■東京23区全ての区役所に人知れず存在する“夜間地域交流課”。そこは“オカルト的事象”を解決する、特殊な課だった。晴れて公務員となった社会人一年生の宮古新は、何も知らないまま配属される。悪魔や天使、妖怪といった、人ならざる者を総称して「アナザー」と呼ぶその課では、新のあらゆる常識を覆すことに……。さらには新宿御苑で出会った天狗に「安倍晴明だ!」と言われてしまい……!?




 ASUKAの新刊を手に取るのは久しぶりな気が。ということで、たもつ葉子先生がおくる「真夜中のオカルト公務員」のご紹介です。主人公は、東京都新宿区の「夜間地域交流課」に配属された社会人一年目の宮古新。基本的に夜勤で、しかも外勤中心というこの課の仕事は、妖怪や天使など、いわゆるオカルト的存在が絡んだあれこれを処理すること。それまでオカルトなど信じてこなかった新ですが、配属初日に新宿御苑に連れていかれ、その存在を目の当たりにすることに。そこには天使や天狗、妖精の姿が……。特殊な試験の細工により、その資質を見抜かれた新は、以来ごく普通に「そういった存在=アナザー」が見えるように。女たらしなイケメン課長・榊や、女顔のオカルトオタク・セオの同僚と共に、今日も夜の新宿を駆けまわります!


 オカルト的存在のあれこれを処理すること……と雑にまとめてしまいましたが、夜間地域交流課の業務は大別して2つ。一つは「アナザーとの交流・共生を推進すること」、そしてもう一つは「アナザーが一般人と関わり問題が生じた場合事態を収拾する」ということ。ゴーストバスターズ的な退治やトラブルシューティングが目的ではなく、あくまで共生を前提とした解決方法の模索がメインとなります。オカルト起因っぽい出来事が起こった場合、この課に要請が来て、メンバーが出向いて調査・解決するという流れ。新は新宿区役所の人間ですから、業務区域は新宿区内のみ。とはいえ都庁や新宿御苑など、知名度の高い場所は様々あるので意外とネタ切れしなそうという。




真夜中のオカルト公務員0001
夜間地域交流課のメンバーはみな「アナザー」の姿を認知することは出来ますが、彼らの話している内容はわからず、言語でのコミュニケーションは取ることが出来ません(それが普通)。しかしながら主人公の新は安倍晴明の子孫らしく、コミュニケーションが可能という特殊能力持ちの設定。それがプラスに働けば対話での解決が、逆にマイナスに働くと思わぬ展開に巻き込まれたりと、物語を大きく振り分ける動力源となります。


 メインキャラ達ですが、新はめちゃくちゃフツーの青年という感じ。あまり動じない性格ではありますが、無表情というわけでもありませんし、とりあえずお人好しな子かなぁというぐらい。能力こそ特殊ですが、もう少し何か与えてあげても良かったのでは(笑)そんな新に対し、同僚は個性的です。課長の榊はイケメンメガネですが、元ホストという肩書の持ち主。また女顔のセオもゴーイングマイウェイという感じで、新はそんな二人に振り回され引っ張られるようにして日々の業務をこなすという感じです。恐らく話が進むとともに、彼らの関係も徐々に変化してゆくことでしょう。


真夜中のオカルト公務員0002
人間の言葉がわかるというのは向こうからしても興味があるようで、物珍しそうな反応をされます。人型のアナザーは浮いていたり、その身なりなどで判別するような感じです。


 警察や特殊機関にオカルト専門の部署があって……という設定の作品は枚挙に暇がありませんが、公務員のオカルト対策室ということで言うと、プリンセスゴールドの二星天「京都ゆうても端のほう」を思い出させます。あちらは京都という土着の伝説や妖怪を題材に展開しますが、本作も新宿という土地にスポットを当てているところなども似ていますね。ただこちらは新宿らしく(?)、洋風な存在も多数登場します。どちらの作品にも共通して言えるのですが、実在の土地や建造物を用いるのでイメージがしやすく、普通のオカルト的作品とは違った味わいみたいなものがあります。もし本作を読んで気に入ったのであれば「京都ゆうても~」も是非読んで頂きたいですし、その逆もまた然り。



【感想まとめ】
タイトルに怪しさを感じていたのですが、読んでみたら面白かったです。設定もよく練られているかと思います。この後どのような物語の広がりを見せるのかわからない部分もありますが、1巻は2話程度で区切りつつテンポ良く進むのであっという間に読みきったという感じでした。



作品DATA
■著者:たもつ葉子
■出版社:角川書店
■レーベル:ASUKAコミックス
■掲載誌:ASUKA
■既刊1巻



ためし読み