■教えることに迷いを感じている高校教師の律。そんな彼女をからかいながらも、少しずつ、でもまっすぐに律に惹かれていく高校生の忍。教師と生徒の関係を壊したのは自分……?それとも……君?泣けるほど一途な恋、第一巻。




 「キス、絶好、キス」や「恋したがりのブルー」の藤原よしこ先生の新連載です。前作「恋について話そうか」は大人の女性向けの媒体であるプチコミへ移籍しての初連載でしたが、そちらが2巻で完結しての本作。前作では大学生という年齢設定になりつつも、相変わらず中身は藤原よしこ先生らしさ溢れるキャラクターに作風で非常に安心したのを覚えているのですが、本作もまたちゃんと「藤原よしこ」をやってます。


 今度のヒロインは大学生からさらに年齢が上がって、高校教師になりました。主人公の律は、大学院を卒業した後、国語の教師として働く、ちょっと自分に自信が持てない真面目な女子。一生懸命工夫をしても、みんな授業で寝てしまうなど、迷いだらけの日々を送っています。メガネをかけて、地味だし生徒からも特に人気はない…そんな彼女でしたが、1年の相沢忍だけはなんだかやたらと律に構ってくるのです。「メガネが無いほうがいい」とか「髪は短いほうがいい」とか、からかっているのか本気で言っているのかわからない彼の言葉を真に受けて、実際にやってみたらそれが好評だったり。何かと自分の領域に踏み込んで来て心をかき乱す忍の存在が、段々と律の中で大きくなっていき、一方の忍も……というお話。




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教師としての自信がない律。しっかり者なんですけど、真面目過ぎて結構泣いちゃう。




 藤原よしこ作品に登場するキャラクターは髪色で綺麗に性格が分かるんですよね。黒髪であればクールで気難しくて内向的で、勉強が出来る。一方金髪であれば、明るく活発で社交的で、勉強は苦手。本作もそのテンプレに従うかのような性格分けで、そこもまた「藤原よしこしてる」の安心感につながっていたりするのです。相手役の忍は、とても無邪気に、けれども決定的な言葉は言わずに律への好意を表にしてきます。


 

 律が人の言うことを真面目に受け止めてしまうタイプであるのを知ってか知らずか、「髪を短くした方がいい」だの、「バスケの試合を見に来てほしい」だの、「シュートが決まったらちゅーして」だの忍は甘えて言うわけですよ。そんな言葉たちの前に、律の心は乱されっぱなし。色々な感情を処理しきれずに時折不安定になる律を、今度は甘えるのではなく放っておけないという感覚から、助けてくれるのです。立場としては、教師と生徒ではあるのですが、律が教師になりきれていないためか、人間としての関係性は完全に対等に映ります。




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藤原よしこ作品のヒーロー/ヒロインは、涙を流してなんぼ。タイトルからも分かる通り、今作も切なく綺麗な涙が流れます。




 教師ゆえに、生徒を好きになってはいけないというブレーキがあるため、恋に前向きなトキメキといった要素は殆どありません。しかしながら、思い悩む辛さや切なさから育まれる静かなる恋心はたっぷり。しっとり切なく、二人の想いを描いていきます。物語も一応、両者の視点で交互に展開するので、より関係性や感情の描写が丁寧なところも良いですね。1巻を使って、忍は二年生になりました。2話で1学期ぐらいのペースで進んでゆくので、卒業をゴールとして、3~4巻ぐらいで完結でしょうか?くっついてはおらずとも、早くも互いに想いを強くしている二人。決定的なライバルはおらずとも、関係が進めば進むほどに切なさが増しそうな設定だけに、2巻以降も楽しみです。



【感想まとめ】
キャラクターや年齢設定は変わっても、軸はブレずにいつもの大好きな作風となっていました。個人的にはそれだけでもう大満足なんです。



作品DATA
■著者:藤原よしこ
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:プチコミック
■既刊1巻



ためし読み