■庶民ながらに、超セレブ高校へと入学した吉田小梅。そこで規格外にセレブな学園の王子・一文字初雪になぜか気に入られ、ひたすら寵愛を受けることに!庶民の常識など一切通用しない初雪の猛攻になんとか抗おうとする小梅だが……?超ハイスペック王子×THE・平凡女子のハイパー格差ラブコメ第1巻!





 「青春しょんぼりクラブ」や「星上くんはどうかしている」のアサダニッキ先生のARIAでの連載作です。あらましからも分かる通り、学園の王子から好かれた平凡女子との格差ラブコメということで、少女マンガにおいては割りと定番中の定番と言えるシチュエーション。しかしながら、この王子・一文字初雪の王子っぷりはこれまで類を見ないほどの規格外であり、完全に突き抜けています。どこまで本当の設定かわかりませんが、IQ500、財閥の末裔で、色々な楽器も超一流、作文でノーベル平和賞を取り、もちろん見た目も抜群。いわゆる学園の王子というよりも、日本はおろか世界を動かせるようなレベルの男の子です。いや、もう完全にネタですよ。リアリティとかいらないっていう。そういう突き抜けたキャラを描くのはアサダニッキ先生お得意の手法であり魅力でもあるのですが、さすがにここまで突き抜けたキャラは今までもいなかった。。。


 その崇高さゆえに、普段は四天王と呼ばれる生徒4人に堅くガードされている状況で、対面することすらままならないような状況です。そんな彼と、ヒロインの小梅が出会ったのは、意外にも学校のトイレの中。王子が何を思ったのか女子トイレで便所飯をしており、そこに偶然鉢あってしまったのが事の発端。その後紆余曲折あり王子からお詫びをされ、「君ともっと話をしたい」と言われるのですが、四天王からの圧力に怯えた彼女はそれを拒絶。しかしこれまで拒絶などされたことのない王子は、それに逆にときめいてしまうという、世間知らずの王子キャラにありがちなルートを辿ることになります。以降、積極的に小梅にアプローチをしかけるようになる王子ですが、小梅は穏やかな日常が脅かされたくないため、断固として王子を拒否します。けれども一人の意志で拒絶できるほど弱い男ではありません。常人では到底思いつかないような様々なやり方で、小梅の心に迫ってきます。



こんな感じ。別に見せびらかそうとしているわけではなく、ただただ彼の常識の範疇で尽くしてあげたいだけ。


 王子は圧倒的権力を持つハイスペックボーイですが、オレ様的キャラでは無く、むしろ物静かでどこか物憂げにも映る佇まいが魅力。まさに王子という感じです。けれども自分の欲求は叶えたいという衝動はあるようで、不安そうにしつつめちゃくちゃなことをしでかしてくるからとんでもない。まあとにかくネタの一つ一つが突き抜けているので、細やかな笑いで楽しむという内容ではありません。そのどれもがパワープレイで大味というところなのですが、狙ってそうなっているので別に気にならないし、途中からはむしろ気持ち良いぐらいです。


 小梅と王子との周りを彩るのが四天王。彼らも応じに負けず劣らずの濃いキャラたちで、あれこれと場をかき乱します。特に動きが激しいのが、秘書っぽい印象のあるメガネ・柿彦と、オネエの桃太郎。この辺のキャラ付けもアサダニッキ先生っぽくて、キャラクターが活き活きとしています。



そして4人の中でも庶民に近い立ち位置で、王子と小梅の間を実質的に取り持ってくれるのが、椿くん。イケメンで常識人っぽい彼は、なんとなく小梅と通ずるところもありそうで、将来的にはライバルポジションになってきそうな感じもあります。なかなか噛ませ犬力が高そうで、巻が進むたびに彼のことを応援しながら読み進めている自分の姿が今から目に浮かびます……。


 王子のアプローチはどれも明後日の方向に向かったような的はずれなものばかりなのですが、その真剣な想いはしっかりと伝わるものですし、何よりその持ち前の魅力はどんな形であれ発揮されるもの。小梅も拒絶こそしていますが、彼からアプローチをうけるごとに段々と彼に心許してしまっており、陥落するのも時間の問題かも。ともあれ仮に付き合ったとしても、そこからの方がより大変そうですよね。ネタは尽き無さそうです。



【感想まとめ】
アサダニッキ先生の魅力である「突き抜けたキャラ」がちょっと突き抜けすぎちゃいましたという事例(事例?)。ここまで突き抜ければ逆に清々しく、どこまで突き抜けられるのか見てみたい。



作品DATA
■著者:アサダニッキ
■出版社:講談社
■レーベル:KC ARIA
■掲載誌:ARIA
■既刊1巻



ためし読み