■風紀委員長の真柴くんには、最近気になるものがひとつ。派手目なクラスメイト・佐伯さんの校則違反……ではなく、お昼どき、つまらなそうにメロンパンをかじる彼女の横顔。そんな佐伯さんを放っておけず、真柴くんが放った一言は……「俺がもうひとつ弁当を作る」!?デコボコな2人の幸せなランチタイム、開幕!」





 表紙からもわかる通り、お弁当男子をメインに据えた作品です。メガネにシャツ+ネクタイで、社会人かと思いきや、高校生の風紀委員長でございます。そんな彼の日課は、お弁当作り。自分の分と妹の分を毎日作っているのです。そんな彼が作るお弁当の数が、最近3つに増えました。元来世話焼きな性格の真柴くんは、毎日お昼にメロンパンやお菓子を食べて過ごしている佐伯さんの食生活が心配になり、半ば強制的に佐伯さんのお弁当を作ることに決めたのでした。普段はとてもつまらなそうにしている佐伯さんですが、真柴くんのお弁当を食べると不意に笑顔になり、そんな彼女の表情を見て真柴くんも笑顔に。なんとも不思議な関係が続くなか、佐伯さんは徐々に真柴くんを意識しはじめるのですが……というお話。


 お料理マンガって、だいたい料理を食べれば人生上手くいっちゃうじゃないですか(暴言)。本作も料理を中心に進んでいく系統の作品かと思っていたのですが、意外とちゃんとラブコメしていてびっくりしました。もちろん料理はするのですが、謎の作ってる最中にレシピ解説が入ったりとかありませんし、食べた瞬間に具材の解析をしたりとかもありません。中心は献立ではなく、お弁当をつくり食べてもらうことであり、一緒にお弁当を食べる時間であり、その中で育まれる関係性だったりするんですよね。あくまでお弁当はツールで、中心は2人の恋愛なわけで、「いやこれは良いじゃない(ニヤニヤ)」となるという。


ひとくち、ふたくち、1
妹がいるからなのか、やたら距離感が近い。そこにいちいち佐伯さんは無表情にドキドキしちゃうっていう。


 真柴くんは見たとおりのザ・風紀委員長という感じの真面目な人。面倒見がよく、時にお母さんかとでも言うような振る舞いを見せることがあります。一方の佐伯さんは、風紀委員とは対角にいるような、風紀の乱れた格好をしている生徒。しかしながら反抗的な態度というわけでなく、話をしてみると割りととっつきやすい性格だったりするのです。そんな正反対な見た目の二人のカップリングというだけでニヤニヤしちゃうわけですが、強く相手のことを意識しているのが、恋愛経験豊富そうな佐伯さんの方ってところがまた良いではないですか。真柴くんは絵に描いたような鈍感野郎なので、佐伯さんの心中が思いやられます。


ひとくち、ふたくち、
 互いに相手を好き好き言うタイプでもないので、両想いという状況になりつつも、どこか一定距離を置きつつ過ごす感じが奥ゆかしくて素敵。佐伯さんは見た目とは裏腹に愛情深くて、不器用ながらいつものお礼にと、真柴くんにお弁当を作ろうと奮闘したりするのですが、その頑張る様子が可愛らしいんですよ。しかも一回作って持ってくとかではなく、きちんと相手が満足出来るようなレベルになるまで何度も挑戦するというところに、彼女の完璧主義的な性格や、頑張ったことをほめてもらおう的な考えを嫌う感じが垣間見えて萌えます。


 1巻で一応お話的にはぐるり一周周った感があるのですが、巻数が付いているのでまだまだお話は続くようです。たぶんこの2人なら、どこまで行ってもニヤニヤ出来そう。さてさて2巻では、どんなお弁当とラブイベントが出てくるのか、今から楽しみですね。



【感想まとめ】
予想外だったというところを差し引いても面白いと思える作品。安心感あるトキメキってのは意外と大事なんですよ。



作品DATA
■著者:倉月忍
■出版社:白泉社
■レーベル:花とゆめコミックス
■掲載誌:ザ花とゆめ
■既刊1巻



ためし読み