■売れない芸人・朝日屋颯太は相方に逃げられ仕事がない!
そんなある日、半年ぶりに現れた元相方が放送作家になって美人ディレクターを連れてきた。2人の手引きで颯太はラジオ業界に足を踏み入れるが……!?
超マイペース男とくせ者だらけのラジオ局の爽快ラジオ群像劇!!




 なにやら「ギャラクシー街道」が大コケしているらしいですね。三谷幸喜作品では「ラヂオの時間」が好きです。と変な導入で始めてしまいましたが、「夏雪ランデブー」の河内遙先生の新連載となる本作は、ラジオがテーマのお仕事ものとなっています。


 主人公は売れない芸人・朝日屋颯太。元々コンビで漫才をしていましたが、半年前に相方からの提案で解散。今は殆ど仕事もなく、バイトで生活費を稼ぐ日々。そんな中、突然彼の家を元相方が訪れます。聞くところによると、彼は芸人から転身し、放送作家になったとのこと。明るく自然体で、不思議と誰とでも会話の弾む颯太の性格に「ラジオ向き」の匂いを感じ取った元相方が、彼をラジオで起用しようと声をかけてきたのでした。元相方と美人ディレクターに連れられるがままラジオ局を訪れた颯太の人生は、徐々に転がり出し……というお話。



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とにかく明るい颯太。明るいというか、素直というか、スレてないというか。この性格がラジオで良い方向に働く。

 帯ではパーソナリティー物語と謳われているのですが、いきなり番組司会に抜擢されてトントン拍子に人気爆発なんてことにはなりません。むしろ1巻では、本番に出る所までもなかなか行かないという。元相方も放送作家とはいえ、なりたてのペーペーですし、キャスティングを強引に決められるような力があるわけではありません。売り込みのためのデモを作ったり、ミニコーナーの担当に推薦してみたりと、まず出すためのあれこれが描かれます。このなかなか話が進まない感じがリアルさを感じさせるとともに、番組作り・パーソナリティ作りを丁寧に描き出しているように感じられて、興味深く面白い。そんなある意味でやきもきするような状況なのですが、当の颯太本人は至ってお気楽。気張らずにマイペースに生活し続けます。そんなところもまた、ラジオ向きなのかもしれません。


 さて、物語は主に、表紙に描かれる3人によって進んでいきます。男二人はこれまで書いた通り。そしてちょっと謎めいているのが、美人女性ディレクターの雪室。元々このコンビには目を付けていたようで、相方の水無月を引き抜いた張本人です。彼は颯太推しというわけではなく、水無月の仕事の仲間として色々と手伝ってくれているような感じ。配置的にも恋愛のアレコレがあっても良さそうなのですが、1巻時点ではそういう雰囲気はありません。これから出てきたら面白そうです。



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というかむしろ愛という意味では、颯太と水無月のコンビ愛が何より素敵だと思いませんか。放送作家となって、自分の脚本で元相方を売り込みたいって。皆まで語られることはないですけれど、これって結構な愛だと思うんですよね。この二人の関係を意識して読むと、色々捗りそうでございます。

 今でこそラジオってあまり聞かなくなりましたが、高校受験から大学受験では非常にお世話になりました。ANNとかラジアンリミテッドとかGROWING REEDとか。一番好きだったのはWANTED!ですかね。菊地成孔とかバナナマンとか、勉強しながら聞いてたはずが全く手についていなかったり。大学では安部礼司やにハマっていたのも良い思い出。振り返れば割とFMっ子だったんですかね。ちなみに本作はAMラジオ局が舞台です。そんなラジオっ子の心くすぐる一作、ラジオを聴きながら楽しんでみてはいかがでしょうか?


【感想まとめ】
正直1巻時点ではこれと言って何か起こるわけでなくパンチ力に欠ける感はあるのですけれど、ラジオというテーマゆえかやたらと惹かれてしまいました。河内先生ですし、先々もきっと面白くなることでしょう。おすすめ。



作品DATA
■著者:河内遙
■出版社:祥伝社
■レーベル:FC Swing
■掲載誌:フィールヤング
■既刊1巻



ためし読み