■かつての憧れの男子が今は同じ職場の同僚。ふたりの距離は近くて遠い……。
高校時代に片思いしていた相手・殿村周と赴任先の小学校で再会した四宮十和子。彼の優しさに触れて、再び好きになるが……。




 YOU連載作で、通常版ではなく愛蔵版扱いのB6版での刊行となっています。表紙から受ける印象は淫靡な雰囲気ですが、中身はそれとは裏腹に、極めてピュアなラブストーリーだったりするので、とっても意外。

 

 主人公は地元の小学校に教師として赴任した四宮十和子。入学式で隣を見て驚いたのは、彼女が高校時代に密かに想いを寄せ続けていた相手・殿村周が、同じく新任教師として赴任してきたから。高校時代に想いを寄せていたとはいえ、会話を交わしたのはたったの3回(回数を覚えているくらい好きだった)。殿村は東京の大学へ行き、そのまま離れ離れになって以来。まさか彼が教師になるなんて、そしてまさか自分と同じ職場になるなんて、思っても見なかった展開に、十和子は戸惑いつつも、過去に抱いていた恋心をだんだんと思い出し胸高鳴らせていきます。若手教師ということで、イベントの準備や雑事など、何かと一緒になる機会は多いもの。人懐っこくも食えない性格の殿村は親しげに十和子に接してきますが、ろくに恋愛経験もない十和子は、そんな殿村を前にどう振る舞えば良いか分からずタジタジ。果たして十和子の想いは…?というストーリー。




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素直に自分の気持ちを表すことが出来ない十和子。好きな人の前だと余計に。油断すると赤面しすぎてまずいので。




 1話目~2話目あたりが顕著なのですが、主人公の十和子の赤面の描かれ方がエロ漫画っぽい感じがあったんですよね。分かる人には分かると思うんですが。で、作者の河井英槻先生ってBL出身でいらっしゃるようで、それでなんとなく納得。確かにBLの赤面はエロ漫画の赤面に通ずるものがあるような…気がする。3話以降は馴染んだのかこちらが慣れたのかわからないですが、そこまで気にならずに読めました。


 舞台は小学校ということで、ともすれば教育問題だなんだといった話題が出てきそうですが、本作の場合はそこをきっかりと割りきって、殆ど生徒問題は出てきません。そのため、舞台こそ学校で、学校のイベントを存分に活用はしているものの、メイン2人および年齢の近い若手教師たちの人間関係を中心に描いた大人の青春マンガという印象が強いです。防犯教室の防犯実践で身体が接触してみたり、屋外活動の素晴らしさを伝えるため早朝から虫取りに一緒に出かけてみたり、落としこむラブイベントが渋くもあざとくて素敵なんですよこれが。


 ヒロインの十和子は柔道黒帯の腕前で、見た目こそ地味めで大人しいですが、腕っぷしはなかなかのもの。けれどもそれが災いしてか、幼い頃から男の子と上手く距離を保てず、恋愛に関しては拙いまま。心とは裏腹に、馴れ馴れしく寄ってきてくれる殿村に対して、ついつい釣れない態度を取ってしまったりして後悔する姿なんかが、とても可愛らしいです。こんな調子ですから、周囲からすれば実にわかりやすく「殿村が好き」という様子が見て取れる状況。


 察しの良い殿村であれば気づいてもいそうですが、十和子とは違い彼は全く本心が見えない。先輩からの質問攻撃ものらりくらりかわすなど、とにかく食えない奴なんです。なんとなく良い雰囲気になる瞬間もあるので、ともすれば両想いなんじゃないかとすら思えるのですが、十和子には「好き」と言うだけの勇気は無いし、殿村は自ら「好き」とは言わなそうなタイプで、チャンスは至る所にありながらも距離はなかなか縮まらないという、歯がゆい状況が続きます(だけれどもそれが良い)。




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食えない殿村。このぶっこみ続ける先輩もなんで小学校の先生やってんだってぐらいぶっ飛んでて素敵なんですよこれが。重要な脇役というポジションです。




 この他に先輩教師の恋や、殿村の父を巻き込んで物語が転がったりと、なかなか面白そうな要素が詰まっており、続きが楽しみ。初出ですが、平成25年に第1話(振られたナンバーでは0話にあたります)が描かれ、2話目以降は平成27年5~9月号と、間が空いたり、連載が止まっていたりしていたみたいです。今は普通に連載しているようで、順調であれば2巻もそう遠からず読めそうですね。結構好きなラインのお話なので、続きが楽しみな作品が登場してきて嬉しい限り。オススメです。

 



【感想まとめ】
食えないメガネってのが結構好きなんですけど、それだけでなくヒロインの十和子の不器用さも愛らしくて、要するに両方好きなキャラのカップルという俺得な作品となっておりました。



作品DATA
■著者:河井英槻
■出版社:集英社
■レーベル:愛蔵版コミックス
■掲載誌:YOU
■既刊1巻



ためし読み