■ふつうが一番幸せに決まってる!……と思う。
恋多き母親と、恋無き姉を見て育った主人公・恋子。恋におぼれて辛いのも、恋がなくて可哀想なのも嫌で、平均的な彼と、平均的な恋を実行している高校生。その「ふつう」な幸せが、学校一のモテ男・剣と関わりだしてから、どんどん崩れていく!?




 「パフェちっく!」のななじ眺先生の新連載になります。主人公はとにかく「ふつう」が人生のモットーである女子高生・恋子。派手でもなく、地味でもなく、美人でもないけどブスでもない、見た目は多分ふつうで、成績もまあふつう。恋多きわけでもなく、恋無きわけでもなく、ふつうの男子とお付き合いをしている、そんな女子です。極めて順調な「ふつう=しあわせ」な生活が崩れ始めたのは、同じ学校でも目立つイケメン・剣くんと関わりを持ってから。ある日突然、「あんたの彼氏、浮気してる」との連絡があり、行ってみたらバッチリ現場を目撃。その後、彼氏と剣くんを交え学校で一悶着が起こります。結局彼氏と別れた恋子は、「イケメンと関わるとろくな事がない」と、剣くんと関わらないよう心に決めるのですが、その矢先に彼が料理屋を営む自分の家にバイトとして働くことになり…というお話。




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上位層の恋愛などには決して巻き込まれたくない恋子ちゃん。かといって下位層ではまともな恋愛など出来ようもない。だからこその普通。




 ヒロインの恋子が普通にこだわる理由は、冒頭にもある通り、母と姉の影響から。母は恋多き女で、何個かバツがついているシングルマザー。一方の姉は、そんな母を反面教師に育ったためか、鉄のパンツを履いているかのような恋無き堅物女性に育ちました。そんな2人の姿を目の当たりにした恋子は、そのどちらも取らずに中間を行く道を選択しました。しかしその「普通」というのが難しいのですよね。普通の男の子と、実に普通な恋を表向きはしていたのですが、その綺麗な”上辺”は、剣くんの登場によってあっけなく剥がされる事になります。


 学校一のモテ男(しかも正義感が強く真面目な性格)が、自分の家に通って働くなんてシチュエーションがあれば、当然トキメキまくりなわけですけれども、上位層との恋愛(というか関係)をとにかく拒みたい恋子は、自分が彼にトキメくことすら禁止してしまうような頑なさを見せます。ゆえに関係はなかなか進展しません。あれやこれやとトキメキポイントが訪れるも、まるで禁欲生活のように「これは恋じゃない」と思い込もうとする恋子の姿が、滑稽でありつつもニヤニヤしちゃいます。


 相手役の剣くんは、長身可愛い系のイケメンで、もちろん運動神経も良くて勉強も出来るというハイスペックな男子。性格は真面目で、思ったことを素直に伝える正義感の強さと真っ直ぐさを持った男の子です。一方でその無邪気さも魅力で、その笑顔でグイグイと恋子の心を掴んでいきます。恋愛にはどちらかというと疎い方で、恋子にやたらと構うのも、恋心ゆえなのかは自覚出来ないまま、とりあえず思った通りに行動してますという感じ。恋に無自覚なヒーローと、恋に自覚的でありつつも目をそむけ続けるヒロインの組み合わせってだけで、面白く無いですか?




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理屈は並べても、イケメンのキラリとした一言にはどうにも敵わない。わかっていても、ときめいてしまう。恋ってそういうものです。




 読んでいると「心に素直に行動すればいいのに」とも思うのですが、それはすなわち、彼女のこれまで生きてきた人生を否定することにもなるので、そりゃあなかなか踏み出せませんってば。とにかく頑なな女子が、思いに反してイケメンに崩されていく様子ってのが個人的にはツボで。少女漫画の脇役のエピソードで結構登場したりする印象なのですが(「ココロボタン」の葵とか)、それをメインヒロインで楽しむことが出来るってだけで嬉しいところ。「コイバナ」も「あるいとう」もそこまでピンと来るものはなかったのですが、本作はちょっと追いかけてみたい作品だと思いました。



【感想まとめ】
マーガレットらしい、ちょっと変わったキャラクターで回すラブコメディ。だんだん余裕がなくなっていくヒロインが可愛いです。



作品DATA
■著者:ななじ眺
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻



ためし読み