■同い年のあきらと真琴は、隣どうしの家で兄弟のように育ってきた幼なじみ。天然無自覚?かっこいいあきらちゃん(女)と、女装は武器!かわいい真琴くん(男)。距離感が近くてよく誤解されるけど、ずっと一緒にいたから、これが自然で、これが普通。なのに最近、様子がおかしい。親友以上、恋愛未満。幼なじみコンプレックス!





 クロフネからの久々のご紹介です。発売されたのは結構前になるのですが、後追いで読んでみて面白かったので、今更ながら。行きつけの本屋さんでも平積みされていたりと、結構プッシュされている模様です。


 凸凹な幼なじみを描いたラブコメディ。お隣同士に住む、あきら(女)と真琴(男)は、小さい頃からずっと一緒に過ごしてきた仲良しで、今では同じ大学に通っています。あきらは根っからのスポーツ少女で、高校まではバレーに打ち込み、実にたくましくかっこよく育ちました。女らしさは一切なく、よくそのイケメンっぷりから男の子に間違えられます。一方の真琴は、そのままでも女装でもいけるこれまたイケメン男子。スタイリストをしている母や姉の手により、女装の手ほどきを受け、今では抵抗なく女装してしまうような子に育ちましたとさ。中身は至って普通の男の子です。大学生になり、なんだか周りも急に大人っぽく色めき立ってくる頃。合コンがあったりデートしたり…これまで全く無縁だったあきらにも、ついにそんなイベントが訪れる予感が。そんな無防備なあきらを前に、気が気でないのが真琴ちゃん。さてさて、これまで仲良しお隣同士だった二人の関係にも、変化が…?というお話。



お互いの家に行ったり来たり。こんな接触もあります。でもそれも、男女として意識しきっていないがゆえ。相手の変化にすぐ気づく真琴と、鈍感なあきら。


 女装男子とのカップリングというのはさほど珍しくも無いような気がしますが、幼なじみで、さらに相手がボーイッシュってのはあんまり見たこと無いような…。天然無自覚、自由奔放に生きるあきらに対して、そんな彼女にいつもつきっきりで保護しているのが、女装男子の真琴というのがベースの力関係。あきらは真琴の事を、頼りになるとか親切とか思って感謝していますが、恋愛にはまったくもって興味が無いため、それを恋愛感情につなげて見るようなことは一切ありません。それは他の男の子に対しても同様で、なので言ってみれば完全無防備。その見た目から言い寄ってくる男なんていませんけれど、真琴からしたらそんな状態が危なっかしくて見てられないわけです。何かにつけて口を出して、あきらを守ろうとする。それは保護者的な観点も勿論あるものの、その奥底には恋心が見え隠れ……。


 一番近いところにいるのだから、正面切って好きだと言っても良いような気もするのですが、これまで全く、いや下手したらこれからだって恋愛なんてものに興味を持たなそうな鈍感女子に対して、そんなことをすることはできません。真琴のことを好きでいるのは自分ぐらいだという安心感もあったのかもしれませんね。けれども友達の多い大学生ともなれば、恋愛のチャンスが誰にだって巡ってきます。そんな時に、なかなか冷静でいられない真琴の様子が実に可愛らしい。女装しつつ、頼りになる男の子という感じだったのですが、いざあきらが誰かと話しているところを目の当たりにすると途端にすねたりして、「いやもうこれ女の子じゃないですか」っていう。割りと何も考えていないあきらよりも、あれこれと余計に考えすぎてしまう真琴にどうしても共感してしまいがちな一作です。



保護してる感ありますけど、結局のところこれって真琴の独占欲が発露してるだけっていう。それが可愛い可愛い。

 あきらの方も、自分ではなく周りの恋愛事情に触れることで、徐々にオシャレだとか恋愛だとかいうものに少しずつ足を踏み入れていくことになります。ただその歩みは遅く、先で待っている真琴に追いつくのはしばらく後になりそうですね。お隣同士の幼なじみで、まあ邪魔者が入り込む余地のない盤石の体制と言えるでしょう。そのためいつかくっつくのは確定的、ではそこまでの過程でどれだけ楽しめるか…が重要になりそう。それまで真琴の気苦労は絶えないわけですが、うろたえ焦るその様子が楽しかったりするので、それで良いのです。こんなに愛されて、あきらは幸せ者だなぁ…。そのありがたみに気づくのは、いつになることやら…。



【感想まとめ】
楽しい幼なじみの物語。気楽に読めるとっつきやすさがあり、あっという間に読み切ってしまいました。



作品DATA
■著者:野々村朔
■出版社:リブレ
■レーベル:クロフネ
■掲載誌:クロフネ百
■既刊1巻



ためし読み