幼い頃のトラウマを克服するため、故郷に戻った刹那煌は、不思議な少年・如月銀河と出会う。彼は幼いころ“魔法”のように花火を操り、煌の心を強烈に動かした“魔法使いの弟子”だった!銀河を追いかけ、花火の世界に一歩踏み出した煌の日常に、“火”が灯りはじめた……。瞬き禁止!!花火のように熱き“刹那”を駆ける青春が始まる!





 「NO.6」のコミカライズなどを手掛けていた木乃ひのき先生の新連載です。タイトルと木乃ひのき先生ってイメージから勝手にファンタジーとかかと思っていたら、現実ベースど真ん中の青春ものでした。惹きつけられるように花火の世界に足を踏み入れたトラウマ持ちの少年と、煙火店(花火師)の息子が出会い描く青春グラフィティ。主人公の刹那煌は、家族を火事で亡くして以来火を見ると卒倒してしまうように。最近まで叔父の元で暮らしていましたが、今は故郷の高校で寮に入りながら生活をしています。友達に半ば強引に夏祭りに連れていかれた煌は、人気のない神社で花火をまるで自在に繰る不思議な少年に出会います。どこかで見たことがあるような……少しして思い出したのは、幼いころに同じように花火を操ってみせた少年。彼を思い出すと共に、幼いころに抱いていた花火への強い憧れの気持ちが再び湧き上がってきて……というストーリー。「自在に花火を打ち上げる」というのは、彼が花火屋の息子でプログラムを暗記していたからというオチです。


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花火に触れて高ぶる心。自分自身のトラウマと向き合うと同時に、色々な人との出会いが生まれる。


 講談社はこういうニッチなテーマが本当に好きですね、実に“らしい”。編集部は違えど、かるただったり金魚すくいだったり、様々な日本文化を取り上げてきます。花火師を描いた女性向けマンガというと、これまた講談社の「はなびじん」を思い出しますが、この他で花火師を描いたマンガってあるんでしょうか?ちょっと気になります。

 1巻ではまだ花火の世界のほんのひと部分を知ったのみで、自分自身が何か関わるということはありません。2巻以降、本格的に花火の世界に足を踏み入れていくのでしょう。花火でどこに盛り上がり要素が……と思われるかもしれませんが、一応品評会的な競い事もあり、それなりにバトルマンガめいています。噛ませ犬の香りがするライバルの煙火店とか。またこういったテーマの作品なので自然な流れではあるのですが、これはちょっと笑いました…


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ほんの一瞬の微妙な色の変化を……見分けられるなんて……!



 主人公の素質垣間見せる特殊能力キター!まあこれだけなんですけど。ちなみに花火屋の倅はスターマインのプログラムを一瞬にして暗記することが出来るというスキルを持っています。もちろん大真面目で青春模様を描いているのですが、ノリ的には、コロコロコミックで流行らそうとしてたビーダマンとかヨーヨーとかのマンガあたりの流れに近いものがあるかもしれません。


 また男子のみしか登場しないかと思いきや、おあつらえ向きに花火マニアの女子が学校にいるという。無口な友達に代わって解説してくれるようなポジション。普通に考えたらありえないんですけれども、かわいいから許します。もちろん恋愛展開があっても良いのですが、1巻の感じからするとそうやすやすとはそちらの方向にはいかなそうですかね。よほどの長期連載にならないと。



 主人公は火は怖いけれど、花火は大丈夫という不思議な状態になっています。その時点で彼にとっての花火の特殊性がわかります。背景的には、彼を火事から救ってくれたのはほかでもない花火であり、トラウマを抱いて再び彼を花火が救ってくれるというコンテクストになるのかなと。これにどう青春模様や花火業界のあれこれを混ぜ込んでくるのか注目です。





【感想まとめ】
正直ギャグに片足突っ込んでいる感もあるのですが、今のところギリギリ大丈夫なので、オススメしたいところです。



作品DATA
■著者:木乃ひのき
■出版社:講談社
■レーベル:ARIA
■掲載誌:ARIA
■既刊1巻



ためし読み