやっと掴んだチャンスなんですよね。それに精一杯可愛く見えるようにおめかしして。そんなにまでしてやってきたのに、あっという間にこんな感じになっちゃって、これまでの過程を思うと実に切ない。恋敵であれば頑張れそうなのですが、いかんせん相手は不特定多数の「友達」なわけで、やるせなさばかりが先立ちます。こういう表情がお好きな人は、中村明日美子先生の「君曜日」とか読むとイイと思います、はい。

これはかなりイイ感じの噛ませ物件…

さて、鈍感な望はこの様子に気づく訳もないのですが、敏感な弟・求は勘付くわけですよ。で、そんないさりが気になって仕方なくなっちゃうという、典型的な噛ませ犬路線を歩み始めます。この求、1巻こそ超絶ブラコンの捻じ曲がった悪人という感じだったのですが、2巻ではその悪さが見る影もなく、単なる「普通の人」になってしまいます。牙が抜けきったというか。兄との性格の対比がはっきりとしていた1巻から、2巻になると2人の「普通の人」と、1人の「友達に飢えた謎アグレッシブ野郎」というポジショニングとなり、ややパワーバランスが崩れた感もあります。けれども互いの矢印の方向も変わっているので、特に違和感は感じず。


なんとなく話が逸れましたが、この求くん、自分が好きなタイプの噛ませ犬になっていきそうな予感がバリバリなんですよね。まず望が天然プレイボーイという感を出しつつある中で、求の行動は過去の性格形成から見ても養殖もの=努力型という雰囲気が漂ってます。だいたいこういうキャラ構成だと、努力型が負けるっていうのが常で、すでに勝ちの匂いが少しもしないという。そして努力型の噛ませ犬は文字通りあれやこれやと思案して場をかき回そうと頑張るのですが、その頑張りが強ければ強いほどダメだった時の切なさが際立つ(美味しくいただける)という。今回であれば夏祭りでの一件や、勉強での一幕など、まぁのっけからかなり頑張っているという。この勢いのまま最後までとは考えにくいですが、良いスタートダッシュ切ってます。


星上くんはどうかしている20001
弟の件といい、いさりとの件といい、一見器用そうに見えて、肝心なところでうまく渡り合えない彼は誰よりも不器用なんだなと思うのです。そして根はめっちゃいい子とも。


2巻を終えて俄然“求派”となったわけですが、3巻以降どうなっていくのか非常に楽しみ。求はもっと色々画策してもらって、いっぱい傷ついてほしいものです(捻じ曲がった感情)。

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作品紹介→キョロ充女子と似てない双子の三角関係:アサダニッキ「星上くんはどうかしている」1巻