■強引男子が好みの結沙は、バスケ部の先輩がタイプ。でも、友達の奈々未と先輩が急接近!奈々未の恋を応援するため「好きな人ができたの!」とウソをついた結沙。たまたま近くにいたクラスメイトの春田くんがその作戦を察して、彼氏のフリをしてくれました。淡々としているけど、ときどき、とっても優しい。そんな春田くんに、結沙の気持ちは……?





 「セイシュンノート」の綾瀬美羽先生の新連載です。個人的にかなり注目している漫画家さんなので、読む前から「是非とも本作は長期連載になりますように……」なんて思っていたのですが、実際手にとってみて、面白くて安心(?)しました。あらましは冒頭の通り、フリからはじまる恋物語です。


 ヒロインの結沙は小さい頃から、ドSで高慢で上から目線で偉そうな態度を取るタイプの男の子が大好き。少女マンガのヒーローのタイプで言うならば、ぶっきらぼう寄りのオラオラ系に分類されるような人たちでしょうか。恋多き彼女が今恋しているのは、バスケ部の先輩。友達の奈々未を強引に引き連れて、毎日バスケ部を見に体育館を訪れていました。けれどもそんな結沙の想いとは裏腹に、なにやら奈々未と先輩の間に恋の匂いが……。先輩は好きだけど、奈々未の恋路は邪魔したくない!と、最近たまたま仲良くなったクラスメイトの春田くんを好きになったとウソをつく結沙。一度借りを作っていた春田くんは、義理堅く空気を察し、結沙と付き合っていると彼女のウソに乗ってあげるのでした。その後もズルズルと付き合っているフリを続ける2人。結沙のタイプとは全く違い、物静かで感情が表に出てきにくい春田くんですが、ふと見せる優しさに思わずキュンとしてしまい、いつの間にか本当に好きになってしまって……というお話。



天然な春田くんは、無自覚にドキッとすることをしてくれるので、結沙はそれに惹きこまれてしまいます。


 付き合っているフリをしていたら、本当に好きになってましたというのは、少女マンガにおいては割りと王道路線と言えるでしょう。近いがゆえに、本当のカップルにさせるひと押しがなかなか難しく、様々な障壁が立ちはだかるワケですが、本作の場合はお相手の春田くんがなかなか手ごわい。人付き合い良く、結沙のウソにも親切に付き合ってくれる彼ですが、別にそれは好意を拠り所としているわけではなく、スタートは借りた恩を返すというところから。読書が好きで、感情の起伏が殆どなく、思ったことを素直に言っちゃうような、静かなる天然系の男の子です。恋愛にも疎く、どんどん高鳴る結沙の心とは裏腹に、春田くんの心は変わっているようには見えません。一緒に過ごしてくれるということは、悪く思っているわけではなさそうですが、本当に「付き合う」レベルまで行っているのかはわからず不安に…。そんな、良いポジションにいるけれど、もっと近づける気がしないという、嬉しいような悲しいようなやきもき感を存分に味わうことが出来ます。


 もちろん春田くんも、結沙にだんだんと興味を持っていき、無自覚に彼女に好意を寄せるようになるのですが、いかんせん無意識ゆえにそう簡単に話が進まないんですよ。近い関係にいる二人ですが、意外と付き合うまでの道のりが遠そうです。態度だけ見てたら明らか好きなんですけど、全然表情に出てこないから「あれ…?」ってなるみたいな。この感覚は読んでいる人はきっとわかってくれるはず。こんな付き合いの良い男の子、現実だったら下心ナシではありえないですから(暴言)それを感じさせないサラっとした感じ、無意識だとしてもなかなかのやり手です。



空気はほんと読めない。こんなことも、人前だろうと何も気にせずに言っちゃうという。


 読んでいて感じたのが、序盤のテンポの早さ。というか、友達の奈々未とバスケ部の先輩との展開早すぎじゃね?ってだけなんですけど(それに乗じて、結沙の切り替えも早い)。まあこれぐらいしないと、なかなか先に進まないのでしょう(笑)そこを過ぎれば、あとは通常のテンポなのですが、ちょっと引っかかる人がいるかも。ともあれ表情がころころ変わって、元気よく進んでいくタイプのヒロインは見ていて楽しく、個人的にも大好きな部類。あと必要なのかわかりませんが、ドMキャラネタが時折挟まれるのも好きですね。相手役の春田くんも割りと好きなタイプのキャラで、静かながらにメリハリ付けて物語を彩ってくれるため、2人だけのやりとりでも全然飽きないしニヤニヤできる要素は多いです。加えて春田くんの友達を交えてのやりとりもお笑い方面で面白く、このあたりもシリアスとの切り分けが効いていて良いですね。続きが楽しみな作品です。



【感想まとめ】
2巻はすぐに発売になるようです。キャラクターが素敵なすれ違いラブコメ。オススメです。



作品DATA
■著者:綾瀬美羽
■出版社:集英社
■レーベル:別冊マーガレットコミックス
■掲載誌:別冊マーガレット
■既刊1巻



ためし読み