■松本ヒツジは「着ぐるみちゃん」のアダ名で親しまれ、学校中の人気者。でもその人気はあくまで“キャラ”としての人気であって、男子からも女子からも”女の子扱い”されていないことに気づいてショック!そんな時、生徒会長の藤原くんから「女子扱いされたいなら、そうされるように振る舞え」とキツーイお説教をくらう。藤原くんの教えのもと、脱キャラを目指すヒツジは、果たして恋愛対象女子になれるの……!?





 ベツコミの作品をご紹介するのは久しぶりな気がしますね。ヒナチなお先生の新連載「藤原くんはだいたい正しい」のご紹介です。前作「恋するハリネズミ」では、ハリネズミを彷彿とさせるヒーローを相手にした物語を描きましたが、今作はヒロインが「着ぐるみ」と形容されるひつじちゃんで、狙ってか狙わずか、どちらも動物モチーフのキャラクターとなっていますね。
 

 さて、本作のあらすじは冒頭の通り。キャラ扱いされ、一定のポジションを獲得しているヒロインが、ひょんなことから生徒会のお手伝いとして登用され、大人気の男の子・藤原くんと関係を深めていくというお話です。何故だか物語に出てくる生徒会って絶大な権力を誇っていたりするわけですが、本作の生徒会はそんなことはなく、不人気ポストで予算も人員も足りない地味な役回りというリアルさがあります。当然そんなこと誰もやりたくないので、生徒会長のポストも不人気なわけですが、それを見かねた教師陣は生徒の人気投票を行い、上位者を生徒会長および生徒会役員に指名するという強攻策に打って出ます。そして選ばれたのが、本作でのヒーローポジションとなる藤原くんというわけ。


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 藤原くんの性格ですが、見た目通りの黒髪クール男子。女子人気は圧倒的ですが、愛想は別に良くないし、その仕草にはいつも気だるさを感じさせるようなダウナー系でございます。またストレートな物言いも特徴のひとつで、周りに流されつつ困っているヒロイン・ヒツジに対して、いつもズバズバと厳しい言葉を投げかけるという。けれど厳しいことは言いつつも、その内容は一本筋が通っていて、多くの場合において事態は好転するという、まあ要するにタイトルの通りな展開を見ることが出来ます。厳しくも頼れて、なんだかんだ気にかけてくれて優しい、みたいな。
 

 そんな大人気の藤原くんの元で一緒に生徒会の仕事を手伝う事になったヒツジですが、想いを寄せる相手は彼ではありません。1年の時から同じクラスで、とても思わせぶりなことをしたり言ったりしてくる冬也に、長い間片思いをしているのでした。ヒツジから好意を寄せられていることをしっかりと自覚しつつも、決定打は出さずにその状況を維持するような、あんまり良いタイプでない男の子なのですが、そんな彼ぐらいしか自分のことを相手してくれる人はいないと、ずっと想いを引きずるヒツジ。その様子がちょっと可哀想でもあり、痛いほど気持ちも分かるという。なおヒツジが生徒会のお手伝い役に抜擢されたのは、「ヒツジなら藤原くんとどうにかなることは無いだろう」という、いわゆる安牌として。そんな彼女が、その生徒会で大逆転を起こすことが出来るのかというのが、本作における本筋になります。
 

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 生徒会のメンバーは藤原くんとヒツジのほかに2人。いずれも藤原くんといつも一緒に過ごしている人気者です。藤原くんに負けず劣らず見た目が良い、王子様っぽい雰囲気漂わせる白滝くんに、完全なる三枚目タイプで盛り上げ役ポジションを務める岩田くん。どちらも個性的ではありますが、今のところ本編に深く関わってくることはなく、活躍の場はこれから先になるでしょうか(岩田くんは使い勝手の良いお調子者として、いつまでも日の目を見ることが無さそうなのが素敵です)。
 

 生徒会の位置づけなどはリアリティがあって好感を持てる一方で、その他の要素についてはオーソドックスな生徒会もの、学園ものという感じで、ありふれた素材をどう活かすかという作者さんの手腕が問われるところ。変に悲恋に走らせたり、突拍子もない設定を用いたりすることなく、シリアスと笑いをちょうどよく織り交ぜながら進める作風は、前作から引き続いて安心感がありますね。



【感想まとめ】
ワンパンチ足りない印象は拭えないものの、それが安定感を生み出す源泉になっているとも言え、高め安定で楽しめる良作だと思います。オススメ。



作品DATA
■著者:ヒナチなお
■出版社:小学館
■レーベル:ベツコミフラワーコミックス
■掲載誌:ベツコミ
■既刊1巻



ためし読み