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■「ちはやふる」上の句の試写会に当たったので観てきました。面白かったので、文章を書くリハビリも兼ねて感想を書いておきます。

 ここ最近、少女マンガのシネマライズの数もぐんと増えて、予告編を見ていると2作3作とあることに驚いています。また昔は映画化をしても、いざ見たら「がっかり」なんてパターンも多かったのですが、ここ最近は(例外はあるとはいえ)内容も充実。先日「海街Diary」が日本アカデミー賞の最優秀作品賞を獲ったのは、まさにその象徴とも言える出来事だったように感じます。で、満を持しての「ちはやふる」映画化。メインに広瀬すずちゃんと野村周平くんを据えるというところから本気具合が感じられるわけですが、期待に違わず良かった。


思いのほかコメディ寄りに

 最初映画化すると知ったときに「どのぐらいあの真剣さや感動を伝えることが出来るのだろうか」と、どちらかというとシリアスなスポ魂作品の風合いを想像していたのですが、上の句を観てみての印象はむしろ「笑い要素多め」。元々小ネタをちょこちょこと挟む作品ですが、映画に関してもそれは同じで、会場が絶え間なく笑いに包まれていたのが印象的でした。スポ魂というよりは、部活を通して描く青春模様でしょうか。とにかくキラキラしていて眩しかったです。


 笑いを生み出す原動力となっていたのが、肉まんくんとカナちゃん。原作ではどこかおっとりというか、ゆっくりな雰囲気の印象がある彼ですが、映画ではお調子者の三枚目キャラという感じで、軽快に場を盛り上げます。またカナちゃんも恋愛や百人一首愛に暴走しがちで、その変人っぷりが際立っていました。千早もかるた馬鹿で白目で寝るネタも健在で、太一もヘタレな感じが良く出ていました。あと机くんに関しては完全に変人になってるんですけど、そこは見てからのお楽しみということで。めちゃくちゃキャラ立ってて驚きますよ。原作のままだとキャラ負けするとかいう配慮のような気もするのですが、彼に関しては別人になっていると思って頂ければ。というわけで、よくよく冷静になって振り返ってみるとかるた部は変なやつしかいない状況という。


 というわけで、それぞれキャラクターを完全再現というワケではありませんが、キャラクター間の力関係や距離感のようなものは割と自然で、違和感なく観ることが出来ます。あと再現度と言えば、ヒョロくんがすごい再現度高かったです。一緒に行った人が、彼がしゃしゃり出るたび「腹立つわー」と言っていたのですが、そういうウザさ含めてヒョロくんらりさがよく出ていたなぁ、と。なお詩暢サマは登場しませんでした(下の句で出てきます)。


かるたシーンの迫力

 キャラクターの事ばかり書いてしまいましたが、他にも見どころは色々とあります。一番はやはりかるたシーンでしょうか。漫画でもその凄さは伝わってくるのですが、映画の場合そこに動きと音が加わるため、迫力が段違い。読手の声だけが響く緊迫した雰囲気の直後、上の句が読まれた瞬間に爆発音がするという。千早役の広瀬すずさんも凄い迫力でしたが、なにより須藤さんの無駄のないスピード感がことさら印象に残りました。


太一を中心に描きだす

 また映画の印象的な点として、太一の視点を中心に物語が展開することが挙げられるでしょうか。主人公は千早なんですけれども、いかんせんかるたのことしか考えていないかるたバカなので、彼女を視点に据えても正直何も生まれません(暴言)。一方で太一は、千早への恋心や、かるたで勝てない挫折心や新へのライバル心、小学生時代の後ろめたい出来事など、色々と悩み考えながらかるたに打ち込んでおり、青春物語としての意味を与えるのにうってつけの存在。振り返ってみれば、半分以上は彼のための物語だったように思えるくらい太一にスポットライトが当てられていました。例えば団体戦のラストは原作と異なる展開となるのですが、これもどう考えても太一のための舞台設定で、まあ太一ファンはウルウル来ちゃいますよね。というわけで、上の句は太一ファンにとってはこの上ない内容となっています。


原作を知らなくても大丈夫?

 物語は高校時代から始まりますが、小学校時代も回想のような形で挟み込まれます。そことのつながりは原作を読んでいた方が自然に思い描けるかもしれませんが、知らなくたって全く問題なし。一緒に行った人は原作全く知らなかったですけれど、見終わった瞬間「下の句も見に行かないとね」と、大変満足していた様子でした。作中に歩きながら素振りをするシーンがあるのですが、それに感化されて駅までの道すがら、手を伸ばしながら「シュッ!」「シュッ!」とやっていたのが印象的です。

 さてさて下の句はいよいよ詩暢サマが登場してきます。世間での評判は全く知らないのですが、松岡茉優ちゃんって結構ビジュアル的にははまり役のような気もしており、非常に楽しみ。