■水戸ちはる。高校1年陸上部所属。うぶでぶきっちょで走るの大好き!そんな彼女が出会ったのは、バスケ部1年の結城くん。意外と話しやすくて、変にまじめで、まっすぐな結城くんに惹かれていく水戸ちゃんですが……?恋愛経験0女子がお届けする小さな恋のお話です。




 青山はるの先生の3冊目の単行本です。青山先生の作品を読むのは初めてでしたが、良かったです。ヒロインは陸上部に所属する走るのが大好きな女の子・水戸ちはる。昔から要領が悪く不器用で、勉強も料理もピアノも努力しても結果が出ない子でした。けれども陸上だけは頑張ったぶんだけ結果が出たので、夢中に。今日も今日とて、部活のあとに一人自主練に打ち込んでいたのでした。トレーニングで使った道具を返しに体育館に行くと、そこには一人自主練をするバスケ部の男の子が。1年生で唯一レギュラーにも選ばれているという彼・結城くんは、その長身と見た目の良さから女子からの人気も高い男子で、以来しばしば話をしたり、一緒に帰ったりするようになります。意外と話しやすく優しい結城くんに、いつしか陸上にばかり向いていた気持ちは、少しだけ彼にも向くようになり……という、初恋物語。




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ヒロインの水戸ちゃんは不器用だけれどもとにかく真っ直ぐで、すぐに誰かに言われたことを真に受けちゃうような純粋さがあります。陸上のように、人間付き合いも真面目で一生懸命で、そんなところが結城くんの興味を惹いたのかもしれません。結城くんもバスケバカという感じで、とにかく練習に一生懸命。そのため日中はどこか眠たげ。テンションも一定なので、心の揺れ動きがあまり外見に現れてこないような静かな男の子です。


 部活を頑張る二人ということで、通じる部分もあるのでしょう。時に励まし合いながら、二人は徐々に距離を縮めてゆきます。しかし二人ともまじめなので、水戸ちゃんなんか終始ですます調の丁寧語だし、結城くんも必要以上に近づかないしで、お互いの好意はわかりつつも最後の一押しが出ない!そうこうしている間に邪魔が入ったりと、物語の後半はあと一歩を切望しつつのやきもき感を楽しむような感じになります。


 急げば3話完結でも行けたようなものを、丁寧に1巻使って描いたような贅沢さがあり、スケールは小さくもじーんと沁みる幸福感みたいなものを味わうことができます。絵柄的には目黒あむ先生とかの系統になるでしょうか。体の小さな女の子が精いっぱい恋を向き合うその姿は、それだけで元気づけられますね。




恋するリトル0002
部活はもちろん楽しいけれど、好きな人に会えるからもっと楽しい。そういう、ある意味邪な気持ちが少し混じってたっていいと思うんです。


 見どころというか、当人たちが楽しみにしていることの一つに、部活終わりに一緒に帰るというのがあるのですが、自分も体育系の部活だったので懐かしくなりました。無駄に汗のにおいとか気にしたり、帰り道がもっと長ければいいのにとか思ったり、もう10年以上も前になる高校時代を懐かしく思い返したりしてしまいました。


【感想まとめ】
1巻にこじんまりと、けれども丁寧に収まった恋物語。読後感も良く、想像以上にお話を堪能することができました。ぐいぐい行かず、お互い遠慮しつつな関係が微笑ましい。



作品DATA
■著者:青山はるの
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻



ためし読み