おとよめ

女性向けマンガのレビューとか

この女性向けマンガがすごい!2015〜2016(継続作編)


完結作編に続いて、継続作編もお届けします。本年も、「おとなもこどもも、おねーさんも」を念頭に、15作品をピックアップしました。あくまで順位は目安です。ではでは、どうぞ……



1.森野萌「おはよう、いばら姫」(既刊2巻)

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……男子高校生・哲が家政夫のアルバイト中にお屋敷の離れで出会ったのは、病気療養中だというお嬢様・志津。見るからに元気そうで、以来彼女の頼みで一緒に会うようになるように。会うたびに距離が近づき好意も積もっていきます。ところがある日、彼女の様子は一変。自分のことも覚えていないようで……。
 多重人格的な設定を持ち込んでいる上に、男受けしそうなヒロイン、加えて頼りない男の子が主人公と、これまでのデザート(掲載紙)のイメージからはかけ離れているような内容にびっくり。男性向けの媒体で連載されていても違和感ないのですが、ここまで強くプッシュするのはその意外性からではなく、その出来の良さゆえ。人の寄り付かない、ある種隔絶されたお屋敷の離れでという場所で二人だけで紡ぐ、愛と不思議にあふれた日々に、2016年も注目です。

俺が好きになった人は、一体誰だったのだろう?:森野萌「おはよう、いばら姫」1巻(旧ブログ)



2.勝田文「マリーマリーマリー」(既刊2巻)

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……勝田文先生の作品はどれだけミュージカル調に描かれるかが面白さのバロメーターになっているように感じるのですが、こと本作については喜劇も喜劇。読んでいて本当に音楽が聞こえてくるかのような感覚に包まれます。思い切りの良さが素敵な鍼灸師のリタが、往診先で出会った自由気ままなミュージシャン・森田と奏でる結婚狂想曲。森田に振り回されるようにして転がる、リタのめくるめく結婚生活が見ていて本当に愉快痛快で、自分の結婚生活もこんなだったらきっと面白そうだなぁと憧れさせるわけです。結婚の幸せを描いた作品は多々ありますが、こんなにもロックで風変りなものはなかなかないんじゃないでしょうか。

キュートで奇妙なケッコンコメディ!:勝田文「マリーマリーマリー」1巻(旧ブログ)



3.有賀リエ「パーフェクトワールド」(既刊2巻)

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……車イス生活者となった初恋の相手との再会・恋愛を描いたストーリー。なかなかテーマ性の強い作品で、物語的にもそういった社会的メッセージが強くなってしまいがちな中、本作はあくまで「ラブストーリー」として描きあげます。車イス生活者との恋愛は想像以上に大変で、排泄や移動といった制限以外にも様々な困難がヒロイン・つぐみの前に立ちふさがります。また26歳という年齢では、当然結婚の話も抜きにはできません。家族の理解を得るのだって難しいのです。それでも一緒に居たいと思う二人の関係やいかに。読むのに体力使う作品にはなっていきそうではありますが、ともあれ話運びもキャラも非常にツボで、是非ともオススメしたい一作でございます。

再会した初恋の人は車イスに乗っていた。:有賀リエ「パーフェクトワールド」1巻(旧ブログ)



4.天乃忍「ラストゲーム」(既刊9巻)

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……九条さんが柳に恋愛感情を抱き始めてからの、この幸せすぎるやきもき感はなんなのですかー!!ふつう巻数を重ねてきたら最大瞬間風速は落ちてくるものだと思うのですが、本作に至っては衰えるどころか勢いは増すばかり。柳のアホっぷりは平常運行という感じなのですが、それゆえになかなか進まず。疑心暗鬼になっているために、思い切って引っ張ってあげられないんですよね。いよいよゲームも終盤に差し掛かってきたでしょうか。ゲームセットの時には、ニヤニヤで顔疲れてしまうぐらいのヤツ期待してますんで、よろしくお願いします!

空回りっぷりがかわいい:天乃忍「ラストゲーム」5巻(旧ブログ)



5.中村明日美子「君曜日-鉄道少女漫画-」(既刊3巻)

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……2013年の完結作編でご紹介していたのですが、普通に続刊出ました。1年で1冊ぐらいとゆっくりなペースで3巻目(実質2巻目)。鉄道をテーマに描いたオムニバス集「鉄道少女漫画」の続編。今回は、その中で描かれた鉄道少女のお話となっています。鉄道が好きで内気で静かな女の子・アコちゃんと、そんな彼女が好きな元気一杯な男の子・小平という、凸凹コンビが送る鉄道恋物語。夏祭りに鉄道デートと、羨ましい青春イベント盛りだくさんですが、当のアコちゃんは乗り気でない様子。気難しい年頃ですからね。けれども小平に引っ張られるように、気づけば甘酸っぱくも楽しい思い出に。少しの青春の痛みと、たくさんのみずみずしさに溢れる、何度も読み返したくなる作品です。

君と出会い、君と過ごし、君を想ったあの日:中村明日美子「鉄道少女漫画2 君曜日」(旧ブログ)



6.たらちねジョン「グッドナイト・アイラブユー」(既刊2巻)

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……「本格派オトナ女子が読みたいコミック誌」として2014年に創刊されたコミック誌・『COMIC it』の単行本が、2015年に続々と刊行されました。その中でもひときわ心掴まれたのが本作。一人で母を看取った大学生の大空は、母の遺言に従い、ロンドンへ渡ることに。遺言にある通り、ロンドンの母の友達へ母が死んだことを伝えると、今度は違う行き先が書かれた遺言を渡される……。こうして母が残した最後のプレゼントによって、大空はヨーロッパ各国を回ることになるのですが、なんせ初海外で英語もままならない状態。内気な性格の大学生らしく、恥をかくのを嫌い、積極的にコミュニケーションを取ることも出来ません。そういった恥を積み重ねて少しずつ成長し、やがて見えてくるのは離れ離れだった家族のこと。読むと家族が愛おしくなり、そしてなんだかとても旅行に行きたくなる物語を、凝った装丁と共にお楽しみください。

母の遺言から始まる俺の異国での旅 -たらちねジョン「グッドナイト、アイラブユー」1巻



7.安藤ゆき「町田君の世界」(既刊2巻)

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……このマンガがすごい!2016で3位にランクイン。素晴らしい短編集を連発していた安藤ゆき先生の、待ちに待った長期連載ですが、正直1巻を読んだ時点ではピンと来ていなかったんですよね。というのも、恋愛要素が極端に少なかったので。ところが2巻でそこはしっかり解消され、気づけばどっぷりでした。
 主人公の町田君は、運動も勉強も家事も上手くこなせない不器用さん。けれども周囲の人たちからこの上なく愛されています。それは、彼が生粋の“人たらし”であるため。ちょっとした変化に気づき声をかけるし、損得勘定なしに誰かのために躊躇なく行動できるし、思いやりに溢れ親切で、いつだって一生懸命。そんな愛され上手な彼が見つめる世界は、いつだって優しく鮮やかに色づいています。そしてそんな彼に恋してしまった猪原さんの可愛いことよ。




8.田中メカ「朝まで待てません!」(既刊1巻)

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……田中メカ作品で「キスよりも早く」以来、久々にど真ん中どストレートどストライクな作品が来ました。青年マンガ誌の編集者・順平が、完全無欠と呼ばれるライバル誌の美人編集・夕子と出会い恋するオトナお仕事ラブコメ。同じ売れっ子漫画家の担当ということがキッカケとなり、以降頻繁に会うことになるのですが、順平の屈託のない好意の露出に、ガード固い夕子もついつい崩されがち。普段無表情な女性が見せる赤面とか最高なわけですけれど、本作ではそんなシーンが何度となく描かれ、ニヤニヤが止まりません。田中メカがニヤニヤラブコメにステータス全振りしたらここまで出来るんだぞ!とでも言うような期待の新連載です。

マンガ編集者同士の仕事と恋! -田中メカ「朝まで待てません!」1巻



9.ヤマシタトモコ「WHITE NOTE PAD」(既刊1巻)

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……17歳の女子高生と38歳の自動車工の男が、ある日突然、体と人格が入れ替わってしまう。それから1年、女子高生の体を手に入れた男は容姿を磨き売れっ子の読者モデルに。一方少女は、記憶喪失扱いで定職を失い、茫然自失とした日々を送る。やがて再会した二人。少女は読者モデルをしている男の計らいで、ファッション誌の編集部に手伝いとして入れてもらうことになるが…というところから始まるお話。ヤマシタトモコ先生の入れ替わりものというだけで非常に興味深いのですが、入れ替わり対象が同年代ではなく、オッサンと少女という所も風変りで魅力的。何も持っていなかったけれどぐんぐん知識を吸収して、徐々にこれからの日々に前向きになっていく少女と、これまでの人生の後悔を元に二度と同じ失敗は繰り返さないとギラつく男の対比が面白い。全く正反対の環境に置かれ、相容れない価値観を持ちつつも、秘密を共有しているがために互いに寄り添わざるを得ない二人の関係が、最終的にどこに行きつくのか、目が離せません。

女子高生と中年男の入れ替わりドラマ -ヤマシタトモコ「WHITE NOTE PAD」1巻



10.アサダニッキ「星上くんはどうかしている」(既刊3巻)

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……「青春しょんぼりクラブ」のアサダニッキ先生のデザート連載作。八方美人なヒロイン・いさりが、ひょんなことから友達ゼロな星上くんの面倒を見て、クラスから孤立しつつも本当の友情と恋というものを見出していく青春ストーリー。巻を重ねるごとに恋愛色がどんどん強くなっていき、気が付けば極上のラブコメに。友情というゾーンからなかなか動いてくれない星上兄とのちょっと切ない関係性も見ものですが、何よりイケメンで誰からも愛される(けれども裏の顔がある)星上弟の噛ませ犬っぷりが素晴しい。ハイスペックなイケメンが噛ませ犬ポジションで苦しむ姿ってのは、いつ見ても至高です。

キョロ充女子と似てない双子の三角関係:アサダニッキ「星上くんはどうかしている」1巻(旧ブログ)



11.KUJIRA「あたたかな針」(既刊2巻)

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……「やさしい針」を2013年の継続作ベストに入れていましたが、掲載誌を変えて続編の登場。すでに2巻まで出ています。学校の先生に恋してしまった手芸が得意な主人公・亮太朗。その先生は妻帯者と不毛な恋愛を続け、そんな亮太郎を想うのは、同居する義理の妹である結子。そして結子にも恋の矢印が伸び……と、それぞれ想いあっているのに、双方向を向き合う矢印は一つもありません。そしてそのどれもが、タブーに触れるような恋と、とにかく切なくやるせない想いに溢れた作品。正直どういう意味で「やさしい」だとか「あたたか」といった言葉をタイトルに据えたのかはわからないのですが、とにかく切なさ先行。あと岡田さんって男性が登場するのですが、クズ度の高いキャラクターでぜひ注目してもらいたいところ。

それぞれの切ない想いを編み込んで…:KUJIRA「やさしい針」1巻(旧ブログ)



12.志村貴子「こいいじ」(既刊2巻)

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……志村貴子先生が、KISSで連載する日が来るとは。30歳になる下町の銭湯屋の娘・まめが、物心ついた時からずーっと想いつづけているのが、幼馴染の聡ちゃん。最愛の妻を亡くし、今は娘と二人、喫茶店を経営しています。長い間長い間、募らせ続けてもなお報われることのない想いが切ない。彼女の姿が想起させるのは「ハチミツとクローバー」の山田あゆみ。大人になってもこじらせることなく育て続けた片恋の行方を、下町という人情味あふれる舞台で描き出します。アラサーヒロインなんですけど、恐ろしいほどに純度が高いその想いに驚かされるばかり。タイトルこそ「恋意地」ですが、決して意地なんて貼って無いようにみえるんですよね。これだけ想う方も、想われるほうも、疲れるでしょうがなんだかとても羨ましく思えてしまいます。

恋意地はった、長い長い片想い。:志村貴子「こいいじ」1巻(旧ブログ)



13.餡蜜「カンナとでっち」(既刊4巻)

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……2015年、最も楽しませてもらったであろうラブコメ。工務店を営む父のもとに、見習い大工としてやってきた勝仁は、住み込みで修行をすることに。知らない男子と一緒に住むなんてと、最初は抵抗していたカンナですが、彼の人柄にだんだんと惹かれていきます。しかしもちろん、同居にあたっては恋愛厳禁。娘LOVEな父が、いつも目を光らせており…という同居モノ。もうこれでもかというぐらいに同居モノの「お約束」を詰め込んでおり、このシチュエーションが好きな人は楽しめないハズがありません。あとこれほどまでにお父さんが登場してくるラブコメも珍しいんじゃ。これだけ邪魔しつつも本当に嫌われていないのは、娘から父として尊敬されていると共に、勝仁からも職人として尊敬されているからに他なりません。ある意味理想的な2世帯家族像が描かれており、ホームコメディとして楽しめる側面もあるかも。

やっぱりこれは良ラブコメ:餡蜜「カンナとでっち」2巻(旧ブログ)



14.宇佐美真紀「夕暮れライト」(既刊3巻)

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……気が付けばベツコミで追いかけているのも本作だけになってしまいました。父の再婚をきっかけに引越し、同い年の姉妹が出来ると共に、その彼女の幼馴染・相馬兄弟を交えて4人でおくる青春群像劇。同じマンションに住む4人ということで、何かと一緒に過ごすことが多くなると共に、恋心も芽生えたり……。思っていることは素直に口に出すうるさい性格ながら、ついつい落ち込みがちという可愛く目が離せないヒロインと、そんな彼女を取り巻く優しい人たちとの関係が温かく微笑ましい。出発点が親の再婚ということもあり、ラブストーリーだけでなく、家族関係もカバーして描き出します。

くすぐったく、時に痛い、恋のしはじめ:宇佐美真紀「夕暮れライト」2巻(旧ブログ)



15.山中ヒコ「死にたがりと雲雀」(既刊3巻)

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……あまり話題になることのない作品ですが、かなりの良作だと思っています。比較的低年齢向けの作品が多い印象のあるARIAにあって、お江戸人情物語を描き出す本作はかなり異色。寺子屋を営む一人の浪人・朽木と、その寺子屋に通う一人の少女・雲雀とが心通わせ、本当の家族のようになっていくお話。幼くして身寄りを失くした雲雀が、心優しい朽木の愛情を受けて、段々と心開き成長してゆく様子が本当に感動的。江戸時代ですから、理不尽であったり血なまぐさい事件も起きるわけですが、それに巻き込まれながらも一層絆を強めていく二人の姿に、きっとあなたも心打たれるはずです。




+α.藤もも「恋わずらいのエリー」(既刊1巻)

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……なんてことないラブコメなんですが、2015年で一番泣いてしまった作品。スクールカーストで最下層に位置するヒロイン・恵莉子のもっぱらの楽しみは、かっこよくて爽やかなイケメン・近江くんで色々と妄想をし、それをネットでつぶやくこと。ある日それが当の近江くんにバレてしまい、ドン引かれるかと思いきや、むしろそれをネタに恵莉子をいじって近づいてきます。そしていつしかそのおふざけはマジになっていき……というチョロかわな二人の甘い甘いラブコメディ。とにかく近江くんの承認力が凄くて、ヒロインのトラウマやコンプレックスを知ってか知らずかことごとく受け入れ癒してくれるという。個人的に今一番続きが気になる作品の一つであります。

変態地味女子×ウラオモテ男子 -藤もも「恋わずらいのエリー」1巻





 以上、15+1作品をお届けしました。昨年は継続作編はお届けできなかったので、およそ2年ぶりになるでしょうか。そのころから比べると、だいぶラインナップも変わったように感じます。ピックアップ作品を振り返ると、2巻以上出ているものが多いような感覚がありますが、1巻程度だと掴みきれない部分も多く、自分の中での評価が固まりづらいという側面があるのかもしれません。あくまで自身の感性に従ったラインナップではありますが、相応に確度は高いという手ごたえは感じております。出版社的には、相変わらず講談社と集英社多め。その他では白泉社が何作かあるぐらいで、もう少し散らしたいかなぁという気持ちもあるのですが、今年に限っていえばそこまで鮮烈な印象を残したものはなく、、、。

 年末ムック本上位の作品では「ヲタクに恋は難しい」や「東京タラレバ娘」などがありましたが、前者については、1巻ではちょっとエピソードの寄せ集め感が強かったので、より作品としてのまとまりが出るであろう2巻まで出た時点で考えたいという思いから、後者は自身の感覚と周囲での反応の良さにちょいとギャップを感じております、というところでしょうか。

 この他迷ったのは、アキヤマ香「長閑の庭」、河内遥「リクエストをよろしく」、西炯子「カツカレーの日」、咲坂伊緒「思い、思われ、ふり、ふられ」、群青「飴菓子」、師走ゆき「高嶺と花」、石田拓実「カカフカカ」「トライボロジー」、みたおでん「まとめ☆グロッキーヘヴン」、海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」、D・キッサン「千歳ヲチコチ」、二星天「京都ゆうても端のほう」、奥山ぷく「Baby,ココロのママに!」、小嶋ララ子「星くずドロップ」などなど……。

1 Comment

  1. 楽しみにしていたので、今年は復帰で嬉しいです。
    自分の知らない作品もあったので、
    集める漫画の参考にさせて頂きますね。読むのが楽しみです。

    もうお読みかもしれませんが、
    白泉社の斎藤けん著『かわいいひと1~2巻』もすごくオススメです。
    純粋に恋をするふたりが可愛くて、愛おしくなります。
    しかも笑えるほど面白いので、もうけしからんです笑

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