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■夢はプロのテニスプレーヤー。だって彼と約束したから……
幼い頃、同じテニススクールに通っていた男の子・要と”次はウインブルドンで逢おう”と約束をした心侑。練習に励むものの道は遠く険しい……。だけど心侑の才能と根性がついに発揮されるときが……!?





 主人公の心侑は日々テニスに勤しむスポーツ少女。目指す舞台はウインブルドン!……ですが、通っているテニススクールには、心侑と同年代で圧倒的な才能に溢れる花というライバルがおり、ウインブルドンはおろか、プロすらも難しいような状況。そんな中、花を指導するために、元プロテニスプレーヤーの福井コーチがやってきます。負けん気だけは人一倍の心侑は、無謀にも「自分にも指導して欲しい」とお願いし、なんとか面倒を見てもらえることになるのですが、この福井コーチ、想像以上のドSスパルタコーチで、ひたすらにしごかれまくるのでした。そんな中で迎える大会で、心侑の練習の成果は……というお話。


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悪役じゃないです。コーチです、コーチ。こんな態度ですが、その腕は確か。的確に特性を見抜き、然るべき練習をさせるのです。


 少女漫画で題材になるスポーツというと、フィギュアスケート、バレーボール、そしてテニスという印象ですが、大体そのスポーツそのものの人気と比例している印象があります。最近は国際大会でもメダル常連となったフィギュアスケートが群を抜いて多い印象ですが、錦織選手の登場によってテニス人気も復活。その流れからの本作と見るのが自然でしょうか。ともあれ最近ではスポーツもの自体が極めて珍しい少女漫画にあって、こうして真正面からスポーツを描く作品が登場してくれるというのは、とても嬉しいことです。
 

 さて内容ですが、清々しいぐらいにテニスだけ。通常であれば恋愛要素を多分に絡ませたり、チームスポーツであればメンバーを集めたりといった流れがあったりするのですが、本作の場合は個人競技でしかも舞台はテニススクールと、学校生活における各種イベントを落としこむ余地を削っています。恋愛も1巻時点では全く描かれることはありません。元々彼女がウインブルドンを目指すきっかけが男の子なので、当然これから恋愛要素が絡んでくる余地は多分にあるのですが、掴みが大切であるはずの異系作品においてそれをしてこない腹のくくりっぷりはいっそ清々しいですね。


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テニスシーンに割かれるページはかなり多く、本格的にスポーツを描いていこうという気概が感じられます。カットも色々な割り方があり、楽しいです。


 さて、主人公の心侑ですが、テニスが大好きでそれ以外のことは全く見えないというちょっと空回り感のある、オーソドックスな元気系ヒロインという感じ。とにかく不器用で、やる気は人一倍あるものの、基礎もままならないのに高いところを目指そうとしているために結果が出ないという選手。一方でライバルの花は、小柄ながらセンスの塊というタイプで、性格も静かと、なにもかもが正反対です。そんな心侑ですが、福井コーチにその粘り強さを見込まれ、ベースラインで拾いまくるという守備型の選手としてそのチカラを伸ばしていきます。まあ要するに、結構地味という(笑)とはいえ1巻ではその実力を発揮し始めたばかり。これからどれだけ強くなり、どんな選手になっていくのかは分かりません。
 

 テニスをメインで描きますが、青年誌や少年誌でよく見られるようなテクニカルな解説を詳細に加えたような作りにはなっておらず、大まかな戦略やプレイのあれこれが分かる程度に描くような形となっています。試合についてはヒロインがただひたすらにボールに食らいついていくため、メインで描かれるのはヒロインの心情。それが一つの見どころになるのですが、一方で、ここまでガッツリとテニスを描くのであれば、もう少し戦略的な解説を加えても面白かったかもしれません。そのためテニスシーンに見どころがあるかというと、「割りと普通」という感想と言いますか。とはいえ試合に割かれるページ数がとても多いのは嬉しいです。



【感想まとめ】
少女漫画のスポ根ものというだけで応援したいところ。とはいえ作品として特筆すべき面白さにあるかというと、そこはまだ地味な印象が拭えず、2巻以降の展開次第というところでしょうか。続きはもちろん買います。



作品DATA
■著者:鈴木手毬
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレット
■掲載誌:マーガレット
■既刊1巻



ためし読み