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女性向けマンガのレビューとか

同居生活はじめます! -やまもり三香「椿町ロンリープラネット」


■大野ふみ、高校2年生。
父親の借金返済のため住み込みの家政婦をすることに。
家主は……目つきも態度も悪い小説家・木曳野暁。
新しい町での同居生活、いったいどうなるの――!?




 「ひるなかの流星」のやまもり三香先生の新連載です。今度も女子高生が一人、これまでとは異なる環境で暮らし始めるところから物語が始まります。主人公の大野ふみは、母を早くに亡くし、父と二人で暮らしてきた女の子。背負った借金返済のため、父はマグロ漁船に乗り込むことになり、加えて住んでいた家も手放すことに。家を亡くしたふみは、父のツテで、とある作家の家で住み込みの家政婦として働く事になります。「木曳野暁」…その字面から、お年を召した方が登場するかと思いきや、現れたのはジーンズにTシャツで目つきも態度も悪い若者で……。気まぐれな作家先生の家で、果たしてふみは平穏な日々を送ることができるのか…!?というお話。


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家政婦なのでいっぱいご飯を作ります。そしてぶっきらぼうな態度の木曳野暁。


 1巻が出たところでレビューしようと思っていたのですが、正直1巻読んだだけでは今一つピンと来ていませんでした。で、今回2巻を読んだのですけれど、正直まだピンと来ていないです(笑)ピンと来ていないという表現はちょっと語弊があるかもしれませんが、「ひるなかの流星」と出会った時のようなワクワク感とか高揚感が湧き上がって来ていないというだけで、決して面白くないということではないですよ(長い言い訳)。


 その感覚の源泉を考えてみたのですが、まず挙げられるのが相手役となる木曳野暁。無精な若手小説家というだけでなく、時代小説を書いているからか言葉遣いもやや時代劇的で、ヒロインのふみのことを「娘」と呼んだりするわけです。気難し屋さんでもあり、序盤での印象はそこまで良いものではないです。もちろんそこから、ふみと生活を続けることで打ち解け、可愛らしい部分も見えてくるように。2巻では最初の頃とは比べ物にならないほど、丸く仕上がってます。最初こそ「人間的にちょっと欠けたキャラ」という人物像だったのに、気が付けばしっかりと大人に。個人的にはここでようやく腑に落ちたと言いますか。


 木曳野暁を語る上で外せないのが、前作に登場した獅子尾。当初こそ彼本線で進んでいましたが、結果的に噛ませ犬ポジションであった馬村にヒロインを掻っ攫われてしまいました。彼がヒーローになり損ねた理由は多々あると思いますが、個人的には教師という大人としての振る舞いを求められるポジションにありながら、大人になりきれなかったのが痛かったのかなぁと感じています。それが彼の魅力でもあったのですが、結果力及ばず。だから本作は、獅子尾でできなかった「年上の男性とのハッピーエンドな恋」を再び描こうと試みているのではないかな、と。ノリの良かった獅子尾に対して、硬派な木曳野暁。近くて遠かった存在も、今作のように一緒に住んでしまえば万事解決(?)。色々とアプローチを変えて描いているように感じます。こんなことを考えて、ようやく納得でき、素直に物語を楽しめるようになりました(遅い)。


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しっかり叱り、しっかり諭す。そして、しっかり守ってくれる。大人な行動が、頻繁に見られます。


 ヒロインのふみは家事全般が得意である家庭的な女の子。恋愛には疎く、ウブさが際立ちます。気は弱い方だと思いますが、一本芯は通っているようで、時に突拍子もない行動に出たりする意外性も持ち合わせています。結構かわいい(結局そこ)。あとすずめもそうだったのですが、「ごはんをおいしそうに食べそう」というイメージが。この子の場合はたくさん食べる子ではなく、作る子らしいですけれども。今作では家政婦という役回りから度々料理をする場面が描かれるのですが、それが結構美味しそうなんですよ。読んでいるとなんだか妙にお腹も空いてくる、そんな作品です。



【感想まとめ】

ようやく掴み始めた感じなので、巻を重ねつつじっくり深く読んでいければと思います。



作品DATA
■著者:やまもり三香
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊2巻



ためし読み

1 Comment

  1. はるしお

    2016-09-28 at 03:19

    いづきさんの感覚は私と合う部分が多いのか、共感できたり参考になるレビューが多いので、いつもありがたく拝見しております!
    ですが、1つだけ言わせてください…
    まさかここでひるなかの流星 のネタバレをされるとは思っておりませんでした。お手数ですが、次回からは他作品のネタバレを含む場合は冒頭で注意書きを一言頂けると嬉しいです。

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