■”そこから手紙を出すと恋が叶う”
そんな伝説を持つポストがある郵便局に配属された新人局員・山城芽依はそのポストから手紙を投函しようとしている女子高生に過去の自分を重ねます。しかしそこには、こっそり女子高生を見守る怪しい男が!!郵便局を舞台にした青春ストーリー、開幕!




 様々な媒体で連載しているびっけ先生ですが、次はARIAですか。ITANはターゲット層的にもハマっていた感があったのですが、どちらかというと低年齢向けのARIAでの連載ということで、ちょっとびっくり。しかもその内容も、全然低年齢層に寄って行かない、しかもびっけ先生ながらファンタジーの一切ない、郵便局を舞台にしたお仕事マンガだってんですから、さらに驚きです。


 主人公は新人局員の山城芽依。物語は、新人研修と別の場所でのお試し期間を終え、正式な配属先である公園前郵便局へとやってきた若手郵便局員です。本来であれば、お試し期間として所属する「部会」と呼ばれるグループ内で配属が決まるはずが、一悶着あり別の部会へと配属された、曰くつきの女性。別に性格がひん曲がっているとかそういうわけではなく、普通の人よりもちょっと友達思いで行動的というだけ。気もそれなりに強そうで、しおらしさとは無縁の元気で、目上の人にも物怖じしない性格の持ち主。そんな彼女を暖かく迎えるのが、郵便局員の個性的な面々たち。フレンドリーな局長・黒田に、クールな美人年上局員の白河、イケメンで物腰柔らかな紙村に、歴史オタクな真面目メガネの八木。タイトルからも分かる通り、この中でも特に芽依と関わりを持つのが、メガネの八木くんです。




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ちょっとツンとした雰囲気のある芽依。女子受けは良くても男子受けはそこまで……という感じの、面倒見の良いチャキチャキ系です。




 物語は郵便局での日々の出来事から、それぞれの局員たちの素顔や関係性を描き出してゆく、実にお仕事マンガな内容となっています。勤め先となる公園前郵便局の前にあるポストには、「このポストからラブレターを出すと恋が叶う」というジンクスがあり、時たま恋する高校生がポストに手紙を出しに来る姿が見られるのです。かく言う主人公の芽依も、かつてこのポストからラブレターを出したことのある一人。作中では芽依や八木のラブレターに関する、懐かしくも切ない思い出話などが描かれます。


 メールやSNSが全盛の今、なかなか手紙を出す機会も無くなってきましたが、旅行先でポストカードを見たり切手を見たりすると、誰かに手紙を出したくなることってありますよね。作中では、ご当地フォルムカードと呼ばれる、現地の郵便局でしか買うことの出来ないカードや、数年前に東京駅前に出来たKITTEの話題なども描かれるなど、郵便局でのお仕事のみならず、広く郵便の話題を扱っていきます。私も仕事でよくKITTEを訪れるのですが、別に手紙や切手に思い入れなどなくとも、ついつい買ってしまいたくなるようなグッズが揃っていたりするので、「あー、分かる分かる。」となる場面もあったり。


 ヤギくんとメイさんというぐらいですから、この2人がこの後恋愛関係に発展するなんてことも当然期待したいところ。けれども1巻時点ではそういう雰囲気は無く、全く話は合わないけれど、お互い身内をぶっちゃけられる信用のおける相手というぐらいの関係になっています。ヒロインの芽依はそのさっぱりとした性格も相まってか、周囲の人達と仲良くなるのが得意のようで、こと八木に対しては一度飲みに行ってからは「ヤギくん」と呼ぶような間柄に。この遠慮の無さが魅力でもあるのですが、それゆえにモテきれない印象もあり。一方の八木くんは人見知りというわけではありませんが、これといって積極的にコミュニケーションを取るような人ではなく、けれども面倒見は良いというところで、芽依とはちょうどプラスマイナスが一致するような関係と言えるでしょうか。




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自由に振り回す芽依と、それに困惑しつつ振り回される八木くんという構図がありありと想像出来ます。




 八木くんの他の面々も個性派揃いなのですが、揃いもそろって美男美女というお得設定。典型的なプレイボーイ気質の先輩に、とてもアラフォーには見えない美魔女系先輩社員に、まるでお父さんのように優しいダンディな局長と、こんな職場で働いていたら楽しいだろうなぁと思わせてくれるキャラクター達です。みんな割りと大人な人たちなので、芽依の自由さも許容される環境というわけですね。


【感想まとめ】
全体として大きなトキメキは無くとも、人と成り、職場のエピソードなどで楽しむことの出来る、ある意味気楽に読むことの出来る作品。レーベル等も考慮するといかにも人気が出なさそうなのですが、普通におもしろいですよ、これ。



作品DATA
■著者:びっけ
■出版社:講談社
■レーベル:KC ARIA
■掲載誌:ARIA
■既刊1巻



ためし読み