修二と空はイトコ同士。かつて空のせいで野球をやめた修二は、高校の入学式で空と再会。体の小さな空を見て、「今なら勝てる」と思った修二は野球部に入部することに……。




 「いちご100%」などを描いていた河下水希先生が、桃栗みかん名義で実に15年ぶりに少女マンガ誌に復帰。YOUで本作を連載しています。さすがの知名度というところで、書店でも厚めに平積みされていました。女性向けレーベルですが、表紙は青一色で、比較的男性も手が出しやすいんじゃないでしょうか。


 物語は表紙からも分かる通り、野球です。それも恋愛とか交えつつの甘酸っぱい青春とは今のところ無縁の、少年誌のスポ魂然とした内容だからちょっと驚きです。主人公の修二は、小学生時代ずっと野球に打ち込みつつも、中学では野球を辞めていました。その原因となったのが、イトコの空。修二に誘われて野球を始めたものの、いつしか修二よりも上手くなり、エースの座を奪われてしまうまでに。いつも彼の周りには人が集まり、自分からは離れていく……それが修二のトラウマとなり、未だに彼を苦しめているのでした。高校の入学式、イギリスに行っていたハズの空が目の前に現れ、今度は彼に野球部に誘われます。一度決別したはずの野球ですが、この体格差があれば勝てるとの思惑から入部を決意して、、、というストーリー。


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あらすじ紹介からわかるように、再スタートの原動力は復讐という、なかなかダークなエネルギーが渦巻く物語となっています。ライバルの空は別に全然悪気とかは無くて、純粋に野球を楽しんでいるという。修二のことはむしろ慕っていて、一緒に野球が出来ることも楽しみにしていたり。しかし修二にとってはその無邪気さ含めて憎くてしょうがないという感じ。ちなみに勉強も空の方が上で、何かにつけて劣等感を刺激される存在というわけです。とにかく空に対してのアレルギー反応みたいなものが凄くて、青空という字面から来るような爽やかさは1巻時点ではほぼないですね。むしろデスノートとかに通ずるものがあるような気すらします(笑)ダークヒーローとでも言いましょうか。


 入部した高校は人数ギリギリで割とユルめなチーム。入部早々に交流試合があるということでピッチャーのポジションを争うのですが、体格の良さを生かした速球で見事ポジションを手中に収めます。そして実際に試合に臨むわけですが、プレッシャーからかコントロールが定まらず、その結果は推して知るべし。その後の展開は実際に読んでのお楽しみですが、野球漫画であればなんとなく選択肢として出てきそうな展開。とはいえこれを少年漫画では出来ないだろうなぁという思いもあり、「この媒体だからこそ」という感は強いです。


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一応女子キャラは登場するのですが、修二の実妹のみと、恋愛展開はなさそう。むしろその見た目、関係性から、ヒロインは空以外にあり得ません(むしろ修二が?)。それぐらい可愛いし、連れて帰りたい(犯罪)。この二人の関係性だけでも匂い立つものがあるのですが、メガネの友達や、無精ひげでロン毛の監督などをはじめ、脇役達も抜け目ないキャラ設定。とにかくあからさまなぐらいに腐女子に向いた作品になっています。


 正直1巻時点では野球描写はガッツリ描かれていないので、本作の「野球漫画」としての評はもう少し巻を進めてからという感じでしょうか。とりあえず今は「野球漫画」<「腐向けマンガ」というバランス感。そしてそのまま進みそうな感も(笑)YOUは女子向けですが腐向けという感もなく、やっぱり本作は少し異質。野球という題材といい、ダークな主人公といい、ホモホモしいキャラ達といい、色々な意味で続きが気になる作品で、ぜひ2巻も読んでみたいところ。



【感想まとめ】

正直異質すぎてどう扱ってよいのかわからないのですが、普通に2巻読みたいと思ったし、話のネタにもなるし、買わない理由は現時点で無いんじゃないでしょうか。オススメで。



作品DATA
■著者:桃栗みかん
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックスYOU
■掲載誌:YOU
■既刊1巻



ためし読み