■芹沢天、高校1年生、女子。
通学はバスで片道2時間。特に不満は、なし。だったけど……。友達の下宿先にこっそり泊まった日。そこに住む男の子の言葉に背中を押され、家を出て下宿をすることに。新しい出会いが呼び起こす、この気持ちはいったい何……!?




 「日々蝶々」の森下suu先生の新連載でございます。完結してからも間を置かずに新作を描きあげるのはさすが。ストーリーと作画で担当が分かれているからでしょうか。前作では学校一の美少女のはじめての恋を丁寧に描きあげましたが、本作でヒロインをつとめるのはごくごく普通の女の子です。ヒロインの天は、住んでいるところから高校までが遠く、朝五時には起きて、バスで片道2時間かけて通学をしています。しかし本人としてはそれほど苦には感じておらず、卒業までそのスタイルを続けるつもりでした。けれどもある日、友達の下宿先に泊まってみたところ、そこも案外悪くない……いや、良い。ということで、家族に相談してみたところあっさり快諾。ほどなく下宿生活をはじめることになります。下宿には男子が3人、女子は天を入れて3人の、合計6人。それぞれ個性的なメンバーと共に、天のキラキラな新生活がはじまります……!


 男女6人、管理人さんも相応に若い女性で、合計7人が一つ屋根の下という中でおくる青春群像劇。学年構成ですが、天を含めて男子2人、女子2人が1年生。ガリ勉っぽい男子が2年生で、ショートカットなお姉さん的存在の3年生という感じ。中心は1年生ですが、物語におけるポジション的にも1年生が中心を担っていきます。




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ヒロインの天は小柄なツインテール女子で、元気よさそうな見た目ですがどちらかというとクール系。いやクールというより、あんまり動じないというか、肝が据わっていると言いますか。思ったことを素直にズバッと言うようなウラオモテのない、気持ちの良い性格の持ち主です。


 そんな天と仲良しなのが、地元がおなじあげはちゃん。なんか顔のパーツが簡素に描かれているというか、無害感=脇役感ハンパないんですけれども、天を下宿に引き込んだ功労者でもあり、またにこやかで饒舌な所が非常に親しみやすいナイスキャラ。


 同学年の男の子2人は、もちろん少女マンガですからどちらもイケメンでございます。一人は天とは別の高校に通う理久。人懐っこくノリの良い性格で、女子には自然に優しくお姫様扱いできちゃうような男の子。もちろん周囲には常に女子がいるようなモテ男子なのですが、恋愛には意外に真面目で、彼女は作らず女子たちに手は出しません。物語では、なんとなく天のことが気になっちゃうようなのですが、果たして。




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黒髪が理久。茶髪が千秋。二人は高校が違い、また下宿生活を始めて間もないので、そこまで仲良しというわけではありません。天と同じく、お互いをゆっくりと知っていく途中。


 もう一人は天と同じ高校に通う笠寺千秋。理久を「動」で例えるならば、こちらは完全な「静」。とにかく読書が好きな彼は、その見た目から女子たちの人気を集めつつも、どこか近寄りがたい雰囲気を醸し出しており、良い意味で孤高な存在になっています。無口で表情も豊かではないので感情が読み取りにくいですが、決して人嫌いというわけではなく、下宿生たちとも良い関係を築いています。天に対しては偉人たちの言葉を借りながら、迷っている彼女の背中を押したりと、要所要所でポイントの高い発言をして天の興味を引きます。一発目にツルゲーネフの言葉を出したと思ったら、二発目には相田みつをという謎のチョイスをするあたり、先行するのは博識よりも変人という印象です。


 1巻はそんな彼らの性格や、恋の矢印などがなんとなく見えたところで幕引き。2巻以降、関係はよりはっきりと、そして速さを増しながら変化をしていくことでしょう。キャラクター達からも、前作より賑やかな雰囲気にはなりましたが、多くを語らず、シンプルに短い言葉で会話や気持ちをつないでゆくスタイルは相変わらずで、素敵です。


【感想まとめ】
1巻時点では動き出したところでなんとも言えずですが、日々蝶々も2巻3巻と読んで面白味が増していったので、本作もそういう感じになるのではないでしょうか。とりあえず理久がんばれ、と。



作品DATA
■著者:森下suu
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:マーガレット
■既刊1巻



ためし読み