■楠小豆&大豆は有栖野団地に住む仲良し姉弟です。お隣には幼なじみでモテモテの橘千花。お互いに両親が仕事で忙しいので協力しながら成長してきました。ある日、反対隣に柊美月&流星兄弟が引っ越してきました。小豆たちとは対照的に兄・美月に反抗的な弟・流星。兄らしくなれず悩む美月ですが……。





 「ハニー」の目黒あむ先生の新連載になります。主人公は表紙にも描かれている女の子・楠小豆。有栖野団地に住む高校1年生で、幼い弟の大豆を溺愛するブラコン少女です。そんな楠木家のお隣に住むのが、小豆と同い年の千花。かつて女の子っぽい名前で虐められていた”あの頃”はどこへやら、今や見た目良し性格良しで女子からモテモテの男子になっています。そんな女の子から引く手あまたの千花ですが、彼女は作らず昔から小豆一筋。けれども恋愛なんて微塵も興味無さそうな小豆を前に、互いの家を行ったり来たりの、昔と変わらぬ毎日を過ごしています。そんな日々に変化が訪れたのは、楠家の反対隣に柊家が引っ越してきてから。小豆と千花の1年年下の男の子・美月に、大豆と同い年の男の子・流星の二人は、年齢が近いということもあって、楠姉弟と事あれば一緒に過ごす事が増えていきます。なんとなく小豆の興味が美月に行っていることに勘付いた千花は、美月を牽制するのですが…というお話。


 恋愛方面だけ切り出せば、団地のお隣さん達の三角関係という内容になりますか。けれども1巻を読んだ印象では、むしろ弟たちとの関係も恋愛と同じくらい描かれる、家族愛・兄弟愛を描いたハートフルな印象の物語になっています。小豆の弟の大豆は、表紙にも描かれているメガネの内気そうな男の子ですが、その見た目と異なりかなり積極的で、時折めちゃくちゃ辛辣な事を言い放つ小悪魔ちゃん。一方、美月の弟の流星は、その年頃ならではの生意気系男子という感じ。両親の離婚が響いており、兄である美月と上手く関係が築けないでいます。そんな問題を抱える兄弟関係を目の当たりにし、おせっかい焼きな小豆は首を突っ込むことから、付き合いが始まっていきます。


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ヒロインの小豆は独特の感性の持ち主ということがありありとわかる性格であると共に、感情の揺れ動きが今ひとつ読み取りづらい感じがあります。一応主人公という扱いになっていますが、物語は彼女の視点で進むことは無く、千花や大豆、さらには美月の視点で進んでいきます。まあとりあえず変わり者で、弟のことが大好きってのだけは分かるかな。正直この子が恋愛に目覚めた時にどんな振る舞いをするのかが全く想像つかない。


 姉弟エピソードが半分以上を占めるため、肝心の恋愛面は遅々として進まず。たぶんこれがなければもうちょっと早く展開するような気がするのですが、これがあるからよりじっくりと深い部分まで含めて展開出来るのでしょう。「ハニー」の時もそうだったのですが、脇役のエピソードを多分に含みつつ展開するのが、目黒あむ先生の印象。今回はそれが弟たちに移ったという感じでしょうか。余計なような気もするのですが、弟同士のお付き合いが無いと、学年が1つ下の美月とのつながりを確保するのもなかなか難しいというのもあるのでしょうね。


 恋愛面で言ってみれば、1巻時点で千花なのか美月なのか、全く想像がつかない状況。読者アンケート次第で如何ようにも転びそうな予感があります。導入からすると完全に千花がヒーローなんですけれど、キャラ描写は美月の方がヒーロー然としていて、千花にはむしろめちゃくちゃ噛ませ犬の才能を感じるという。普通のキャラだったら千花なんだろうけど、感情の変化が読み取りづらく、感性のみで生きている感がビシビシ伝わってくるヒロイン・小豆の性格を考えると、ストンと美月の隣に収まりそうな感じがあるんですよねー。ハニーではメイン2人がある種盤石の状態であったがために、さほど危機感を感じずに物語を楽しめた感じがあったのですが、こちらは最初からバリバリの三角関係であるために、ドキドキ度はなかなか高いです。


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ちょくちょく挟まれる牽制。ただしこれは、恋に自覚的にならないと通用しないんですよね。悲しき独り相撲。


 子供たちフィーチャーで考えるとなかなか可愛らしい作品だとは思いますが、少女漫画の本分は恋愛だと思っていますので、そこが本格的に描かれ出さない限りは如何とも評価しがたいという感じでしょうか。正直1巻時点では恋愛においてはややスローでともすれば退屈ですらあったのですが、シチュエーションや後半に向けての加速からすると、2巻以降確実に盛り上がってくることがアリアリと分かる状況で、「1巻はまあ普通だけど、2巻以降たぶんすげー面白くなると思うよ。たぶんね。」という、煮え切らないオススメをかましておきます。ヒロインは前の奈緒ちゃんの方が好みだったなー(本当にどうでも良い感想)。でも男キャラ(ヒーローとは言わない)は千花くんが俄然好みですね。噛ませ犬力高いでしょ、確実に。



【感想まとめ】
本文で書いたとおり、1巻時点では如何とも判断しがたいですし、それなりに長期連載を見据えているかと思いますので、ゆっくりと追いかけたいと思います。



作品DATA
■著者:目黒あむ
■出版社:集英社
■レーベル:マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻



ためし読み