■全ては天才女流画家・ジュリの死からはじまった。彼女の才能を諦められない博士は、その”魂”を少女・リリの遺体に移し替える。青年画家・ネルは、リリに絵を教えるように頼まれる。死体の少女と引きこもりの青年画家。生と死の狭間でうつろう二人の穏やかな日々がはじまる。




 神江ちず先生の、ゼロサム
ンラインでの連載作になります。死ぬほどかわいい死なない女の子と、ちょっと変わったひきこもり青年画家との日々を描いた作品。表紙ではなにやらおどろおどろしいものを二人は抱えていますが、この絵が示さんとしているのは少女のリリの状態でしょうか。美少女のリリは、とある博士によって天才画家・ジュリの魂を遺体に移し替えられた、ゾンビのような存在。魂を移し替えたと言っても彼女にジュリの記憶は無く、あくまでリリとして自身を認識しています。そんな彼女に絵を教えてほしいと、博士から頼まれたのが青年画家のネル。ジュリと死別して以降、ずっと絵を描けずにスランプに陥っていた彼は、自覚的なロリコン。最初こそお互いどこかギクシャクしつつも、一緒に過ごすことでいつしか二人の間には強い絆が結ばれてゆきます……。


 色々と問題を抱えた二人が寄り添い日々を過ごす事で、少しずつ変化・成長してゆく物語。ファンシーで綺麗な絵柄と、このような表紙から雰囲気重視の静謐な物語を想像されるかもしれませんが、意外にもテイストはコメディ要素を多分に含んだハートフルストーリーだったりします。一応主軸はネルとリリの心の繋がりと、リリを通して映し出されるジュリとの過去というシリアスなものではあるのですが、そんな中にも結構ネタが落とし込まれてくるから面白い。特に序盤のネルに対してのロリコンネタでのいじりは「え、ギャグマンガ?」と感じられるほど。




しかばね少女と描かない画家0001
ちょいちょい挟まれるロリコンネタ。ただいつもこんな調子というわけではなく、きっちりシリアスなシーンはシリアスですよ。




 物語的には先述のテーマがありつつも、それだけをなぞらえて進むわけではなく、ベースはメインキャラの個性を前面に押し出した2人の微笑ましい掛け合いを楽しむことにあるように感じられます。それゆえ、キャラクターが気に入れば問答無用で面白いと感じるでしょうし、そこまでキャラクターに入れ込めなければ、それなりの満足感になるかも。個人的には素直で元気なリリも、うだうだと思い悩みつつも優しいネルも、両方気に入ったのでドハマりしております。また本作の魅力としては、いかにも悪役が登場しそうでありながら、結局みんな根は良いという「優しい世界」が広がっているという所。少女を取り巻くのは、やっぱり優しい世界であってほしいものです。




しかばね少女と描かない画家0002
リリはイノセンスさが際立つ美少女。とても正直で、自分が正しいと思ったことをしたいというような、真っ直ぐな性格の持ち主です。目の描き方は、遺体であることを意識してなのでしょうか。




 着地点は正直あまり想像はつかないのですが、与えられた設定からも、如何にジュリの死に整理をつけて、リリと向き合うかというところにありそうです。そのための過程を、ゆっくりと時間をかけつつ育んでいく。是非ともじっくりたっぷりと二人の日々を堪能したいところですが、ゼロサムオンラインという媒体を意識すると、長期連載は望み薄でしょうかねぇ。ともあれ、良い作品と出会うことができました。オススメです。



【感想まとめ】

これは良いロリ。良いロリコン。キャラクターと雰囲気がとても気に入りました。「面白い」とか「すごい」よりもまず「好き」という感覚が出てくるタイプの作品です。



作品DATA
■著者:神江ちず
■出版社:一迅社
■レーベル:ゼロサムコミックス
■掲載誌:ゼロサムオンライン
■既刊1巻



ためし読み