■やっとやっと思いが通じた双葉と洸。修子と小湊、田中先生もそれぞれ新たな関係へ─。そして、洸が決めたこととは─。懸命にもがき、駆け抜けた青春ストーリー堂々完結!




完結しました

 13巻で完結しました。双葉と洸は12巻でひとしきり試練は乗り越えた感があったので、最終巻ではどんな山場があるのかと思っていたのですが、二人についてはそれほど山場という山場はなく、通じた想いを確信へと変えて行く過程が描かれたという感じでした。むしろメインは修子と小湊の恋模様で、見どころはそこかな、と。そういうこともあって、洸と双葉の物語としては、13巻はエピローグっぽい印象が強かったです。この流れを見てみると、12巻であそこまでドタバタする必要はなく、まずは小湊と修子の関係を作ってから、双葉と洸のクライマックスを描くという流れでもよかったんじゃないかとも思ってしまったり。


 もちろん主人公の恋に感化されて脇役の恋が成就するという流れも当然あるのですが、そこで物語が完結するというのは比較的珍しいのでは。またその脇役の恋も、揉めるでもなく思っている以上にすんなりという感じで、結局13巻で何をしたかったんだろうという疑問は残ります。恐らく「名前を変え完全に救われる」ということを最後のイベントとして描こうというプランがあったのだと思うのですが、一人のキャラクターの再生ではなく、むしろ二人の恋愛物語として軸足を置いて期待していたであろう読者からすると、少し肩透かしを食らったような感覚を受けるのかもしれません。だからなのか、アマゾンレビューはあまり芳しくないですね。

噛ませ犬のアフターケアが適当だった

 さて、大勢が決着して、最終話では物語も最後の片づけという様相を呈してくるのですが、ここで気になるのが噛ませ犬として頑張っていた冬馬。てか冬馬って馬って文字が付く上に、当て馬の音読みですね。根っからですわ。個人的に冬馬は自分の当て馬センサーにはさほどビビっと来ていなかったのですが、それでも最後は幸せになってほしいもの。大抵の当て馬たちには物語後半で、失恋しつつも素敵な相手があてがわれているものなのですが、彼の場合それがありませんでした。もちろんゼロではないんですけれども、予感の予感ぐらいのレベルのものであり、まあ今後スピンオフとか特別読み切りとかで描かれるんじゃねーのという感がバリバリ。それすらなかったら究極の不遇って感じで素敵ですが果たして。


アオハライド130001
最終巻は殆ど登場シーンがなかった冬馬くん。

ストロボエッジのエピソードがあります

 さて、13巻ではストロボエッジの特別読み切りが収録されていました。ここで登場する蓮くんは、「あれ?こんなキャラだったっけ?」ってぐらいに嫉妬に溺れる男の子になっていて可愛らしい。メインで描かれているのは、仁菜子と蓮であり、団長とその彼女であったりといった恋愛模様になるのですが、むしろ印象に残るのは蓮と安堂のコンビ。正直この読み切りのみ切り取った時に、「え?これ蓮と安堂のカップリングを楽しむ話なのか?」と思うほどにこの二人の関係性(というか安堂の想い)にニヤニヤ。


アオハライド130002
蓮と安堂が二人だけでどこかに出かけて1日を終えるみたいな読み切りとかあったら絶対読むんですが、無理ですかね。まずないでしょうけど。

既に新連載が

 メディアミックスするレベルの作品を完結させた後はしばらく休養期間が挟まれる印象があるのですが、咲坂先生は意欲的に執筆をし、早くも新作が発表されているようです。「思い、思われ、ふり、ふられ」ということで、今回もバリバリ恋愛ものという感じがしますね。これだけ次の発表が早いと、アオハライド連載中もこっちの構想に軸足が移っていき、早々にアオハライド切り上げ……なんてうがった見方をしてしまったり。ともあれ新作、楽しみに単行本を待ちたいと思います。

関連記事(旧ブログ)

作品紹介→君にまた会えたこの奇跡を、新たな軌跡に変えて:咲坂伊緒「アオハライド」1巻
2巻レビュー→変わった君にドキッとした:咲坂伊緒「アオハライド」2巻
3巻レビュー→こんなの絶対好きになる:咲坂伊緒「アオハライド」3巻
4巻レビュー→過去も含めて今の君:咲坂伊緒「アオハライド」4巻
5巻レビュー→付き合うまであと1ミリのドキドキ感:咲坂伊緒「アオハライド」5巻
6巻レビュー→一番の盛り上がりと一番のモヤモヤ:咲坂伊緒「アオハライド」6巻
7巻レビュー→恋することはいつも難しい:咲坂伊緒「アオハライド」7巻
8巻レビュー→「好き」と言える勇気があるから前に進める:咲坂伊緒「アオハライド」8巻
9巻レビュー→冬だってのに春めく心:咲坂伊緒「アオハライド」9巻
11巻レビュー→平行線の修学旅行:咲坂伊緒「アオハライド」11巻
作者他作品紹介→今 伝えたい この想い:咲坂伊緒「ストロボ・エッジ」10巻