■自分の気持ちを聞いてくれた和臣のことが気になる朱里。恋愛に全く興味がなさそうな和臣は朱里が今まで好きになったタイプと違い戸惑う。朱里が和臣に惹かれていると知った理央は複雑な気持ちを抱く。その理央のことを思うと由奈は胸が苦しくて--。




久々の続刊レビュー

久々の続刊レビューです。咲坂伊緒先生の「思い、思われ、ふり、ふられ」。当然面白くはあったものの、2巻までは大きな恋の動きも無く、いまひとつピンと来ていないところがあったのですが、3巻になって一気に恋が動き出したじゃありませんか。咲坂作品で久々に胸踊らせてしまい、思わずレビューをすることにした次第です。続刊レビューはいつ以来でしょうかね……これからも機会があればやっていきたいですが、どうしても新作の紹介を優先させてしまいがちで…。


和臣と朱里の巻

 3巻は朱里と和臣の巻と言って差し支え無いでしょう。2巻までの印象は、どちらも変に大人びていて違和感を抱くぐらいだったわけですよ。朱里はあの歳にして妙に割りきった性格というか、努めてサバサバしていた感じがありました。そして何より和臣ですよ。「こんな極めて自然体な人、大人にだっていないですから!」と、非実在好青年として遠くから見ている感じだったのですが、3巻にしてさすがに慣れたのか、これまで抱いていた違和感は若干薄れました。まあでも、その歳なりの恥じらいを持って欲しいってのは相変わらずあるんですけどね。こんなモンスターが比較対象になるため、相対的に理央が子供っぽく映るのですが、自分自身がやり過ぎてしまったり言いすぎてしまったことをその場で省みることが出来て、その後きちんと埋め合わせを出来るって、相当大人ですからね。キャラの精神年齢の軸が軒並み高いですよね、本作。


 さて、そんな中大人っぽさから逆行してただの恋する乙女になっていたのが、他でもない朱里でした。ひとたび恋を自覚したらば、これまでのサバサバ感はどこへやら。

 

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嘘の自分でもなんでもいいから好きになってもらいたいと180°方針転換


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マラソンで熱出してても頑張ったり


 誰だお前。恋を自覚して以降完全に普通の高校生になってて、ちょっとした出来事に一喜一憂する姿が素敵すぎました。この変貌ぶりに、「これこれ!こういうのを待っていたんだよ!」と読んでて言いたくなるくらい、良かったです。この変わりっぷりには驚くばかりですが、恋を自覚してから開き直ったようにそちらに直進できるというのは、元々あったサバサバさゆえの決断の早さが源泉となっている気もしなくはないです。

 

 正直和臣のどこにそんな魅力があるのか今ひとつわからないのですが(和臣に対しては終始辛口)、3巻でも見せ場はたっぷり。正直お姫様抱っことか、指を匂うとかはあざとすぎて「はいはい(冷めた目)」という感じだったのですが、そんな中で殆ど唯一見せた……



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照れ

 これもあざといんだけど、これは良いあざとさ。この時点で私はもう朱里に入れ込んでいますから、「こんなん最大限のご褒美だ」と言わんばかりにニヤニヤしまくりましたってば。4巻もこういうのがちょくちょく飛び出てくると俄然楽しいんですけど、どうでしょうか。


モヤつく理央と由奈

 さて、和臣と朱里とは異なり、理央と由奈はだいぶモヤついていますね。安易な流れで考えれば、朱里と和臣との一件をきっかけにこの2人が急接近というパターンなのですが、そう簡単には行かないのでしょう。すんなり行ってしまえば退屈だし、複雑にすると重くなりすぎる可能性もあり、なんだかとても歯がゆいところ。くっつくとしても、一悶着あってから。一見待つ女に映る由奈ですが、意外と彼女の勇気が理央を救ってくれたりする場面が出てきたりするんじゃないかと思うんですよ。ラストにはとんでもない爆弾をぶっこんできましたが、果たしてどうなるのやら……。序盤に嵐が吹き荒れそうな4巻、楽しみに待ちたいと思います。


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