■和菓子職人見習いの若竹忠国。19歳の誕生日の朝、ちゃらんぽらんな祖父の突然の引退宣言により、和菓子屋「わかたけ」の店主を引き受けるはめに!?そんな「わかたけ」には、なんだか怪しい客が訪れるという秘密があって……。和菓子のほんのりした甘さと、お人よしな忠国の優しさが、心癒してくれる妖怪×甘味ストーリー。





 モリノ先生のビーズログ連載作です。これが初単行本ですかね?物語は妖怪と和菓子という二つの要素を用いたファンタジー作品となっています。作品の舞台となるのは、和菓子屋「わかたけ」。主人公はその「わかたけ」で祖父の元修行をしている19歳の青年・忠国。誕生日にいきなり祖父が「世界一周に行くから店は任せた」と宣言し、忠国が一人店に置き捨てられるところからお話は始まります。見習いの身であることに加えて、極度の味オンチという忠国。当然そのままだと店は立ちいかなくなるので、祖父が知り合いとやらに助けをお願いしてあるというのですが、現れたのは化け猫だという久助……。口と態度は悪いけれど、和菓子の知識と舌は確かな久助に助けられつつ店を続けていくことになったのですが、現れるのは妖怪ばかりで、、、というストーリー。


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化け猫の久助。口は悪く上から目線というなかなかな性格の持ち主ですが、なんだかんだ義理堅く面倒見が良い男です。


 1話完結スタイルで、その時ごとに現れる妖怪に和菓子を振る舞い問題を解決していくという流れになります。主人公の忠国の祖父は不思議なものが見える力を持っていたことに加え、和菓子を妖怪たちに振舞っていたことから、そういった客(?)の流れが出来ていたよう。忠国もその力を受け継いでいるため、妖怪たちと普通に意志疎通を図ることが出来ます。妖怪たちは単に和菓子が食べたくて訪れるものもいれば、忠国祖父との因縁から現れる者もおり、事情は様々。妖怪の要求はいつだって一筋縄ではいかないもので、そんなリクエストに対して忠国があの手この手で拙いながらも工夫をしながら取り組み、そして彼らとのつながりを深めていくという人情ものチックな物語構成となっています。


 イメージ的に近いのは「夏目友人帳」でしょうか。サポートをしてくれる猫がいて、祖父との因縁から妖怪たちとかかわりを持たざるを得ない中で紡がれる、ハートウォーミングなストーリーたち。ただ本作の場合はよりコメディ要素が強く、また和菓子というテーマを用いていることから、武器は“和菓子”に集約されていきます。


 本作ではおまけ的に、和菓子を振舞ったお礼にと、妖怪たちから様々な贈り物をもらうことができます。そこでもらった贈り物が、後々のエピソードで活用されながら話が重なっていくのですが、その“連鎖”の様子がRPG的で非常に心地が良いものがあります。基本的には1話独立型なのですが、そうしたつながりがあることで連載作としての魅力を十分に堪能することができるというか。


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和菓子の細かい知識やテクニックはあまり登場しませんが、色々とメニューは豊富で、その辺は見ていて「ほー」と思わされる部分もあったり。


 連載しているレーベルの特徴からか、女性キャラは全く登場しません。人外でも比較的青年もしくは少年といった所に集中しており、やはり女性が好みそうなキャラクター構成ではあるかと思います。一方でクセの強いキャラは特におらず(あえて言えば久助か)、素直な主人公はじめさ、男性でもほどひっかかりなく読めるのではないかと思います。絶対的な悪もおらず、基本的に1話ごとに小さな感動が得られるので、疲れた心にはぴったりかと。オススメです。


【感想まとめ】
ビーズログの作品は時折ツボにはまることがあるのですが、本作はまさに。読みやすく、楽しく、良い癒しになってくれました。



作品DATA
■著者:モリノ
■出版社:エンターブレイン
■レーベル:B’s-LOGコミックス
■掲載誌:B’s-LOG
■既刊1巻
■価格:620円+税


ためし読み