■高校生のころ思い描いてた。25歳くらいで恋愛結婚。子供は2人。猫か犬を飼ったりして。どこにでもありそうな、ありふれた人生プランでしょ?それなのに現実は……28歳彼氏ナシ。友達の結婚ラッシュに心ざわつく三十路目前……。完全に恋の崖っぷち!「次に付き合う彼氏は結婚する人」そう思ってるのに、ひょんなことから会社の年下くんとまさかの同棲スタート!これって結婚への遠回り!?それともちょっぴり……期待しちゃう!?





  中村ユキチ先生の新連載です。巻数付きは初めてですかね?ヒロインはアラサー女子で、結婚がテーマとなっているお話です。その設定から、プチコミあたりでの連載かと思いきや、レーベルはCheese!なんですよね。プレミアCheese!という増刊ではあるにせよ、この雑誌に限らずだんだんと読者年齢が上がっていってると聞いたりしますが、Cheese!もだんだんとそっちの年齢層にシフトしつつあるという感じなのでしょうか。


 物語の主人公は28歳にして彼氏ナシの澤田はるか。ここに来て友達たちの怒涛の結婚ラッシュにより、仲良しの中で独身なのは自分だけに。なんだかやけになってしまい酔い倒れていたところを、会社の新人でまだ22歳の男の子・夏木くんに介抱され、気づけば朝…横には裸の夏木くん…。これは単なるアクシデント。そう済ませるつもりが、会社近くで家を探している夏木くんと、なんだか人恋しいはるかとのニーズが合致し、トントンと同棲をすることに。結婚したいつもりが、相手は結婚から最も遠そうな、年下の男の子。果てさて、30歳まで目前のはるかの運命やいかに!?というお話。



こんなことだって自然にやっちゃう甘え上手。これでいて仕事もできて料理上手ってんですから、素晴らしいです。ただどちらかというと淡々としているので、その本心が見えにくいという。

 同棲してはいますが、年下と付き合うことに踏ん切りがつかないはるかは、キスまではしちゃうことはあれど、そこから先は頑なに拒み、あくまで「同居」という体を取ろうとします。好意を明らかにしている夏木くんの側からしたら、家に住まわせてもらっているのにおあずけ状態となりなかなか可愛そうですが、甘んじてそれを受け入れます。年下だけど、料理をはじめ、家事はなんでも出来るし、仕事も新人ながらきっちりこなす。年齢さえ離れていなければ、なかなかの好物件なのに……。家事がてんでダメなはるかとは、そういう意味でも相性は良いのですが、その一点が邪魔をします。けれどもその気持はどうにも誤魔化しようがなくなって…という、じれったい関係を楽しむのが一巻。


 はるかはモテないわけではなく、最近も2年間ぐらい彼氏がいたりしました。20代のうちに結婚…と思い描いていたものの、仕事に集中していたり、前の彼氏と無駄に2年間も付き合ってしまったりと、気づいたらもう28歳という。私もちょうど同年代ぐらいなのですが、この感覚はめちゃくちゃ分かるんです。学生の頃は、20台も中盤から後半になれば立派に大人だと思っていましたが、仕事も恋愛も何もかもが中途半端で、慣れるので精一杯。気づけば何者にもなれていないままに、28歳とかになっていたりするのです。で、それだけ中身が変わっていないにも関わらず、22歳とかを前にしたら「若い…。世代が離れている…。」とか感じて距離を取っちゃうから不思議なもの。この謎の矛盾、なんなんでしょうね。



断じて同棲ではない。それは結婚というゴールが見えないから。下手に付き合ってしまうとまずいから。まあシチュエーション的には完全に同棲で、一度ヤッちゃってるし、こう言いつつ普通にキスは許してるしと、ガードゆるゆるでございます。


 ここからはもうネタバレになるのですが、夏木くんの好意と、「ゆくゆくは結婚」という言葉から、夏木くんと結婚することを目指す方向にシフトして2巻へ突入。もちろん夏木くんは本心から言っているのでしょうが、結婚ともなると22歳の若造の言葉だけでは信用に足りません。本当にはるかを前向きにさせるには、本当に結婚したいと思っているし、そのためにこれだけ頑張れるというところを、態度で示さなくてはなりません。それも、愛情と、生活の両面でそれを示し続けなければならないから大変です。もちろんはるかも頑張らなくてはいけませんが、本当に結婚をゴールに据えた場合、一番頑張るのは夏木くんに他なりません。主人公こそはるかですが、この物語の本当の意味での主人公は夏木くんなんじゃないかな、と。彼の頑張りを見守るマンガ…と言ったら極端ですかね?


 同棲こそはじめたものの、年の差カップルとしても、ましてや結婚を見据えた生活も、どちらもまだまだ形になっていません。色々と解決しなくてはならない問題が次々と起こりそうですが、相性の良い二人ならきっと手を取り合い乗り越えていけるでしょう。ただ惰性で共に暮らすより、明確なゴールがあった方が頑張れるでしょうしね。同棲からはじまる恋の行方を、時にはるかの視点で、ときに夏木くんの視点で、ハラハラドキドキと見守ってはいかがでしょうか。



【感想まとめ】
ともすれば「逃げ恥」のようにあれこれと考え議論できそうなシチュエーションではあるのですが、本作はそんなに理屈っぽくなく、きちんとオーソドックスな恋愛モノをやってます。なので結婚言いつつ、割りとドキドキニヤニヤできるポイントは多め。着地点が見えているからこそ、そこまでの過程をどう彩るか、要注目です。



作品DATA
■著者:中村ユキチ
■出版社:小学館
■レーベル:フラワーコミックス
■掲載誌:Cheese!
■既刊1巻



ためし読み