■ある日突然できた兄の愛が重い。……です。
お兄ちゃんは義妹がだいすき。
かまってかまってかまいすぎちゃって、結局いつも怒られる。
これってやりすぎ?……いや、愛だよね?





 コミックポラリス連載作でございます。タイトルは「新戸ちゃんとお兄ちゃん」ということで、内容を説明するとタイトルのまんま、ニートな妹と兄のドタバタを描いたホームラブコメディ。主人公はひきもり歴2年の16歳、新戸ののちゃん。部屋にこもり安穏とニート生活を楽しんでいた彼女の元に、ある日突然お兄ちゃんが現れます。母が再婚し、その息子さんだという彼は、一見爽やかイケメンお坊ちゃま。けれどちょっと触れ合ってみて、その異常さに気づきます。妹への愛が……愛が強すぎる……!どんな要求にも過剰なくらいに応えてくれて、いつだってかまってかまってしてくるのです。それは愛とか恋とかいうたぐいのものではなくて、もはや信仰。追いたい兄と、逃げたい妹の攻防が、今日も今日とて繰り広げられます。




新戸ちゃんとお兄ちゃん0001
八千代の愛の強さよ。これなんか全然可愛い方。単に妹が好きとかそういうレベルは超えていて、もう過去や前世で何かあったんじゃないかってレベルで触れ合いを求めてくるのです。その姿はただの変態としか言いようがないという。




 それまでぼろアパートに住んでいたののですが、母の結婚を機に兄・八千代の家に住むことに。普通であれば喜ばしいことですが、とにかく変化を好まない引きこもりにとっては、引っ越しも部屋が広くなることも苦痛でしかありません。しかもこちらの制止など意に介さずにズケズケとパーソナルスペースに入り込んでくる兄の妹愛力にやられっぱなし。必死に嫌われようと無理難題をふっかけたりするのですが、それすらも愛へと変換してしまうハイスペックっぷり。これだけイケメンで優しいのであれば、ののも素直に受け入れれば良いのですが、どうしても頑なになってしまうのに加え、やはり時折見せる気持ち悪さが受け付けないという。


 そのため1巻での歩み寄りは非常に少なく、たぶんこのままこのペースでいくんじゃねえかと思わせる何かがありました。たぶん兄と妹で禁断の恋的な展開を期待される方もおられるかと思いますが、そのルートに乗るには結構道が険しそうです。

新戸ちゃんとお兄ちゃん0002
結構優しいところのある妹・のの(ただし兄への思いやりはない)。

 ちなみに八千代は平常時はどちらかというとドSで、周りをいいように使う面があります。で、ののとのやり取りの中でも時折不穏な笑みを浮かべる時があり、もしかしたら何か裏があるんじゃないかと勘ぐってしまいたくもなります。ただ好きってのは間違いないはずなので、あったとしてもあくまでスパイス的なものだとは思いますが。

 なんだか八千代の異常さばかりが強調されますが、ののも引きこもりですからね。どうしても世間と感覚がずれている部分があったりします。要するにどっちも「変わり者」で、その二人がやり合うのだからお話はとっちらかりますよ、と。何か一貫したストーリーがあるわけではなく、二人の気まぐれによって始まり終わる、実に気楽で気ままなコメディ。肩ひじはらずに、家で寝転がりながら読んでほしい作品です。





【感想まとめ】
思った以上に相容れない感じが微笑ましく、楽しく読むことができました。あと帯の裏側が結構怖いことになっているのに気付き、兄の愛の重さを再認識しました。あとポラリスの本作のアドレスが、あたりまえですが「neet」であることがちょっとツボ。



作品DATA
■著者:岡田ピコ
■出版社:ほるぷ出版
■レーベル:ポラリスコミックス
■掲載誌:ポラリス
■既刊1巻



ためし読み